INDEX 広報 日造協 2005年1月1日 第370号
1面

年頭にあたって    (社)日本造園建設業協会  会長 成家 次男

2面

いよいよ“愛・地球博”開催へ   バイオラングなど 緑の未来を発信
      開催に向けて   (財)2005年 日本国際博覧会協会会長  豊田 章一郎
      2005年 日本国際博覧会の概要

3面

開幕迫る! 2005  愛・地球博 ―私感述懐―
      2005年日本国際博覧会協会   会場整備グループ長 町田 誠
造園アピールの絶好の機会  
      日本造園建設業協会  2005年日本国際博覧会  対応特別委員長 佐藤 四郎

4面

’05 緑のイベント・プロジェクト多彩に 緑の未来を発信
      「花と緑の幸せ物語」を発信     第22回全国都市緑化ふくおかフェア
大阪花博の理念を継承し  21世紀型生活文化を地域から発信
      花フェスタ2005ぎふ
緑の未来に期待     量・質を増やし高める  景観緑三法など  取り組み進む

 

1面

年頭にあたって
(社)日本造園建設業協会
           会長 成家 次男

 

 みなさま、新年あけましておめでとうございます。
 今年は酉年です。鶏は襲う敵に立ち向かい、時を知らせて信頼でき、時を守って「五徳」を備える、また酉年は好景気に沸く、と言われるように良い年になることを願う次第です。
 昨年は国際園芸家協会(AIPH、日造協が日本の代表者)が認証する浜名湖花博が浜松市で開催されました。入場者総数が540万人余と予定の500万人を超え、成功裏に終わりました。展示内容はこれまでに無いほど充実した内容で、本当におめでとうございました。
 今年は愛知県で2005年日本国際博覧会が3月25日から開催されます。一般博は1970年大阪千里丘陵での開催以来、35年ぶりになります。本会場は都市計画公園愛知青少年公園を主たる区域としていることから、従来からの自然要素を残し、防災機能の強化や、新たなニーズに即応した公園の再生を図りながら、博覧会会場の整備が行われています。日本の伝統的な文化を代表する日本庭園が整備され、地球温暖化ガスの削減や、都市のヒートアイランド現象緩和を目指す最新の都市緑化技術を駆使した世界最大級の緑化壁「バイオ・ラング」はメインパビリオン「グローバルハウス」前に設置され、博覧会を象徴する幻想的な空間演出に期待が寄せられています。今世紀初めての国際博覧会として、成功裏に終えられることを祈念する次第です。今年の秋、福岡市で第22回全国都市緑化ふくおかフェア「アイランド花どんたく」が、春には岐阜県可児市で「花フェスタ2005ぎふ」が開催されます。
 景気は回復の動きを減速したという最近の経済状況であり、造園建設部門にはなお厳しさが増している感があります。日造協の財政運営も大変厳しく、このままでは公益法人としての必要最小限の活動も維持できなくなることから、日造協事業活動強化緊急対策を昨年の3月に策定し、会員の皆様のご協力を得ながら実施に努めているところです。また、中央から地方の時代に備えて、協会の活動も全国10総支部及び各県支部を中心にした体制へと改革を進めているところです。
 昨年は総会以降、夏から秋にかけて、全国総支部と本部との意見交換会を行い会員相互に忌憚のない率直な議論を行い、有意義な成果を得ることができたと考えています。今後、これらを踏まえて、また日造協が進める造園技術・技能の資格制度、造園CPD、指定管理者という重要課題と取り組みつつ、業界の発展と振興に資するように日造協の将来の方向をまとめていく予定です。
 景観緑三法も昨年12月に施行となり、緑豊かな美しい国づくりが進んでいくことになりますが、植物をはじめ、生きものを取り扱う造園建設業界は、その本来の技術を生かす機会を積極的につかんでいきたいと思っています。
 競争の時代に生き残っていくためには、独自性、自律性を如何に高めていくかがより優位性を勝ち取るポイントになると言われています。例えば、造園工事は多工種、少数量が隘路でありましたが、むしろこれからは、そういう工事だからこそ、住民に優しい環境、人と自然が共生できる環境づくりができる建設業であると、また、造るだけではなく、建設したものがエンドユーザーに快適で、役に立つものであるためには、緑化の総合的なマネージメントが重要であり、計画、建設、管理を総合的に経営管理する総合造園建設業及び専門造園工事業が一体となって、環境の世紀を担っていく戦略が求められていると思います。特に利用者である住民、公共・民間のクライアント、NPO等の団体及び協会会員の協働活動を通して、相互の合意形成を図りながら造園業界は質の高い、役に立つ環境、景観造りに貢献し、社会の信頼を得ていく事が必要であると思っています。

いよいよ“愛・地球博”開催へ
バイオラングなど 緑の未来を発信

 

 バイオ・ラングは、青少年公園地区会場「愛・地球広場」の中心に位置し、グローバルハウスの北側ファサード面に、高さ4.5m、幅150mの3層構造の自立する世界最大級の垂直緑化壁面。博覧会のテーマである「自然の叡智」を表現し、会場に魅力的なランドスケープを創出し、CO2対策や微気象を緩和する第3の社会資本としての役割が期待されている。

2面

緑の未来を発信する“愛・地球博”
いよいよ開催へ

 

開催に向けて
(財)2005年
日本国際博覧会協会会長
 豊田 章一郎

 愛知県瀬戸市、長久手町および豊田市において、「2005年日本国際博覧会」が開催されます。
 この国際博覧会では、「自然の叡智」をテーマに、21世紀の自然と人間との関わりを探求し、提案していくことにしております。
 自然との共生は人類共通の課題であり、本博覧会はその解決に寄与できるものと存じます。
 その成果の一部は終了後も永続的に「地球の財産」として残るものと確信しています。
 国際博覧会の成功に向け、今後ますます多くの皆さんのご理解とご支援をお願い申し上げます。

2005年日本国際博覧会の概要

 

 

 

 【長久手会場】地球の記憶と未来、伝統のわざと最先端技術、世界の文化とまつり、その豊かな地球交流を体感する「長久手会場」。「地球大交流」を実現する「グローバル
・コモン(外国館))」と「 グローバル・ループ(水平回廊))」を基本骨格に会場が構成されます。
 【瀬戸会場】自然と人、人と人とがじっくり触れ合い、語り合う愛・地球博の原点「瀬戸会場」。自然環境の保全に最大限の配慮を払いながら、「自然の叡智」というテーマを具現化するシンボルゾーンとしての会場整備をいたします。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ループ構造

 ループ構造は、自然環境への配慮やバリアフリーなどのほか、移動、演出をはじめ、立体的に会場を利用できるなど各種のメリットがある。既存平場を利用して、山側は建設用敷地を確保、土量の移動は切り盛りでバランスさせる
バリアフリー
起伏のある会場ながら、フラットな構造で移動も容易
自然環境への配慮
土地の改変を抑え、動植物への影響を軽減できる

 略称=愛知万博
 ■愛称=愛・地球博 
 ■テーマ=「自然の叡智
(Nature's Wisdom)」 
 ■サブテーマ=宇宙、生命と情報(Nature's Matrix) /人生の“わざ”と智恵(Art of Life)/循環型社会(Development for Eco-Communities) 
 ■開催期間=2005年3月25日〜9月25日(185日間) 
 ■会場=名古屋東部丘陵(長久手町・豊田市、瀬戸市)の海上の森、愛知青少年公園および豊田市の科学技術交流センター予定地の約173ha
 ■事業費=会場建設費1350億円、運営費550億円。
 ■目標入場者数=1500万人

 テーマと展開 
 愛知万博のメインテーマは、自然の叡智。これまでに人類が獲得してきた経験と知識のすべてを傾けて、「自然の叡智」(自然が有している素晴らしい仕組み、生命の力)に学び、新しい文化・文明のあり方と21世紀社会のモデルを世界中の人々との多彩な交流を通じて実現。その中で、課題の解決方法や、地球と人類の将来の姿を見出すのが狙いだ。
 サブテーマは、@宇宙、生命と情報A人生の“わざ”と智恵B循環型社会。このうち、「わざと智恵」のテーマ展開は、“自然とともにある暮らしの文化や時代を超えて受け継がれる芸術、技術と倫理・その歴史と未来”―― と、まさに“造園”が培ってきた技術と知識である。
 さらに、「循環型社会」においても、“21世紀の開発と自然保全、環境の再生の新しいあり方の提示”―― が示され、造園事業の展開と方向を一にしているといえる。

 時代背景 
 愛知万博は、21世紀初頭の国際博覧会として、新たな時代性と課題を意識して開催。 “人類が直面する課題の解決の方向性と人類の生き方を発信することとし、地球時代の新たな国際貢献として日本が主導的役割を果たすことにより、自然の叡智をテーマとした新しい文化・文明の創造を目指す”と、時代背景に触れ、7項目を掲げている。
 このうち、真っ先に掲げられるのが、「地球環境問題、資源問題等の深刻化」であり、地球的な視野で、不安から安心への知恵を持ち寄る必要がある ―― とする。
 自然環境の保全や良好な環境の創出は、造園がこれまでになってきた分野だ。また、同様に掲げられた課題は、「価値観の多様化」「市民参加、NPO/NGOの大きな潮流」「高齢社会への突入期」であり、こうした課題についても、公園緑地整備をはじめ、価値観の多様化や高齢化に対応した公園づくりや市民との協働など、我々が課題として取組んでいるものでもある。
 万博開催のこの機会に改めて、こうした取り組みを強化し、愛知万博でも示された課題解決に向け、より具体的な現場の立場から、快適な環境の創造を担っていく必要がある。

 環境配慮と会場計画 
 開催承認以前から様々な議論が交わされた会場計画については、会場計画をはじめ、会場運営、観客輸送の各分野において環境に配慮する。
 博覧会の実施に当たっては、経済産業省要領に基づく環境影響評価を実施。自然地形・素材を活用、既存の平場活用を基本とし、木、竹、土の自然素材を利用。循環型技術を導入、3Rを目指した建設・運営を行う。
 海上地区は、古くから過度に伐採されたために荒廃地となったが、その後の治山事業などによって、自然環境が回復しつつあることから、主要施設は裸地部分への配置を行い、自然への影響を軽減。将来、人と自然のかかわりを学び、体験できる地域としてつくり上げるための拠点とする視点から会場整備を推進。恒久的利用を考慮した施設整備を行う。
 また、特に南側では、遊歩道や海上の森を遠望する施設で構成し、森に包まれた空間の中で里山の自然を来場者が全身で感じることのできるゾーンを形成する。
 青少年公園地区は、比較的高度に利用されている北西部と、希少種等の生物や森林を多く残す南東部に大別。まとまった平場を確保することが困難だが、万博として所要の施設や動線の確保が必要なことから、希少生物の分布する地域を避け、散在する活用可能な敷地相互を安全で快適な動線で連結させる。
 そのほか、公園地区では、入会地や共有・公用地を表し、都市における公共空間や自然と共生する人間の共同体、里山や鎮守などの共同地、村や郷などの共同体の意味にもつながる「コモン」を核に展開が図られ、グローバル・コモン、グローバル・ループを基本に施設が配置される。
 また、ループは、既存平場のコモンに連続した斜面地上にせり出したデッキ構造にすることで、新規造成を抑えて、動線や建築可能面積を確保することが可能。土地の改変も抑制できることから、動植物への影響も軽減できる。

3面

 

 

 

 

 

 

 

 

バイオ・ラングのイメージ。
中央が天空鎮守の森
               
地球市民村

ゾーン構成とランドスケープ計画
 会場のゾーン構成は、「センターゾーン」「日本ゾーン」「民間出展ゾーン」「ゲートシティ」「自然と対話する森林体感ゾーン」「遊びと文化のゾーン」で構成。
 ランドスケープ計画では、既存緑地をできるだけ残し、やむを得ず手が入ったところも、野鳥や昆虫が訪れるような樹種の植栽を施し、既存の池や起伏を生かし、特にグローバル・ループや仮設建築物との景観上の調和を図りながら、一体的な会場づくりを進める。
 こうした広範にわたる取り組みの中、特に注目したいのは、新たな緑化を提案する「バイオ・ラング」。
 会場内で最大の集客能力を誇る愛・地球広場に隣接するグローバル・ハウス前面に広がり、主動線のグローバル・ループからも眺望できる。

バイオ・ラング
 1870年、米国公衆衛生協会の創設者であるジョン・ラウチは、公園は都市の肺(The Lungs of city)と述べた。愛・地球広場の中心に設置されるバイオ(生物)・ラング(肺)はまさに都市の肺。水中における第2の肺・アクアラングに次いで、高度化、高密化した都市において、NOxを吸収、CO2を削減するなど、都市の肺として機能し、安らぎや潤いの源として、緑視率の向上を図る都市の新しい緑化修景手法でもある。
 多種多様に組み合わされた植物によって、地球温暖化の軽減にも役立つ新たな自立循環環境装置として、愛知万博を機に日本から世界に発信する新たな緑化技術といえよう。
 さらに、バイオ・ラングは、デザインも日本の照葉樹林の豊かさを象徴した天空鎮守の森、植物の配色による里山・奥山の表現、ハス池の環境を生かして野辺や川辺を表現。総緑化面積は3500uで、946個のツル植物、1125枚に上る緑化パネルで構成。導入植物は約200種、約20万株に及び、菜の花やアヤメ、アジサイなど季節に応じた植物を利用する予定だ。
また、バイオラングでは循環型に配慮し、灌水した水の循環利用、雨水の有効利用システムを導入、植物に栄養を補給する液肥についても排水せず、循環させることで、有効に活用する。
 そのほか、緑化関連で特に注目したいのは、「地球市民村」(イメージ:左)は、緑豊かな森林体感ゾーンで、自然環境と一体化した小パビリオンで、NPOやNGOの参加を得て、エコ・ツーリズムなど複合的に展開、地球温暖化の防止など、緑の多面的な機能を参加体験できる施設となる。
 
 今後の展開 
 愛知万博では、万博のテーマと連動した交流の場や中部地域の特色でもあるものづくりを多彩に楽しむ産業文化観光など、自然、歴史文化などの地域の特性を生かした観光プログラムの充実を図ることとしており、観光立国への歩みを愛知万博の開催と関連させて加速することとしている。
 また、会場跡地については、政府施設、愛知県施設として、海上地区の人と自然の営みや日本の豊かな自然の恵みと多様性について、長く伝承していく施設とする方針。
 当協会も今後、観光立国へ向けた景観整備はもちろん、自然の恵みや多様性のある環境づくりをこれまで以上に積極的に進めていくところである。
 愛知万博のテーマを広く浸透させ、あわせて我々の事業への理解が広がり、これを担うべく、会員が活躍する姿がいたるところで、見られるような社会が望まれる。

開幕迫る! 2005 愛・地球博
 ―私感述懐―
2005年日本国際博覧会協会
会場整備グループ長 町田 誠

  謹んで新年のお慶びを申しあげます。
 21世紀初めての国際博覧会「愛・地球博」が3月25日にいよいよ開幕します。自然の叡智(Nature's Wisdom)をメイン・テーマとした自然と環境を大切にした博覧会。新住宅市街地整備事業を前提とした海上の森540haを計画地としていた当初の案から、二転三転する中で常に環境保護という重い課題と背中合わせで歩んできた博覧会。最終的に落ち着いた「長久手会場」(158ha)と「瀬戸会場」(15ha)の2会場もすでに9割程度以上の整備の進捗を見ているところです。
 120を超える国々をはじめとした出展パビリオンが林立するさまは、建築物、構造物のオンパレードという感も否めませんが、緑濃い自然豊かな環境条件にある供用中の愛知青少年公園の全域を利用した会場整備にあって、そこにある緑を出来る限り守り、居心地の良い空間づくりのために出来る限りの新たなうるおいを創出しようとした先輩方の苦悩の道のりを、皆様には見て感じ取っていただけるものと思っております。
 博覧会にお運びいただく多くのお客様が期待されるコンテンツは、マンモスだったり、最新の科学技術・映像技術・産業技術(ロボット?)だったり、大がかりな催事だったりするのでしょう。そして、会場そのものの良さは、全く気に留めずに、おいしい水や空気のように感じて帰っていただくべきものと思っております。もちろん逆の場合は、しっかりと声や表情に出していただいて、185日間謙虚に改良に努めます。そうした改良に力を尽くしていただくメンバーを造園や演出展示系の専門業種から直接来ていただく体制がつくれて、本当に良かった。生き物を相手にして空間を構築する者だけに与えられた能力が、いかに大きいか、極限状態の技術のコラボレーションの現場にいると痛感されます。コラボレーションという域に達しない中で、どうにかしてまとめ上げていく能力といった方が正確かも知れませぬ。これから開幕までのわずかな時間がまずは我々分野の腕の見せどころ。ここに居られることに感謝しています。
 会場中央の愛・地球広場にそびえ立つ「バイオ・ラング」。数知れぬ多くの諸先輩方のお力添えがあり実現できた花と緑の結晶。是非、ご覧ください。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
  …最終コーナー、未だ巡航速度にて …

造園アピールの絶好の機会
日本造園建設業協会
2005年日本国際博覧会
   対応特別委員長 佐藤 四郎

 新年明けましておめでとうございます。
  本年3月25日にはいよいよ愛知県にて、「2005年日本国際博覧会」が開幕されます。
 本博覧会は「自然の叡智」をテーマに、愛称も「愛・地球博」と我が業界にとり、造園の信をアピールする絶好の機会であり、2年前に特別委員会を設置し、準備・支援を進めてまいりました。
 開幕まで残すところ2ヶ月半になり、当協会会員を中心に自然に調和した会場整備工事も順調に推移しており、造園業界に与えられたステージを活用し、日本の伝統の技と最先端技術を来場者のみならず、世界に発信し交流出来るものと信じております。
 開幕までの工事は関係者に満足のいくものを完成させるのは当然でありますが、185日間の開催期間中に於きましても、生き物を扱う唯一の業界として、ハード面のみならずソフト面も対応致します。そして世界中の人々に造園を通じ、環境問題を提議し、自然との共生が出来た時の喜びを分かち合うべく2005年日本国際博覧会対応特別委員会は、業界の輝かしい未来に向けて努力してまいります。
 会員の皆様にも、今後当博覧会が成功するためのご支援、ご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。

4面

’05 緑のイベント・プロジェクト多彩に
緑の未来を発信

「花と緑の幸せ物語」を発信
第22回全国都市緑化ふくおかフェア

アイランドシティ「ふくおかフェア会場」平面図
ふくおかフェア会場のイメージ



 緑にかかわるイベントは、国内外でさまざまな催しが多数開催されるが、国内で最大のイベントは、「全国都市緑化フェア」。国土交通省が後援し、7都市緑化基金と開催地の地方公共団体が主催して開催。都市緑化意識の高揚と知識の普及を図り、緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与することを目的に1983年(昭和58年)から毎年行われている花と緑の祭典。今年は第22回で、福岡市のアイランドシティを中心に開かれる。
【開催概要】
 開催テーマ=はじまる、花と緑の幸せ物語〜風・博多からアジアへ〜
 主催者= 福岡市、7都市緑化基金 
 共催者=7福岡市森と緑のまちづくり協会 
 開催場所=福岡市東区 アイランドシティ中央公園とその周辺域(会場区域:23ha、駐車場他:30ha) 
 開催期間=平成17年9月9日(金)〜11月20日(日)の73日間 
 開催時間=9時30分〜17時30分 
 施設展示=開催テーマのもと、2カ月以上にわたり繰り広げる「花」と「緑」の盛大な祭典。国内はもとより世界各地からの花と緑の出展や、多くの市民が参加する魅力あふれるフェアとなっている。 
【施設展示】
 施設=テーマ館、アジアンタウン、アジアンティーガーデン、こども夢未来館、花の美術館、花・緑体験催事館、企業出展館、自治体観光・物産館展示
 テーマ展示=(福岡の緑:過去・現在・未来、アイランドシティのまちづくり紹介、アジア地域の貴重な植物展等)、植物不思議ワールド展 〜植物と昆虫の関係〜、国際交流庭園(姉妹都市等庭園出展等)、環境共生住宅とガーデニング等
 行催事=アジアの音楽と踊り・食と物販、花と緑のエンターテインメント、ガーデニングコンテスト、花と緑の体験教室等

大阪花博の理念を継承し
21世紀型生活文化を地域から発信
花フェスタ2005ぎふ

 

 

 

世界一のバラ園となる花フェスタ記念公園のバラ園イメージ

 都道府県、市町村でも独自に緑にかかわるイベントを行っている。こうした中、愛・地球博とも連携、会場の映像交換を行う「花フェスタ2005ぎふ」は、1990年に開催された国際花と緑の博覧会の「自然と人間との共生」の理念を継承し、「ゆとりをもって生活を楽しむ」といういわば21世紀型生活文化の先取り施策として、同県が平成2年度から全国にさきがけて展開してきた取り組みの集大成ともいえるフェア。すでに、花の都ぎふ運動として、「花づくり」「花かざり」「人づくり」が浸透し、園芸産業の活性化人も貢献、「日本一住みよいふるさと岐阜県」を実現しようという意気込みが伝わってくるイベントとなりそうだ。
【開催概要】
 名称=花の都ぎふ運動15周年記念花フェスタ2005ぎふ(Gifu Flower
Festival 2005) 
 略称=花フェスタ2005ぎふ 
 基本理念=交流・連帯・創造/人間中心主義/県民協働 
 開催目的・目標=人間の花、家庭の花、地域の花それぞれの個性の花の開花(自分に、家庭に、地域にいいことをしよう)/人間中心の生活スタイルの確立/県民協働・県民主役の県政推進/日本一の花産業の振興 
 開催テーマ=210万人の生命の輝き 
 キャッチフレーズ=花フェスタは人フェスタ 
 開催場所=花フェスタ記念公園(岐阜県可児市瀬田)岐阜県下各地のサテライト会場でプレイベントや協賛イベントを実施 
 開催期間=2005年3月1日(火曜日)〜6月12日(日曜日)104日間 
 目標入場者数=100万人 
 主催=花フェスタ2005ぎふ実行委員会 

緑の未来に期待
量・質を増やし高める
景観緑三法など取り組み進む

 

 緑の未来を発信するのは、イベントだけではない。あらゆる分野で緑の未来が期待されている。また、量から質への転換も進展し、 量と質をともに増やし高める取り組みも進んでいる。
 緑の未来の発信としてまず、掲げられるのは、昨年末省令等が出揃った「景観緑三法」だろう。景観緑三法では、歴史的な町並みだけではなく、里山や棚田など、これまで都市の緑に限られていた景観を構成する緑の保全、創出を大きく打ち出した点が特徴だ。
 自然の保全の観点からは、これまでも森林等が保全されてきたが、今後は、都市の公園はもとより、道路、河川、さらに農山漁村のあらゆる緑が景観に配慮し、保全、創出されることになり、造園の活躍の場は大きく広がったといえる。
 地球規模の問題からは、温暖化防止のための京都議定書が発効されることとなり、二酸化炭素の吸収源として、緑量が厳密に経済の枠組みに加えられることになり、その管理や新たな緑の創出は、量とともにその質も合わせて評価されることになる。
 温暖化防止を含め、都市部で今後も普及していくのが屋上緑化をはじめとするヒートアイランド対策だ。屋上緑化については、各地方公共団体の義務化や助成などによって、良好な事例がいくつも誕生しており、公共公益施設についても、本格化はこれからであり、様々な展開が見込まれ、大きな市場ともなっている。
 愛知万博では、バイオ・ラングが先進的な壁面緑化として登場するが、より広範な部分に応用可能な壁面は、屋上緑化以上の可能性も秘めている。屋上緑化が単なる緑の被覆ではない修景性が求められるようになったが、壁面緑化についても同様だ。景観に配慮し、人々の暮らしに調和した緑の創出が求められている。
 人々の暮らしにとっては、安心も欠かせない。昨年は中越地震など、多くの自然災害に見舞われたが、阪神・淡路大震災に次いで、公園の防災拠点としての機能が改めて認識されることとなった。
 憩いと潤いを与え、さらに子どもたちの遊び場や街の賑わいの場となっている公園は、日常生活の中で大切さを認識する機会が少ないといえる。このため私たちは、改めて大切さに気づいてもらえるよう情報を発信していく必要がある。
 そのほか、景観緑三法にも関連し、観光立国へ向けての取り組みやビオトープなどの身近な環境での自然保全も環境教育の面などから推進されている。環境や教育に役立つ、質の高い緑がますます重要になってくるといえる。
 こうした量と質を伴う緑の創出、保全の拡大といった緑の未来を担うには、確かな技術と知識が必要だ。このため、これを担う仕組みづくりも着々と進み、街路樹剪定士植栽基盤診断士造園基幹技能者など当協会での取り組みや、今年度から本格稼動する造園CPDでは、新たな知識・技術の取得を促し、指定管理者制度では、運営も含めた公園緑地の管理が求められるようになる。
 緑への期待は大きく、さらにその広がりは限りなく未来に広がっている。