INDEX 広報 日造協 2003年11月10日 第356号
1面

全国総支部長会議 総務委員会作業部会 審議状況など説明
「都市に緑と公園を」日比谷公園100年などと合わせ盛大に実施 
国土交通大臣賞に当協会会員 都市公園コンクールにも3企業入選
建設産業専門団体連合会 全国大会を開催
【樹林】 11月は「建設雇用改善推進月間」今年のスローガンは、雇用を改善 未来を建設
雇用・能力開発機構 東京センター所長 稲荷元作

2面

【技術レポートNO.002】「屋上緑化」最近の動向 各種施策、支援、制度の充実へ
屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール受賞者決まる

3面

【ふるさと自慢】 第38回 佐賀 宝の海「有明海」干潟と豊かな特産 魚介を守ろう
【健康と食生活】NO.20 「生活習慣病と栄養」女子栄養大学栄養生理学研究室  上西一弘
第30全国造園デザインコンクール 応募受付まもなく 12月12日応募受付開始

4面

【総・支部だより】 
       環境省と意見交換会開催 中国・四国総支部
       第24回「よこはま技能まつり」に参加して 神奈川県支部
       いで湯と城と文学のまち松山へおいでなもし 愛媛県支部
【麹町箱・しぶだより】 黎明  福井県支部 林忠次
【事務局の動き】

 

1面

全国総支部長会議を開催
総務委員会作業部会の審議状況など説明

 

 

 

 


 平成15年度全国総支部長会議は10月17日、東京・町村会館で開催。成家会長をはじめ、全国総支部長、理事ら20余人が参加。事業の実施報告や質疑などを行った。 会議では冒頭、成家会長があいさつ。「造園建設業界は相変わらず厳しいなか、清掃業者が刈り込みを行うなど、環境という名称で異業種の参入が多くなっている。日造協は改革2年目を迎え厳しい財政状況で執行していることを理解していただきたい。また、造園に関する調査研究の重要性を痛感している」などと述べた。
 議事では、総務委員会作業部会の審議状況について、樋口部会長と小倉事務局長より、財務を含めた協会の今後のあり方について検討するため、総務委員会の中に設置した作業部会の審議状況について詳細な報告が行われた。
 協会の収入支出予算については収入増と支出減にさらに取り組むとともに、改善のための具体的な数値目標を設定して取組む必要がある。また、本部・支部の役割を明確にして、多方面に向かって造園業の必要性をアピールすることが欠かせないなどの意見交換がなされた。
 そのほか、会議では、「造園工事の内容・例示の改正に伴う要望書について」野村部長が説明。日造協の活動全般にわたる説明、要望のための資料を本部にて作成を求める意見などが出された。
 「倫理委員会について」は、委員会の所掌事項について説明。次いで、「平成16年度税制改正要望について」の説明がなされた。 さらに、「街路樹剪定士制度の変更について」は、更新研修等の説明が行われ、京都市で特記仕様書、藤沢市で施工条件明示書で「街路樹剪定士」の常駐が明示されたが、全国的にどのような位置付けがなされているか調査の必要があるなどの意見が出された。
 また、関連事項として、植栽基盤診断士試験の各総支部での開催の検討をはじめ、客観的に公平だと判断しなければならない公共発注においては、客観的規準による資格が重要であり、これらを保持した技術者を企業が抱えているかいないかがポイントになるのがこれからの流れといえる ――などの議論がなされた。 会議ではそのほか、平成15年9月のAIPH総会で、和田理事が正式に副会長に承認されたことなどを報告。その他諸事項について意見が交わされた。

「都市に緑と公園を」
日比谷公園100年などと合わせ盛大に実施

 「都市に緑と公園を」全国大会は都市公園制度制定130周年、日比谷公園開園100年記念に合わせ10月24日、東京・千代田区の日比谷公会堂で開催。表彰式(受賞者別掲)やシンポジウムなどを行った。 大会は冒頭、主催者を代表して、田邊昇學 6日本公園緑地協会会長があいさつ。次いで、来賓として、石原国土交通大臣の祝辞を竹歳誠国土交通省都市・地域整備局長が代読。「公園緑地に限らず、道路、河川、公共施設の緑化を進め、ヒートアイランド対策を図ることとなった。幅広い都市緑化運動を展開し、国民的運動につなげていきたい」と述べた。 続く報告では、「水と緑がきらめく未来都市 郡山」の実現に向けて、藤森英二郡山市長がその取り組みを紹介。国土交通省都市・地域整備局公園緑地課・高梨雅明課長が「公園緑地行政をめぐる最近の動き」について報告。午後からは、日比谷公園開園100年記念シンポジウムが開かれた。

国土交通大臣賞に当協会会員
都市公園コンクールにも3企業入選

 平成15年度の「都市緑化及び都市公園等整備・保全・美化運動における都市緑化功労者国土交通大臣表彰」は、当協会から6氏3団体が受賞した。 同表彰は@都市緑化基金等への寄付、緑地協定の締結および都市緑化の推進に関する普及啓発活動に顕著な功績のあったものA都市公園等の用地の寄付または無償貸与ならびに都市公園等の施設の寄付により、都市公園等の整備に顕著な功績のあったものB造園技術の継承や都市緑化事業に永年にわたり従事するなど、都市緑化推進に顕著な功績のあったもの ― などを表彰の規準(受賞区分)としている。
 当協会会員の受賞者は以下の通り(○受賞区分)。【個人】川上一夫・叶上農場役員・茨城県B/宮本泰雄・椛ホ馬造園店会長・兵庫県B/鬼頭愼一・椛o葉造園代表・高知県B/木上正貢・木上梅香園椛纒\・熊本県B/峯隆吉・兜樹木園代表・熊本県A/知念孝俊・(資)美樹園代表・沖縄県B【団体】叶A藤造園・京都府B/蒲ァ山エンジニアリング・東京都B/(社)愛知県造園建設業協会・愛知県@ 
 また、第19回都市公園コンクールは、当協会から3企業が受賞した。「作品名」所在地、対象部門は次の通り。 大島造園土木梶u熱海梅園((仮称)コリア庭園造園工事)」静岡県熱海市、造園施工/タカオ梶u国営海の中道海浜公園(遊具施設の整備)」福岡市、施設・材料・工法/西武造園梶u国営明石海峡公園(淡路地区花の丘道外修景工事)」兵庫県淡路町、造園施工

建設産業専門団体連合会 全国大会を開催

 平成15年度建設産業専門団体連合会(建専連)全国大会が10月29日、午後1時半から東京・千代田区丸の内の東京国際フォーラムで開かれた。 大会は冒頭、風岡典之国土交通事務次官、佐々木知子厚生労働大臣政務官が来賓あいさつ。
 大会では、元国土交通省事務次官の小野邦久 7不動産適正取引推進機構理事長が「建設専門業の未来に向けてのメッセージ」と題して基調講演。最高裁判所庁舎などの作品で知られる岡田新一氏が「新しい日本をつくる」をテーマに、特別講演を行った。

【樹林】 
11月は「建設雇用改善推進月間」
今年のスローガンは、
雇用を改善 未来を建設
雇用・能力開発機構 東京センター所長
稲荷元作

 

 

 雇用・能力開発機構の業務運営につきましては、日頃より皆様方にご理解、ご協力を賜り誠に有り難うございます。
 皆様もご案内のとおり、建設業におきます雇用改善につきましては、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」いわゆる「建設雇用改善法」が昭和51年に施行され、この法に基づき、「建設雇用改善計画」が、昭和52年の第1次計画から現在第6次計画(平成13年度〜17年度)まで策定されています。 この、第6次建設雇用改善計画の背景と課題に若干ふれますと、現下の建設経済は厳しい環境にあり、第5次の計画の期間中、これまで不足状態が続いていた建設技能労働者についても雇用過剰感が生じた等、建設労働者をめぐる状況は大きく変化してきました。
 このため、第6次計画においては、当面は雇用の維持、円滑な労働移動等を通じた労働者の職業生活の安定を念頭に置いた施策の推進、中長期的には将来的な労働力の減少等へ対応するため、若者が生涯を託せる魅力ある産業としての建設業の発展に資する施策の推進が重要であるとの認識に立ち、「建設労働者一人一人の職業生活の安定が図られる中で、その持てる能力を十分発揮して生き生きと働ける環境づくりに積極的に取り組み、建設業の魅力ある産業としての発展に資する」ことを課題として、施策を推進していくこととしております。
 私ども雇用・能力開発機構におきましては、第6次計画を踏まえ雇用改善の推進を図るため各種の相談・支援事業を行っております。
 今後とも、お気軽にご相談を頂ければと思いますのでよろしくお願いいたします。
 また、11月は事業主や関係者の皆様のご理解をより一層高めて頂くため、毎年「建設雇用改善推進月間」として、啓発活動を展開しています。皆様の積極的なご参加、ご協力をお願い申し上げます。 (最後になりましたが、「建設雇用改善推進月間」の事業として実施しております、「建設業に働く若者からのメッセージ」の応募につきましては、関係各位の皆様に大変ご協力頂き有り難うございました。紙面をお借りしまして御礼申し上げます。)

2面

【技術レポートNO.002】「屋上緑化」最近の動向 各種施策、支援、制度の充実へ

 各種施策、支援、制度の充実へ ヒートアイランド現象の緩和促進などから都心部での屋上緑化が進んでいる。国や地方公共団体での施策も相次ぎ設けられている。こうした中、今回はグリーン・アーキテクチュア・トリビューン編集部の中山紀文氏に「屋上緑化の最近の動向について」ご寄稿いただいた。
自治体で活発化する支援策
 近年、国や自治体の後押しを受けながら、屋上緑化に対する社会的な注目度は急速に高まりつつある。
 屋上緑化自体の歴史はけっして新しいものではなく、現存する建築物のなかでは、下関の秋田商会がわが国で最も古い屋上緑化の事例であると言われている。
 それでは、なぜ、今になって屋上緑化の注目度が高まってきているのか―。その大きな契機となったのが、東京都による建築物緑化の義務付けだろう。 都では、深刻化するヒートアイランド現象に歯止めをかけるために、平成12年に「緑の東京計画」を発表、このなかで平成13年度から27年度までの15年間で1200haもの屋上緑化面積を確保することを打ち出した。 翌年4月には、敷地面積1000u以上の新築・改築・増築ビルに対し、緑化可能な屋上面積の20%以上を緑化することを義務付ける条例を施行、建築業界を中心として屋上緑化に対する関心が高まった。 東京都の義務化に続き、兵庫県でも平成14年から建築面積1000u以上の新築ビルに対し、20%以上の屋上緑化を義務化している(市街化区域内に限る)。その他の自治体でも、助成制度を創設するなど、屋上緑化の普及促進に向けた取り組みが活発化してきている。 東京都によると、平成14年度における屋上等緑化指導実績は、義務付け初年度の平成13年度に比べて増加傾向にあるという。全体の緑化面積は前年度比23%増の12万8479uで、このうち屋上緑化面積は同9・9%増の7万5000uであった。着実な増加傾向にはあるものの、「15年間で1200ha」という目標を達成するには、これまで以上の普及スピードを高めていく取り組みが求められることになりそうだ。 都では、屋上緑化の義務化に関する条例の見直しを検討しようとしており、今後、緑化の質に応じた基準の創設や免責要件の強化などが行われる公算が高いと見られている。
国交省も新制度創設へ
 国土交通省では、平成12年度から屋上緑化を施した建築物への税制上の優遇措置を実施しているほか(緑化施設整備計画認定制度)、庁舎などの屋上を積極的に緑化するなど、屋上緑化の普及促進を図っている。 また、平成16年度の予算概算要求のなかでは、屋上緑化に関連する新しい制度の創設を盛り込んだ。 そのひとつが屋上緑化など人工地盤上の緑化施設を市民緑地の対象に加えようというもの。現行の市民緑地制度では、土地所有者と地方公共団体などが契約を締結し、緑地を公開することができ、地方公共団体や緑地管理機構が緑地の管理を行うことにより、管理の負担を軽減できるというメリットがある。
 また、契約期間が20年以上の場合、相続税が2割評価減となるほか、無償で貸付けた場合には、固定資産税と都市計画税が非課税となる。 市民緑地の対象に人工地盤上などの緑化施設が追加されることで、例えば建築物の屋上を緑化したものを市民緑地として公開することが可能になるわけだが、施主にとっては屋上緑化を行うメリットが増えることで、より屋上緑化を施しやすい環境が整うことになるだろう。
 同省の来年度に向けた予算概算要求では、建築物の屋上などを都市公園として整備していく方針も示されている。これによって、地方公共団体などは、都市公園と建築物を同時に整備することができるようになる。建築物の屋上を都市公園として活用しながら、建築物については民間に貸し出すことができるため、これまでにない形で都市公園を整備していくことができるようになるわけだ。
 さらに、「大規模な敷地の建築物を対象とした緑化率規制を行うことができる制度」を創設する意向も明らかにしている。具体的な規制手法などは検討を進めていることころで、来年度の通常国会を目途に法案の作成を進めていこうとしている。
 いずれにしても、国土交通省では、人工地盤上の緑化を行いやすい環境づくりを進めようとしており、屋上緑化についても、今以上に注目度や市場としての可能性が高まることになりそうだ。

屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール受賞者決まる

国土交通大臣賞「オルトヨコハマ」

環境大臣賞「アーベインビオ川崎」

 

 

 第2回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール表彰式が10月28日、東京・港区の虎ノ門パストラルで開かれ、屋上緑化大賞の国土交通大臣賞に「オルトヨコハマ」横浜市、オルトヨコハマ団地管理組合所有、活イ設計設計、環境大臣賞に「アーベインビオ川崎1号棟」川崎市、都市基盤整備公団所有、潟Oラック設計が選ばれた。 同コンクールは、技術的な助けがなくては、植物の生育が望めない建築物の屋上等の特殊緑化空間の緑化が都市におけるヒートアイランド現象の緩和や省エネルギー、生物多様性の確保、景観の向上等の推進に有効であり、積極的に取り組むべき分野であることから、優れた成果をあげている事例を表彰することにより、その一層の普及を図ることを目的に開催しているもの。審査のポイントは @緑化技術 A緑化目的の達成 B緑化の特色 C維持管理 ―― の4点。
 ◆「オルトヨコハマ」は、新子安駅西地区約2.4ヘクタールに広がる住宅、業務、商業、公益施設の複合施設。駅前の賑わいから落ち着きのある住宅ゾーンへの植栽等の変化をはじめ、子安神社の社寺林や里山の植栽を屋上に再現している。特に、@人工軽量土壌とEPS工法を複合した植栽基盤の軽量化技術 A降雨センサーを組み合わせた自動点滴灌水システムによる省資源省管理技術 B風荷重に対応しつつ樹木への負担を軽減する樹木支柱技術による、植生基盤、風対策、維持管理面での新技術の導入と、デザイン、景観性が高く評価された。国土交通大臣賞を受賞した「オルトヨコハマ」
 ◆ 「アーベインビオ川崎1号棟」は、川崎駅西口の都市公団建て替え事業団地。市の緑の基本計画で緑の拠点に位置づけられていることから、周辺の緑との連携を図り、都市部のエコアップ、緑化による美しい街づくりをコンセプトに、敷地の35%を緑化。植栽基盤は黒土70%、真珠岩パーライト30%で、軽量、薄層、省管理の検討を踏まえて導入。屋上緑化は、エコパッチ、屋上ビオトープなど、多様な緑化手法・技術を採用。竣工後1年半で、鳥類12種、昆虫類63種が確認され、新しい環境配慮型の緑化として評価された。
環境大臣賞を受賞した「アーベインビオ川崎1号棟」
 ◆【屋上緑化部門】  日本経済新聞社賞「公共交通会館有楽町コリーヌ」東京都千代田区、鞄結梃通会館所有、且O菱地所設計設計、小岩井農牧且{工。特別賞(都市緑化技術開発機構理事長賞)「アイシンコムセンター」愛知県刈谷市、アイシン精機鰹蒲L、アイシン開発梶E平成技研叶ン計施工、潟Gイディーグリーン施工/「屋上天国の家 空飛ぶ庭園」大阪府寝屋川市、葛{本ハウス工業施工、鞄喧Mレオ・畠山木材商工轄H法開発、去梛プランニング設計/「サンセール香里園屋上センサリーガーデン」大阪府寝屋川市、松下介護サービス鰹蒲L、ESC巨ン計施工/「聖路加国際病院」東京都中央区、(財)聖路加国際病院所有、鞄建設計設計、内山緑地褐嚼ン施工/「多川邸屋上菜園」大阪府大東市、多川隆志所有・設計施工・工法開発、「三原和夫邸屋上庭園」長崎県佐世保市、樺建設計施工。
 ◆【壁面・特殊緑化部門】  「お菓子のアトリエ タルトタタン」岩手県盛岡市、滑゙手屋盛岡本店所有、潟Kーデン二賀地設計施工/「群馬県庁舎ふれあいテラス(空中庭園)」群馬県前橋市、轄イ藤総合計画設計/「東戸塚教育センター新館アトリウム」横浜市戸塚区、第一生命保険相互会社・樺|中リアルティ・住友信託銀行鰹蒲L、樺|中工務店設計施工。

3面

【ふるさと自慢】 第38回 佐賀 宝の海「有明海」干潟と豊かな特産 魚介を守ろう

― 広大な干潟は魚介類の宝庫 ―

ムツゴロウ(求愛のジャンプ)

有明海の郷土料理フルコース

クツゾコ 旬/冬〜春

ワラスボ 旬/夏〜秋

ムツゴロウ 旬/夏〜秋

 有明海は、東京湾に匹敵する大湾であるが、日本列島周辺の全海面に比べれば、眇たる存在で、どこからでも対岸が見えるし、海の透明度は低く、風景もとくに優れていない。 しかし、この海は、日本にとって、かけがえのない海で、ここには、ムツゴロウをはじめ、エツや、泳ぐモクズガニ(ヒメモクズガニ)、世界最大のシャミセンガイなど、国内の他の地域では見られない生物が、現在わかっているだけでも一六種生息している。
 この海は、外海からの海水と、川からの淡水とが混じった砂泥底の浅い海で、湾の奥は、筑後、佐賀平野を流れる大小の川が、流域の砂泥と豊富な栄養分を運んでくるので、沿岸はかなり遠浅となっている。そのうえ、潮の干満の差が非常に大きくて、6メートル(日本一)あまりにもなるので、干潮時には広大な干潟が現われている。(全国干潟面積631平方キロメートルの42%を占めてダントツ) また、この海は、海水と淡水とがよく混り合ってプランクトンが多量に発生する海であるので、魚介類の種類も多く、この海域特有の数々の漁業が発達して、これまで豊かな生産を誇ってきたが、ここ数十年の間に魚介類の生産は極端に落ち込み、今や日本一を誇れる漁業環境ではなくなってきており、この宝の海、有明海に赤信号がついている。
 ところで、佐賀県は、北に玄界灘、南に有明海という、二つの異なる個性をもった海を容しており、魚介の味も各々独特の風味とうまみをもっている。
 この有明海の干潟の魚貝や沖海でとれる魚のことを、土地の人は、「前海もの」と古くから呼んでいる。
 この干潟の海の代表格は、何んといってもユーモラスな表情が愛らしい「ムツゴロウ」をはじめ、ワラスボ、メカジヤ、アゲマキ、ウミタケ、沖の魚「クチゾユ」など珍らしい姿の魚介が、昔から佐賀の郷土料理として欠かせない食材となっている。
 まずはじめに紹介したいのが「ムツゴロウ」この魚は、ひところ県魚に指定しようと云った地元の運動が盛り上ったこともあったくらいで、「ムツゴロウを見ずして、有明海を語るなかれ」といってよいほどの生物、一度ぜひ、生態をみていただきたい。普通は、活きたまま串に刺し、炭火で両面を焼く、うなぎのタレに似た味のタレをつけて焼く、ムツゴロウは一見目つきなどから気持の悪い魚に見える人もいるようだが、かば焼きにすると非常においしく、うなぎのような脂っこさがないところが格別で滋味といったところである。
 漁師の話によると、死んだ魚は、いちじるしく味が落ちる。また売りものにならない小さなものなどは、味噌汁に入れて食べる。
 つぎに、「ワラスボ」この魚は、きばのあるどうもうな魚で、うなぎのような形をしているハゼ科の仲間。一年中とれているが、一番おいしい季節は、産卵前の七月。煮つけて食べたり、干物にしたものをあぶったり、から揚げにして食べるとひなびた味わいがよろしい。(日本酒・ビールの肴にもってこい)
 紙面の都合で、あとの魚介類は省略。
 最後に、前述したとおりこの宝の海にも、開発の進展に伴う漁場環境の悪化が進み、周辺海域の資源の減少などによって漁獲量の低下が極めて憂慮されており、現在、本県はもとより有明海に関係する隣県(三県)が広域的な立場からの環境保全への取り組みが強く求められている。
 私共、造園業界としても、この海を、もとの豊かな干潟と海域に回復させるため、生物多様性に富んだ森づくり。自然再生をめざしたクリーグ、川づくり。さらに沿岸緑地の整備などを図る必要があると考えている。
(佐賀県支部)

 

【健康と食生活】NO.20 「生活習慣病と栄養」女子栄養大学栄養生理学研究室  上西一弘

 私たちが病気になる原因は大きく分けると、遺伝的なもの、事故やウイルス感染など外部からの要因によるもの、そして生活習慣によるものの3つに分けることができます。生活習慣病とは食事、運動、喫煙、飲酒、休養などの生活習慣が原因で発症、進行する病気のことで、以前は成人病と呼ばれていました。成人病というと年齢的なものが原因で避けることができないような気がしますが、生活習慣病はまさに個人個人の生活習慣が問題であり、予防することができるものです。たとえば中年太りは、中年になったから肥満になったのではなく、生活習慣が原因で肥満になったのです。肥満にかかわる生活習慣としては、食習慣、運動習慣があげられます。その他、食習慣が原因と考えられる生活習慣病には糖尿病、肥満、高脂血症、高尿酸血症、循環器病、大腸がん、骨粗鬆症、歯周病などがあります。原因となる食習慣には食べる量の問題とタイミングの問題が考えられます。
 食べすぎはいけません。特にエネルギーの過剰摂取は肥満につながります。また脂質の過剰摂取は高脂血症の原因となります。一方、摂取不足も問題です。カルシウムや鉄は摂取不足が起こりやすい栄養素です。無理なダイエットで必要な栄養素が摂取できないケースもあります。仕事が忙しく食生活が不規則になることもあります。特に夜遅く、就寝前に多量の食事をすることは、肥満につながるといわれています。
 現代の日本は飽食の時代といわれていますが、さまざまな食生活に関する問題が存在しています。私たちは1日に3回食事をするとすると、1年で1045回にもなります。一生の間の食事の回数は…(あなたの寿命で計算してみてください)。1回1回の食事を大切にしたいものです。 もしもあなたが最近体重が増えてきたなと感じたら、人間ドックなどでの検査でコレステロールが高いなどといわれたら、それは生活習慣病の始まりかもしれません。
女子栄養大学ホームページ   

第30全国造園デザインコンクール 応募受付まもなく 12月12日応募受付開始

 応募受付まもなく 12月12日応募受付開始 平成15年度 第30回全国造園デザインコンクールの応募受付けが12月12日から来年1月16日まで行われる。 同コンクールは、当協会が主催、文部科学省、全国農業高等学校長協会の後援と6ランドスケープコンサルタンツ協会、全国高等学校造園教育研究協議会の協賛で行っているもの。 募集目的は、造園の設計及び製図技術の向上と奨励。応募資格は、「一般の部」「大学生の部」「高校生の部」。
 課題は、各部門に応じ、A住宅庭園部門(個人住宅庭園)、B街区公園部門(街区公園)C実習作品部門
 図面の規格A1またはA2で、図面の枚数はA、B、C共各1枚。図面の紙質は、ケント紙または原図をコピーした用紙(パネル等の折り曲げられないものは不可)
送付する図面には、「テーマ」を必ず記入。そのほか、設計主旨説明、方位、縮尺などを明記。施設名、樹種名等、説明を必要とするものは、直接平面図に書き入れるか凡例を使用。
 なお、応募期間は、平成15年12月12日(金)より平成16年1月16日(金)(当日消印有効)。応募作品の送り先は、東京都立農業高等学校(担当・小板橋二三男先生)〒183・0056 東京都府中市寿町1の11、TEL042・362・2211。 審査は平成16年1月中に行い、入選発表は本協会ホームページ等で行う。 表彰式は、平成16年2月9日(月)に行う。 詳細は、日造協ホームページのお知らせのNo.41をご覧下さい。(http://www. jalc.or.jp) 

4面

【総・支部だより】 

環境省と意見交換会開催 中国・四国総支部

 7月24日岡山市の「ピュアリティまきび」において、環境省山陽四国地区自然保護事務所より秀田次長、荒畑公園保護科長、関整備計画専門官、山陰地区自然保護事務所より高橋公園保護科長、松井施設科長、八元自然保護官、日造協中国総支部より福島総支部長ほか各県支部長、四国総支部より松本総支部長ほか各県支部長の計12名出席して意見交換会が開催された。 先ず福島総支部長の挨拶の後、自己紹介を行い議題に入り、自然保護事務所の業務の概要自然環境行政の体系(環境基本法、生物多様性国家戦略)人と自然との共生の確保に向けた取り組み(自然環境に関する情報の収集・活用、自然環境保全地域、自然公園、身近な自然環境の保全、野性生物の保護と管理、自然とのふれあいの推進、飼養動物の愛護・管理、国民公園等、自然保護における国際協力の推進)についての詳しい説明がなされ、引き続き自然公園等施設整備(自然公園法、事業の流れ及び体系)について、以前は各県に委託して発注していたが、国立公園については平成12年度以降、全国11箇所の自然保護事務所において直接執行することになり、中国地域では山陰海岸、大山隠岐、瀬戸内海国立公園、四国地域では瀬戸内海、足摺宇和海国立公園において整備を推進しているとの説明があり、整備工事の内容については、特に歩道等現場合わせの仕様となり日造協より技術提案して欲しいとの意見表明がありました。 また今年4月に施行された自然再生推進法について、それぞれの自然を生かした特色のある地域を作ることを目的として、市民は行政のパートナーとして公共事業の事業段階で税金の使い方に直接参加し、土地所有者等からNPO等が業務委託を受けて自然再生事業の実施者になることもできる等の説明がありました。
 最後に、松本総支部長から四国総支部では、四国88箇所の遍路道の調査をボランティアで取り組んでおり、調査結果を整備等に反映して欲しいとの意見があり、我々は生き物を扱う唯一の建設業であることを力説し、来年2回目の開催をお願いして和やかな意見交換会を終了しました。(中国総支部事務局) 

第24回「よこはま技能まつり」に参加して 神奈川県支部


様式にこだわらず身近な小庭を提案

西洋とアジア風の庭を展示した

 「第24回よこはま技能まつりが」が10月5日(日)横浜公園で開催された。この技能まつりは、昭和53年10月に横浜市技能職団体連絡協議会10周年記念事業として「横浜市技能祭」として開催されたのがその始まりで、昭和56年2月に名称も現在の「よこはま技能まつり」として第2回目が開催され、次年度以降年間行事として毎年開催され現在に至っている。 このまつりは、「市民生活のすみずみに生きている手仕事・手作業の衣食住、生活関連にわたる技能を広く市民に公開することにより技能及び市民文化の振興を図る」ことを開催趣旨とし、今年度は6日本造園建設業協会神奈川県支部・6神奈川県造園業協会を含め44団体が参加し来場者は約4万人であった。 今年の出展内容は、様式にこだわらない身近な小庭をコンセプトに、昨今の住宅事情や顧客のニーズに照らして、純和風から少し離れ、西洋風の趣(ガーデニング)とアジアンテイストの庭を作成展示し、素材も手に入り易く、施工にも手間取らずに庭造りを身近に気軽に楽しめる可能性を提案した。
 当日は、造園・園芸相談、ポートモスの掴み取り、孟宗竹の花器作成販売、花・苗の即売、花のタネの無料配布を行う等小さなことではあるがこのような一つ一つの積み重ねにより造園や緑への理解と関心がどんどん広がっていくことを期待している。
 会場に足を運んだ人たちは、横浜の職人の技と心を堪能していた。
(神奈川県支部事務局)

いで湯と城と文学のまち
松山へおいでなもし 
愛媛県支部


道後温泉前


 

子規記念博物館

  愛媛県では、毎年7月を「クリーン愛媛運動強調月間」と定め、地域住民の参加と協力のもと、環境美化運動に取り組んでいます。当支部でも、例年その趣旨を尊重し、奉仕作業を行っています。 今年は、7月28日に15社34名が参加して、路側帯の低木の刈込み・除草作業を中心に作業を実施しました。当日は、晴天に恵まれ炎天下での作業となりました。日頃、業務としている作業とは言え、投棄されている空缶などもあり、参加者全員汗まみれでの作業となりました。 作業場所は、「松山市立子規記念博物館」前を中心とする、道後温泉へと通じる道路です。正岡子規は、慶応3年(1867年)、愛媛県松山市に生まれ、明治35年(1902年)36歳の若さで永眠するまで近代俳句・短歌の確立に大きな功績を残しました。夏目漱石とは、東京大学予備門時代から没するまで深い交流がありました。また、司馬遼太郎の「坂の上の雲」で知られる秋山兄弟との交流も知られています。 青年期には、野球にも熱中し、打者・走者・飛球・直球など、子規独自の訳語は現在も使われています。その功績から、昨年1月には野球殿堂入りをはたしました。
 子規記念博物館では、正岡子規をはじめとする文人の著作や書簡などが展示されています。俳句・短歌にとどまらず明治から現代にいたる文学史を知るうえで貴重な資料です。
 周辺には、道後温泉や中世の湯築城跡を史跡公園として整備した、道後公園などもあります。皆様のお越しをお待ちしています。
(愛媛県支部事務局)

【麹町箱・しぶだより】

黎明 

福井県支部 林忠次

 今では本誌にも、新事業とか今までの経験を活かした取り組み方法、事業そのものの紹介が載るようになった。
 屋上庭園、校庭の芝生化、壁面緑化・特殊緑化に造園近自然技術など枚挙にいとまがない。まさしく新時代を反映しているといえよう。
 まだ元気があり、のびのびしていた10年前なら、将来この業界がどう変化していくのか、その対処方法など考える事はなかった。受注するため仕事を入れる口をどう開けるか、開け方のハウツーだけに腐心していた。今ではどんなのんびり屋さんでも事業の事、業界の事に関して目を覚ましたと言える。 福井県支部の会員は27社、決して多くないが少なくもない。 みんなの意志を統一して計画し、実行していくには丁度よいメンバー数である。経営者に40歳までの人が6割を超えた。そして斯界以外の人達(例えば青年会議所参加の人)と付き合いを通して、人格を磨こうと頑張っている会員も多くなった。 県支部会員は事業拡大の手段として新しいものに今挑戦している。
 校庭の芝生化とか電子入札・電子納品について研究中である。定期的に造園会館に集まり、独りでやるのでなく仲間で新事業に積極的に取り組んでいる。
 データーはCDにして全会員に渡し営業の補助的要因にもなっている。成果として来年度、複数の学校で芝生化が実現するところまで到達した。また電子入札の方は全員、ネット接続を終わっているので、技術資料を電子入札システムで送ったり、電子入札が来年度完全実施でもノープロブレムだ。
(福井県支部・林忠次)

【事務局の動き】 【10月】
1(水)・ 工場緑化推進全国大会(緑化センター)
3(金)・ 理事・評議員現地懇談会(管理財団)
3(金)・ 都市景観の日中央行事
3(金)〜4(土)・都市緑化月間街頭キャンペーン
6(月)・ 建・退・協加入促進連絡会議
7(火)・ 平成16年度税制改正に関する国土・建設関係団体会議
7(火)・ 倫理委員会
10(金)・ 教育センター参与会
14(火)・ 造園施工管理技術検定委員会
14(火)・ 総務委員会作業部会
16(木)・ 労働災害防止大会
17(金)・ 総支部長会議
19(日)・ 基盤1次試験
20(月)・ コスモス国際賞授賞式
20(月)・ 建設産業訓練協会事務局長会議
23(木)・ 広報日造協編集会議
24(金)・「都市に緑と公園を」全国大会
25(土)・ コスモス国際賞受賞記念シンポジウム
29(水)・ 総務委員会部会
29(水)・ 建・専・連全国大会
31(金)・ 沖縄県造園建設業協会30周年記念

【11月】
5(水)・ 基盤認定審査委員会
10(月)・ オランダのガーデンテクニック講演会
12(水)・ 近畿総支部役員連絡協議会
13(木)・ 造園・環境緑化産業振興会代表者会議
17(月)・ 広報日造協編集会議
26(水)・ 事務局長会議(振興基金)