INDEX 広報 日造協 2004年6月10日 第363号
1面

理事会・総支部長支部長会議開く
   
通常総会議案など審議 総支部・本部の意見交換など将来を検討
花と緑のつどい 花博会場の浜松で開催
「街路樹剪定士」取得者へ 携帯カード式認定証交付手続きのご確認
【樹林】 健康環境を提供してくれる仕事、それこそが「造園」
   
桐蔭横浜大学 工学部医用工学科 講師 飯島 健太郎

2面

生前の功績を称えて 当協会2氏に叙位・叙勲
【技術レポート】 No.003
   
景観緑三法と造園建設業の役割
   (社)日本造園建設業協会 技術調査部長 野村 徹郎
事務局人事で2氏就任 常任顧問に山田勝巳氏
全国安全週間 7月1日から7月7日 6月は準備期間
エコ・グリーンテック2004 当協会も出展 盛大に開催
日造協 パンフレットを刷新 皆様からご意見募集中

3面

【ふるさと自慢】第43回 
   
大阪  水の都のシンボル「道頓堀」
【緑滴】  納まり(おさまり)
   
立山富士彦(内山緑地建設(株))
事務局の動き 

4面

【総・支部だより】
    
みちのく公園花のフェス開催 “巨石群装飾”が登場  東北総支部
    九州地方整備局と懇談会  9項目について要望行う 九州・沖縄総支部
    海岸地域における緑化技術研修会開催         島根県支部
【しぶだより 麹町箱】
    
東北地方国道などにおけるグリーンマネージメント 前 宮城県支部長 佐藤 喜蔵

 

1面

理事会・総支部長支部長会議開く
通常総会議案など審議
総支部・本部の意見交換など
将来を検討


理事会の席上あいさつを述べる
新田敬師国交省企画専門官

 平成16年度総支部長・支部長合同会議は5月27日、グランドホテル浜松の鳳東の間で開催した。冒頭に成家次男会長があいさつ。その後、平成16年度通常総会議案や平成16年度造園建設功労者賞等の表彰など4議案を審議、承認した。
 また、平成16年度第1回理事会は、総支部長・支部長合同会議に引き続き5月27日、グランドホテル浜松の鳳西の間で開催。理事会は成家会長のあいさつの後、来賓から国土交通省の新田敬師都市・地域整備局公園緑地課企画専門官が祝辞を述べた。
 あいさつで成家会長は、「平成15年度の決算については、街路樹剪定士等の受講者が増えたことや経費執行の節減などによって、年度当初に比べ多くの繰越金を生み出すことができ、平成16年度の運用資金として活用することができる。皆様のご理解とご支援に感謝したい。造園事業量の減少により、厳しい状況を迎えているが、総支部と本部の意見交換をはじめ、総会後速やかに、将来の日造協の方針を打ち出したいと思っている」と述べ、感謝と展望を語った。
 議事では、会員の入退会をはじめ、平成16年度通常総会議案、総支部との意見交換会の実施概要(案)など、7議案を審議、承認した。
 なお、翌28日は、4月8日から10月11日まで開催されている国際園芸博覧会「浜名湖花博」を視察。高い評価を得ている会場の花を用いたあしらいなどを熱心に視察した。

花と緑のつどい
花博会場の浜松で開催

 


 日造協と日造協静岡県支部は花と緑のつどいを5月27日、グランドホテル浜松で開催した。
 つどいは、福井啓介日造協静岡県支部長の開会に次いで、成家次男会長があいさつした。
 会場には、ご来賓の方々も多数参加し、新田敬師国土交通省都市・地域整備局公園緑地課企画専門官、石川嘉延静岡県知事、奥之山隆静岡県議会議長、北脇保之浜松市長、柳川樹一郎浜松市議会議長、春川真一国土交通省中部地方建設局建政部長らがあいさつ、並びにご来賓のご紹介を行った。
 開催中の浜名湖花博では、当協会のさまざまな協力に対し主催者の7しずおか国際園芸博覧会協会・吉岡徹郎会長代理から謝辞をいただいた。
 つどいはその後、長谷川正榮浜北市長が乾杯を発声、懇談の場となり、盛況の中、高村芳樹日造協中部総支部長の閉会のあいさつで午後7時半、散会した。

「街路樹剪定士」取得者へ
携帯カード式認定証
交付手続きのご確認


 

 

 

 平成14年度以前の認定者の方へは、交付手続きをしていただくために、案内書を送付しました。
 しかし住所や勤務先に変更があり、支部へ連絡のない方には届いていない場合があります。
 そのような方は至急、「氏名、受講した支部名、認定証に記載されている交付番号、自宅か勤務先の住所、電話、FAX」を本部までご連絡下さい。
 案内書をお送り致します。
 お問合せは 事務局 清水まで tel. 03・3263・3039、FAX03・3263・3856、E-mail shimizu@jalc.or.jp

【樹林】
健康環境を提供してくれる
仕事、それこそが「造園」
桐蔭横浜大学 
工学部医用工学科 講師
飯島 健太郎

 人にとって望ましい環境像を議論する上で、生物としての適応や進化を抜きに、その本質を捉えることはできないであろう。すなわちこれまでの環境応答の系譜があって現在の我々の身体(形質)が存在しているのであり、こうした視点をベースにして「最適環境」や「健康環境」を求めることができるのである。ではこの「健康環境」を求めることができる職域とは?
 
 高度経済成長を遂げた日本の現代生活においては物的欲求が満たされているため、豊かさの断片を感じる生活につつまれている。一方、文明の証でもある人工都市においては、人間疎外の弊害が大小様々な形で内在している。この弊害は生物としての適応・進化の時間的スケールとはかけ離れたスピーディな環境変化と、その結果である異質な環境の諸側面に我々が適応し難い点に問題のプロセスがある。

 人は文明を手に入れ、快適性や利便性、効率性を追求していく中で、各種人工素材で都市空間を構成した。また、それを含めた様々な活動に伴うエネルギー消費の肥大化、汚染物質の排出や廃棄物などを通じて、恒常性を維持することが困難なレベルにまで環境に働きかけた。その変化は長い人類史上の極一瞬の出来事であり、それまでに経験したことの無い物質や生物(ウイルス)が我々の体内に侵入して疾病を発症したり、過剰なアレルギー反応も起こしたりする。
 同様に物理的環境変化にも身体の制御機能が及ばないケースがあり、顕著な例が温熱環境である。身体の産熱と放熱により体温の恒常性を維持してきた制御機構も昨今の都市部の異常な高温化では適応能力外となり、熱中症による救急車の搬送数が都内では年々増加していることは周知のとおりである。
 さらには景観すなわち視覚的環境も人工化を極め、空間質的要因と見られる心理的ストレスも増大している。これらの問題に対しては部分解決するのではなく、未来(次世代)の健康環境創造への総合的な実現プロセスを構築することが重要である。そして人類史に遡ってこそ、そのヒントは存在するのかもしれない。
 我々(身体)は「個」として存在しているのではなく、長い人類史の環境応答の中でその特性を発展させてきた系譜がある。その履歴の違いは世界の人々の形質の差としても現われている。熱帯と寒冷地ではその温熱環境の影響を受けないよう身体の形態(凹凸など)にも差異があり、放熱のための能動汗腺数にも差異が生ずる。日射の強い地域と弱い地域では皮膚のメラニン量が異なり、紫外線の影響を調節している。標高3000m以上の高地居住者は平地とは異なり、血液中のヘマトクリットやヘモグロビン濃度が高く、酸素運搬能力の向上が図られている。こうした形質は何世代にもわたって形成された遺伝的継承によるものもあれば、その形質自体が幼児期の生活環境により発現する場合もある。

 しかし人工都市において人は、長時間建築物内で過ごし、しかも空調によりその地域のもつ特有の気候条件のほとんどを身体で受け止めなくても良い一時凌ぎ的な快適環境を手にいれた。その結果、内在している環境適応のための形質は失われていく可能性もあり、その一方で人工都市の外部空間は適応能力を超えた環境に向かって急速に変化しつつある。
 
 この相乗的に深刻化を増していく問題を解決する方法、すなわち都市環境の急変を抑止し、我々の環境適応の形質を継承しつつ快適に過ごすことのできる環境を創造する具体的手段は言うまでも無く「緑」の回復であり、その空間に今後どのような量と配置で「緑」を構成していくかが重要なポイントとなる。
 現在、都市に失われつつあるものは環境の恒常性である。恒常性を維持するためには水、大気、土壌そして生物の循環的なシステム、すなわち連続性が不可欠であり、環境としての「緑」は我々の生息空間のベースを構成してくれる。一方、素材としての「緑」は、無生物的素材に生ずる物理環境の厳しい法則から我々の生活環境を守ってくれる。

 一方、そうした緑と人とのより親密な関わりの歴史も重要である。我々の祖先は、作物の栽培、生活に及ぼす自然災害を回避するための機能植栽、自然素材による道具や家具の加工など様々な形で緑に手を下してきた。地域の自然(緑)をいつも眺めながら、季節や時間を刻んできた。
 こうした経験も文明以前からの非常に長期的なスケールで営まれてきたことであり、その感覚すなわち触覚、聴覚、嗅覚そして視覚認識などを通じた応答関係の蓄積から、ある種の緑に対する知覚は我々に必要な形質として位置づいている可能性もある。
 「懐かしさ」とは、幼児期の経験などに見られる発達心理学的な側面があるが、もう一つは長い人類史に及ぶ経験が遺伝の継承により蓄積され記憶の一部として発現している側面があるかもしれない。近年、注目されているアロマセラピーや園芸セラピーもその一断片として、我々の形質に良好な感覚刺激を与えている可能性がある。

 「健康環境」を創造するためには、長い人類史において環境との関わりの中で人間の特性が発展してきたことを踏まえ、過去から未来への時間的経緯の視点で評価された特性を重視し人間疎外の弊害を回避すると共に、その具体的手段の一つとして「緑」を適正な量と配置により我々の外部環境である「空間」に具現化していくことが重要である。身体の内部環境を治療するのが医者であれば、外部環境(空間)を治療する重要な役目を担っているのが「造園」と言える。

2面

生前の功績を称えて
当協会2氏に叙位・叙勲

 

 生前のご功績に対して、天皇陛下より、当協会2氏に叙位、叙勲がなされた。
 横山安行氏は、昭和10年生まれ。渇。山造園社長、当協会理事を務められ、平成16年2月22日、原発性肝癌でご逝去、68歳だった。従六位に叙せられ、旭日双光章が授与された。遺族は実弟の横山桂・渇。山造園代表取締役。
 和田貞次氏は、大正7年生まれ。箱根植木椛纒\取締役、当協会会長を務められ、平成16年3月27日、呼吸不全でご逝去、85歳だった。平成7年に勲4等瑞宝章を受章。このたび従五位に叙せられた。遺族は長男の和田新也・箱根植木(株)代表取締役社長。

技術レポート No.003
景観緑三法と造園建設業の役割
(社)日本造園建設業協会
技術調査部長 野村 徹郎



 1 はじめに

 我が国で初めての景観と緑に関する総合的な法律となる、3つの法制度「景観緑三法」(景観法案、都市緑地保全法等の一部を改正する法律案、景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案)は、美しい景観と豊かな緑を実現するために整備されます。この法律は「景観に関する基本法制の整備」「緑に関する法制の見直し」「屋外広告物に関する制度の充実」を基本として、総合的で一体的な効果の発現を推進し、日本の各地で美しい景観と豊かな緑の形成を促進することで、美しい国土の保全と創造を目指しているものです。
 この法制度が整えられることは、多様な自然に恵まれた日本の誇るべき国土景観が高度成長の時代を経て大きく失われてきた現在、誠に時機を得たものといえるでしょう。
 この法律では、都市景観だけでなく農村、山村、漁村、道路、河川、海岸等日本のあらゆる場所で良好な景観の保全と形成を図るための様々な方策が盛り込まれています。良好な景観形成に関する基本理念と国等の責務を定めるとともに、景観計画の策定、景観計画区域や景観地区等における良好な景観の形成のための規制、さらに景観整備機構による景観保全のための支援措置も考慮されたものです。
 この景観緑三法が実施されることによって、国土の様々な環境整備の場面において良好な景観を重視することが求められることになります。
 本稿では景観法の目的である、「都市、農山漁村、集落を形成している地域、これと一体となって景観を形成している地域の良好な景観の形成を促進、美しく風格のある国土形成」を実現するために造園建設業の果たすべき役割について考えてみることにします。

2 景観法がもたらすもの

 平成13年度に首相官邸に都市再生本部が設置され、現在の都市の抱える様々な課題を改善、修復するために活動を行うなど、21世紀にはいってからは都市再生がキーワードとなっています。
 都市再生の基本方針には、安心して暮せる美しい都市、自然と共生した社会の形成が目標の一つに掲げられています。
 また、国土交通省では、戦後の復興期から今日までに量的には社会資本整備が整ってきたものの、美しい景観づくりなど質的な面は充足されていないとの反省に立ち、「自然と調和した美しい景観を次世代に引き継ぐ」という理念を掲げ、行政として社会資本整備のめざす方向を「美しい国づくり」に転換すると決定し、2003年1月に「美し国(うましくに)づくり委員会」が設置されました。そして2003年7月には、日本を魅力ある国とするために、美しい自然と調和を図りつつ整備するための基本的考え方や具体的な施策を示した「美しい国づくり政策大綱」が発表されました。
 「大綱」は美しい国づくりのための基本的な考え方として、(1)地域の個性を重視する、(2)公共事業や建築物設置の基本目的の中に「美しさの形成」を盛り込む、(3)景観破壊が起こる前に先行して保護のための明示的措置をとる、(4)長時間にわたり持続的に取り組む、(5)良好な景観を形成することが経済的にもプラスになるような環境をつくる、(6)「良質なものを長く使う」という意識を育てることを示し、また景観保護のために国土交通省が取り組むべき具体的な施策を明らかにしています。
 2003年12月には社会資本整備審議会が「都市再生ビジョン」をとりまとめ、安全・快適で美しい都市再生に向けた10のアクションプランの中に、「良好な景観の形成と豊な緑の創出に向けた制度の構築」を挙げています。
 そこでは、都市と農山漁村が共生した一体的な空間として捉えられるとともに、防災空間や緑地的空間として評価され、生態系ネットワークの保全、復元、創出のためにも、水と緑の存在が非常に大きな要素であること、今後の緑とオープンスペースの確保の方策としては、自然環境との豊かなふれあいを通じ、緑とオープンスペースのネットワーク化による保全・創出、中核となる都市公園の整備や活用が必要であり、緑のオープンスペースは都市の環境インフラであると位置付けられています。
 このように、20世紀後半からの経済性や機能性重視の時代を振りかえった結果から、21世紀の国づくりでは、美しい景観を重視する時代になったといえるでしょう。(続く)

事務局人事で2氏就任
常任顧問に山田勝巳氏

 当協会の事務局人事が行われ、常任顧問の曽田ひさ嗣氏が退任(現(財)日本造園修景協会副会長兼専務理事)し、後任に山田勝巳氏が就任。また、総務部長に安藤喜一郎氏が就任した。
 山田勝巳氏は、昭和16年12月20日生まれ。41年3月京都大学農学部林学科卒業、同4月建設省入省、56年10月住宅・都市整備公団公園緑地部公園事業計画課長、61年6月群馬県土木部都市計画課長、63年4月建設省都市局都市緑地対策室長、平成元年6月滋賀県土木部次長、3年12月建設省都市局公園緑地課長、平成6年7月建設省退官、同環境事業団常任顧問、12年4月(財)海洋博覧会記念公園管理財団理事長――を経て、当協会常任顧問に6月1日付けで就任。
 安藤喜一郎氏は、昭和22年7月21日生まれ。青山学院大学経済学部卒業。昭和46年4月国土地理院総務部総務課採用。52年3月都市局公園緑地課、54年2月同都市総務課、56年4月同都市計画課係長、59年4月同街路課係長、62年4月住宅局市街地建築課係長、63年4月岡山市建設局都市整備部次長、平成2年4月同都市計画部次長、同6月住宅・都市整備公団関連施設・交通部施設調整課長代理、5年7月国土庁土地局土地政策課長補佐、7年7月都市局公園緑地課長補佐、8年8月住宅・都市整備公団公園緑地部経営管理課長、10年6月建設省退官。同6月(財)都市計画協会業務部長――を経て、5月10日付けで就任した。

全国安全週間
7月1日から7月7日
6月は準備期間

 厚生労働省は、産業界における自主的な労働災害合資活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図るため、毎年「全国安全週間」を主唱している。
 今年は、「危険をみつけて取り組む改善 トップの決意とみんなの実行」をスローガンに、6月1日から30日までを準備期間、7月1日から7月7日を本週間として全国一斉に積極的な活動を行っている。
 平成15年は、過去最小の平成14年に比較して、さらに減少が見込まれているものの1600人を超える発生がみられ、今後とも災害につながる危険をなくすよう積極的な取り組みが必要だ。この安全週間を契機に、それぞれの職場において、労働災害合資の重要性についての認識を深め、組織的、計画的、継続的な安全管理活動を実行していくことが必要。社員各位にも周知願いたい。

エコ・グリーンテック2004
当協会も出展 盛大に開催

 エコ・グリーンテック実行委員会、環境緑化新聞主催、当協会協賛・出展の「エコ・グリーンテック2004」が5月26日〜5月28日の3日間、東京ビッグサイト(東京・有明)西4ホールで開催した。今年は天候にも恵まれ、目標来場者3万人を突破。151の企業・団体が、花や緑、環境保全や景観創造に関する最新の技術や資材を270区画にわたって出展した。
 なお、97年にスタートしたエコ・グリーンテックはランドスケープ界最大のイベントとして年々定着。来年も「第9回エコ・グリーンテック2005」として、5月25日(水)〜27日(金)の3日間、今年と同じ東京ビッグサイト西4ホールで開催する。

日造協 パンフレットを刷新
皆様からご意見募集中

 事業委員会では、協会パンフレットのリニューアルを推進中です。
 今回のリニューアルは、内容も刷新。市民、発注者の方々に協会事業や造園施工業界を、より分かりやすく、知っていただくことを目的にしています。
 このため、会員の皆様からもご意見をいただき、 “新パンフレット”に反映させたいと思います。
 つきましては、すでに「本部からのお知らせ」でも通知済みですが、あわせて、協会ホームページ内に協会パンフレットの見本と意見募集コーナーを設けました。
ぜひ、貴重なご意見をいただきたく思います。
 なお、ホームページ http: //www.jalc.or.jp/only/only_f.html は会員限定ページにあります。パスワードが必要なため、不明な方は、FAX(03・3263・3856)まで、所属支部、会社名、所属部署、ご氏名を明記の上、お問い合わせください。折り返し、登録している会社FAXにパスワードをお送りします。

3面

【ふるさと自慢】第43回 
大阪  水の都のシンボル「道頓堀」

ダイコンドラとひらどつつじが植えられ、夜は蛍光灯でグリーンベルトが浮き上がる

 

 


昭和初期には赤い灯、青い灯とうたわれた戎橋付近のネオンはいまも健在。夜の大阪の賑わいの演出ともなっている

 

改良護岸の構造と戎橋 ― 太左衛門橋完成イメージ図。潤いを感じながらまちを楽しむことができる歩行者空間も整備中だ


 大阪には、万博記念公園、花博記念公園、大阪城公園、桜で有名な造幣局の通り抜け、さらには大川沿いの4qの桜並木等の場所があるが、今回は、花と緑と水の観点から水の都のシンボルである道頓堀川を取上げたいと思います。
 昨年18年ぶりに阪神タイガースがセリーグで優勝して多くのファンが喜んだことは記憶に新しいところですが、その結果として、グリコの看板、道頓堀川へのダイビング等が全国的に有名になりました。
 道頓堀川は慶長17年(1612)に成安道頓、安井道卜、平野藤次郎らが私財を投じて、東横堀川から木津川まで旧梅川を拡張する工事に着手し、その後大阪の陣を経て初代大阪城主松平忠明が、平野藤次郎・安井九兵衛にその続行を命じて元和元年(1615)に完成したといわれています。
 東横堀川から木津川まで長さ25町10間(約2754m)幅20〜34間(約36m〜61m)で、松平忠明により道頓堀川と名付けられました。
 道頓堀川の開削は、一般の河川開削のごとく、治水上の必要性から行われたものではなく、大阪の城下町の繁栄のため、当時の輸送機関である舟運のための航路を開くのと、新田開発や水利と町の排水を目的としたものでした。
 道頓堀川周辺は昔から大阪を代表する繁華街で、土一升・金一升と言われた土地柄のため、川の両岸には飲食店が多く、河川上を占用して土地を有効に利用することが行われました。大阪市の管理も、道頓堀川は洪水上の支障がほとんどないので、占用を許可して河川管理の財源にするという方針が取られていました。
 戦後、町が活気を帯びるに従い河川上で桟橋を作ってその上を物置や炊事場に利用するようなことが行われていたため、ごみ等がその下に引っ掛かって腐敗を促進し、また料理した後の残物や水がそのまま捨てられて汚濁を増し、その水質も当時BODが1リットルあたり300r 以上にもなっていました。
 一方、昭和30年代前半には、それまで大阪の街を何回となく襲った高潮による被害をなくすための高潮防御対策事業も概ね完了し、道頓堀川も下流部は完成したが、上流部は沿岸背後地が高く高潮対策事業の対象外であったため両岸家屋は高潮の度に浸水し、特に飲食店が多いため衛生上問題となりました。昭和45年に日本万国博覧会が吹田で開催されることになり、商都大阪の代表的な繁華街にある道頓堀川のイメージを一新する必要がありました。
 この区域は背後地が高く、被害は両岸民家のみであるので高潮防御対策事業の計画外であり、国の補助対象事業にはならず、なおかつ当時の市の財政では単独事業としては巨額すぎるものであったため、そのまま放置されていました。
 地元では度重なる浸水により多大の被害を被ってきたため護岸工事の促進の意向が強く、何らかの地元負担も考えて財源を調達する方法が考えられた結果、河川の一部埋立てを行い、それを払い下げて財源にすることが検討されました。
 幸いにもこの地区は大阪市内でも最盛の繁華街で土地の価格も高く、相当の売却代金が見込まれ、工事費の大部分が充当できると考えられましたが、ただその土地は一般に売却できず隣接地主のみでしか使用価値がないのと、買手の資金調達が円滑にできるのかといった問題もありましたが、地区の皆様方のご協力により工事に着工することができました。
 改修護岸の構造は船べりデザインの護岸とし、前面護岸の上に高欄を設け、全面には緑色のタイル(清水焼・対山窯)を貼付け、ダイコンドラとひらどつつじ(1万5000本)を植栽し、夜は蛍光灯(1260本)でグリーンベルトを浮き上がらせることとしました。
 工事は何回もの地元住民と市の協議を経て昭和40年3月に着工、昭和42年10月に完成し盛大な竣工式が行われ、竣工後の道頓堀川は面目を一新し、都市河川という意味を啓示することとなりました。
 当時、河川は治水という一義な目的で、すべてを考えられ、都市の河川の形態を考えることがなされませんでしたが道頓堀川改修工事の完成により、河川の美的感覚に注目が払われるようになり、その後「都市河川」という新しい概念のもとに、全国的に環境としての河川を考えるようになる場を提供した第1弾となりました。
 総工事費約10億6600万円で、うち約9億3000万円を地区の皆様方のご協力によることができ、大阪市としては約1億3600万円の資金でできたので、現在に換算すると数百億になると考えられ、これこそは、まさに大阪人のど根性を表すもので今でいう民間活力そのものといえます。
 昭和の大工事から37年が経った現在、平成の大事業として新たに道頓堀川水辺整備事業が進行中で「新・水の都・大阪」の実現に向けて、この道頓堀川の水辺に親水性の高い遊歩道を整備し、その潤いある新鮮な空間によって都市魅力の向上に寄与することを目指して鋭意工事中です。
 その概要は両岸に沿って川面に近い場所に親水性豊かな遊歩道を設け、休憩施設や広場、船着場などを各所に整備して、潤いを感じながらまちを楽しむことができる水辺の歩行者空間を作っているところです。
 会員の皆様には大阪においでの際はぜひこの道頓堀川に足を運んでいただき、過去の歴史を思い起こしていただければ幸いです。(大阪府支部)

【緑滴】 
納まり(おさまり)
立山富士彦(内山緑地建設(株))

 

 「いい仕事してますね〜」、テレビ「何でも鑑定団」でお馴染の中島誠之助氏の名セリフですが、先日、南多摩ニュータウンの某公園で、思わず同じ言葉を口にしたくなる現場を目にし、造園空間としての納まりに対する、技術者の並々ならぬ努力に感心するとともに、改めて、造園における物づくりのあり方について考えさせられたところです。
 ところで、納まりという言葉ですが、広辞苑によると「@物がきちんと入ること。その入り具合。収納。A物事のきまりがつくこと。(後略)」一方、東京農業大学造園学科編・造園用語辞典によると、「(前略)各部分の取合いや格好づけの総合的な出来ばえ、(中略)納まりには、人間の行動、機能上、形態上、色彩調和の観点からと、伝統的な要素、感覚的要素(一部省略)、など多岐にわたる要素があり、細かい配慮が必要」と記載されています。
 建築や土木の分野では、サッシやタイルの納まりというように、広辞苑に記された使い方が一般的ですが、造園においては、景を創る上での諸々の要素を総称して、納まりという言葉を使っており、総合的な「出来ばえ」としての奥深い意味をもっています。
 造園界として大事にしたい用語の一つですが、残念ながら、工事成績評定で納まりという言葉が用いられているのは、防水工事の「出来ばえ」の項に「防水の納まりが良好である」という記述があるのみで、これ以外には、造園に関わる工事を含め一切でてきません。
 造園施工業界として、「景を創るための工夫と努力が正当に評価される仕組みづくり」が課題となっているところですが、景を創る上で重要なことは、場を読み、場を活かすことであり、これらの手法が、納まりという言葉に濃縮されているとすれば、そこに秘められたものを、より客観的な表現をもって明らかにする必要があるのではないでしょうか。
 技術者の努力が正当に評価される仕組みを確立することで、造園技術の更なる発展に弾みがつくことを期待するところです。

事務局の動き  【5月】
7(金)・ 「広報日造協」編集会議
7(金)・ 兵庫県支部総会
10(月)・ 高知県支部総会懇親会
11(火)・ 情報発信の検討部会
11(火)・ 総務委員会(在京)総支部意見交換会検討会議
12(水)・ 都市緑化推進運動協力会会議
13(木)・ 事業委員会(在京)
14(金)・ 建専連会員団体事務局担当者会議
14(金)・ 新潟県公園緑地建設業協会総会
17(月)・ 花博記念協会業務概況説明(会長)
18(火)・春の褒章伝達式
19(水)・ 総務委員会
20(木)・技術(全国)委員会
20(木)・四国総支部総会
20(木)・ランドスケープコンサルタンツ協会総会懇親会
20(木)・建設産業訓練協会総会
20(木)・麹町関税会総会
20(木)・かながわみどりを創り、育てる集い
21(金)〜22(土)・浜名湖花博屋外クラス展示会
24(月)・ 6日本造園組合連合会総会
24(月)・ 建設関係公益法人協議会総会
25(火)・ 都市緑化技術開発機構理事会
25(火)・ 公園緑地管理財団評議員会
25(火)・ 会計監査
26(水)・ 埼玉県支部総会
26(水)・ 建設広報協議会総会
26(水)・ 都市緑化基金理事会
26(水)・ 事務局長会議(振興基金)
26(水)・ 緑化懇談会(茨城県造協)
26(水)〜28(金)・エコ・グリーンテック2004
27(木)・ 総支部長・支部長合同会議
27(木)・ 理事会
27(木)・ 優秀施工者大臣顕彰式
27(木)・ 日本造園修景協会理事会・評議員会懇親会
28(金)・ 緑化フェア現地視察
28(金)・ 日本公園緑地協会総会懇談会
28(金)・ 日本緑化センター理事会
28(金)・ 日本水景協会総会懇親会
31(月)・ 静岡県支部総会

【6月】
2(水)・ 港湾事業要望活動
2(水)・ 建専連総会懇親会
3(木)〜4(金)・全国造園人文化交流新潟大会
7(月)・ 「広報日造協」編集会議
9(水)・ 都市整備推進協議会理事会
11(金)・ 日本花普及センター理事会
16(水)・ 建設業適正取引推進機構評議員会
17(木)・ 中央職業能力開発協会理事会通常総会懇談会
22(火)・ 通常総会
22(火)・ 通常総会懇談会
22(火)・ フラワーツーリズム推進協議会理事会
24(木)・ 民間都市開発推進機構理事会


【総・支部だより】

みちのく公園花のフェス開催
“巨石群装飾”が登場
             東北総支部

みちのく公園花のフェスティバルは13万人の来場者を数えた

宮城県支部会員20社が巨石に造園装飾を行った

 

  国営みちのく杜の湖畔公園事務所では、春季における都市緑化推進運動の一環として、毎年恒例となっている春のイベント「みちのく公園花のフェスティバル2004」を4月24日から5月9日までの16日間開催した。
 このイベントは、公園内の各広場を中心に入園者の方々に大花壇、花装飾や各種イベントを通じて春の躍動を感じていただき公園を満喫していただこうというものです。
 このイベントに、国営みちのく杜の湖畔公園事務所から今年初めての企画として、「時のひろば」(かつて東北地方に栄えた縄文文化を象徴する渦巻き模様、その中心にはアンモナイトの化石があり、東西南北に巨石が立つ太古を想像させる造形の広場)の巨石群への造園装飾を日造協宮城県支部に依頼があり、支部会員20社が参加し20基の巨石に銘々独創的アイデアで造園匠の技を競いすばらしい作品を展示しました。
 ゴールデンウィーク期間中訪れた13万人の入園者を楽しませ、9日までの展示期間であったが、あまりにもすばらしい作品ばかりで撤去するのは惜しいということになり、花の寿命を考え5月末まで延長し観賞してもらうことになりました。(東北総支部)


4面

九州地方整備局と懇談会
9項目について要望行う
        九州・沖縄総支部

   

第25回緑化懇談会のもよう

 九州緑化協議会(日造協九州・沖縄総支部、(社)ランドスケープコンサルタンツ協会、(社)日本植木協会九州ブロック、(社)日本公園施設業協会九州・沖縄支部で構成)では、3月23日(火)、九州地方整備局との「第25回緑化懇談会」を開催した。
 出席者は、九州地方整備局から菊田利春副局長、企画・建政・河川・道路・港湾空港・営繕の各部長、協議会側は北川会長をはじめ各団体代表、日造協本部の曽田常任顧問ら計30名が出席した。
 冒頭、菊田副局長は「平成16年公共事業予算では、ほぼ本年度並みの事業量が確保できた。整備局では、今、美しい国土づくりに向けて頑張っている。環境の保全、創出など緑化に関するものが多いので、皆様方の一層の協力をお願いする。」とあいさつされた。
 懇談会では、協議会が平成12年度から取り組んでいる「福岡南バイパス試験植栽」についての中間報告を説明。つづいて、@建築物の屋上の緑化及び植生を復元する工事の推進について A道路整備に伴う道路法面、構造物の壁面、高架下等の緑化推進について B公園緑地、公共・公益施設等の環境整備の造園専門工事業者への発注について Cランドスケープコンサルタント業務に係る新しい入札・契約制度の導入について D公園等の遊具の安全確保のための定期点検、並びに安全利用表示シールの活用について E新たな緑化スペースの確保について F新北九州空港における緑化の推進について Gサクラと水の回廊づくりについて H緑の森づくり植樹について―― の9項目について、各団体代表から要望の主旨を説明した後、活発な意見交換が行われた。最後に、日造協本部の曽田常任顧問が謝辞を述べ懇談会を終了した。(九州・沖縄総支部)

海岸地域における
緑化技術研修会開催
            島根県支部

緑化技術研修会のもよう

 国立公園、県立自然公園となっている山陰の海岸線を有する島根県ですが、日本海沿岸特有の厳しい環境のため、植栽困難地が多く、緑化工事を推進するためには、様々な問題があります。
当支部においては、海岸地域における緑化技術に関し研修し、確実性の高い緑化の実現を図ることを目的として、発注者(島根県)との共催によりこの研修会を開催しました。
 当日は、県、市町村における緑化事業担当者(土木・農林等関係県職員34名)と施工業者(日造協会員21名)、および設計業者17名の合計72名の参加者があり、当協会からは多々納敏・樺の川島、持田正樹・鰍烽ソだ園芸、柳井良仁・大畑建設 造園部の3名が、事例紹介をしながら、問題点の明確化と改善方法の提案を行いました。
 特に、「植栽基盤」については、現地調査を行い、「十分に検討すべきである」というテーマから、県内協会員に、日造協が重点的に取り組んできた「植栽基盤診断士」が6名いるので、設計においては十分活用していただくよう発注者側へ要請し、日造協会員の真剣な取り組みについて大いにPRすることができました。
 また、意見交換会も活発に行われ、なかでも「今後発注される工事については、発注者、設計者、施工者の三者の代表による検討委員会を設立してはどうか」との要請もあり、当支部としては、今後も行政側へ積極的に働きかけ、この様な研修会を活発に行い、地域における緑化事業の中心団体としての役割を果たすよう、決意をあらたにしました。(島根県支部)

【しぶだより 麹町箱】

東北地方国道などにおける
グリーンマネージメント

前 宮城県支部長 佐藤 喜蔵

 平成13年度東北地方整備局からの発注により「グリーンマネージメント」を日造協宮城県支部が中心となって実施した。
 この内容は、東北地方の国道における街路樹の実態をより詳細に把握して、環境変化に対応した今後の街路樹の指針とすべく、取り組んだものである。
 詳細は割愛するが、樹種、育成状況、地域特性との関係、管理状況、植栽基盤の状況など調査分析であった。
 短い期間と全国道の一部分の調査であったため、各データ数の少ないままに取りまとめることになり、因果関係・整合性ほか不明確なものがあったことは否めない。
 この種のものは、より多くのデータが必要なことから、また単年度で終わらせず継続すべきとの意見が協会内部に多くあり、調査再開をお願いしているところでもある。
 なお、東北地方整備局内にある、産学官で構成されている土木工事合理化委員会の中の造園技術研究会のテーマ「緑地維持管理の合理化
・技術研究について」を平成15年度から3年がかりで日造協宮城県支部が中心となり成果を出そうと実施中である。
 宮城県支部内で日造協の実施している認定資格取得者は「造園工事基幹技能者」98名、「街路樹剪定士」122名、「植栽基盤診断士」9名を数えており、今後、これらの有資格者なども活用しながら、東北の道路緑地をはじめ公園などの受注した物件のグリーンマネージメントをまとめるものとする。