INDEX 広報 日造協 2005年2月10日 第371号
1面

平成17年度都市公園・緑地保全等 事業予算額2581億円に
   魅力ある都市の形成など重点
新年造園人の集い開催
  進むべき方向の確立へ 各界連携し社会にアピール
【樹林】
  利用されてこそ公園緑地  (財)公園緑地管理財団昭和管理センター長  椎名豊勝
人事異動

2面

植栽基盤診断士認定試験 合格者 133名に
  地域のオピニオンリーダーとして今後の更なる活躍に期待
  植栽基盤診断士 合格者一覧
【麹町箱】
  隅(すみ)におけない炭(すみ)の話  三重県支部 技術委員・伊藤 一

3面

「景観づくりとわれわれの役割」をテーマに
 造園・環境緑化産業振興会  シンポジウム開催

 事業間連携への対応や育成の重要性など議論
街路樹剪定士指導員  認定研修会開催
【緑滴】 比較力より企画力  (株)日比谷アメニス  鈴木 誠司
【事務局の動き】
【総・支部だより】
   女性の視点から造園を考える 女性フォーラム開く        福岡県支部

4面

【総・支部だより】
   総街路樹剪定士認定研修会 県・市町村職員も参加   千葉県支部
   関東地方整備局と意見交換会を開催             関東・甲信総支部
   都市緑化研修会を 緑化14機関で開催           高知県支部
   市民参画型公園めざし 交流・アピールを推進       兵庫県支部

 

1面

平成17年度
都市公園・緑地保全等
事業予算額2581億円に

魅力ある都市の形成など重点

平成17年度都市公園
緑地保全等事業予算額

 国土交通省平成17年度都市公園関係予算は、国費1286億7600万円、事業費2581億9200万円となった。新規事項では、@緑地環境整備総合支援事業の拡充A景観重要建造物等と一体となった都市公園等の整備の重点的推進が認められた。
 平成17年度予算を前年度と比べると、国費0・95倍、事業費0・94倍で、古都及び緑地保全が事業費ベース0・91倍で減少の割合が最も大きく、一方で緑地環境整備総合支援事業費補助が1・06倍と前年度を上回る予算となった。
 なお、今回の予算は、@魅力ある都市(避難地・防災拠点のある都市公園等の整備)A個性と工夫に満ちた地域社会(地域の個性を生かした観光振興、地域間の交流・連携のための拠点となる都市公園等の整備)B公平で安心な高齢化社会・少子化対策(歩いていける身近な公園の整備)C循環型経済社会の構築・地球環境問題への対応(温暖化対策、ヒートアイランド現象の緩和、自然再生等のための公園緑地の整備、緑地の保全、緑化の推進)の4分野に重点が置かれ編成された。

新年造園人の集い開催
進むべき方向の確立へ
各界連携し社会にアピール

 乾杯の発声を行った成家会長

  新年造園人の集いは1月6日、東京・千代田区の赤坂プリンスホテル・クリスタルパレスで開催され、約800人が参加した。
 冒頭、発起人を代表して田邊昇學6日本公園緑地協会会長が「先人の思いを引き継ぎ造園界の発展に努めたい」とあいさつ。次いで、国土交通省から高梨雅明公園緑地課長が「造園の社会的理解を得るための取り組みがますます重要。社会的共通資本の時代ともいわれるが、緑や景観はまさに社会的共通資本。この充実のためにより積極的に取り組んでいきたい」と述べた。
 また、環境省からは、小野寺浩自然保護局長が「自然環境については近年、理学系の土木建築、生態学からの積極的なアプローチも見られるが、自然の取り扱いは、経験が何よりのポイント。造園は社会的にもっとも実績のある分野、団体である。これからは都市においても自然環境の質が問われる時代。ますますの活躍を」と期待を語った。
 その後、日本造園学会・田代順孝会長が「造園界のために学会は何ができるかを常に考えている。役立つ学会であるよう努力したい」と述べ、その後、造園業界を代表して、当協会・成家次男会長が「昨年の浜名湖花博は目標を上回る来場者で花と緑の関心の高さを改めて認識した。日造協も昨年は全国を回って新たな時代の進むべき方向を確立するため、その取りまとめを進めている。業界、そして国民のコンセンサスをエネルギーとして、快適な環境の創造にこれからも務めていきたい」と乾杯を発声(写真)。祝宴となった。

【樹林】
利用されてこそ公園緑地
(財)公園緑地管理財団
昭和管理センター長  椎名豊勝

 大阪花博から数年たった頃でした。東京での公園関係会議を今でもはっきりと記憶しています。花博に携わった体験から公園利用促進の重要性について持論を展開しました。しかし出席者の反応は今ひとつでした。逆に存在緑地機能こそ公園緑地の本質との意見に賛同するむきがありました。バブルの余波で用地買収など公園緑地整備が華やかな時代でしたので無理からぬことだったのでしょう。
 それから十年以上経過し、公園緑地の考え方も取り巻く社会環境も変化しました。単に予算を獲得し整備すれば、公園は存在するだけで社会的役割を果たし、公園利用はそれに付いてくるなどという都合のよい構図はすでにありません。エンドユーザーとしての利用者視点を捉えられるか否か、入園者数など公園利用の多少が、公園緑地の社会的価値・評価を決定するという構造への変換が現在求められています。もちろん、公園緑地ネットワーク、生き物回廊、防災緑地系統、樹林保護、景観などの機能が十分発揮されることが前提とされますが…
 では、どのようにすればよいのか、それは「利用されてこそ公園緑地」という考え方を徹底させる必要があります。
 文芸評論家・奥野健男氏は「文学における原風景」の中で「“原っぱ”で子供たちはなにをして遊ぶか。蝉やとんぼはじめ、いろんな虫を採る。みみずを掘る。石や金具やかわらけを集める。どんぐりや椎の実を拾い、木に登り、雑草をひっこ抜き…」と描いています。昭和の東京山の手「原っぱ」を原風景とした、子供にとって生き生きとした野外の遊びは戦後かなりのときまで続いてきましたが、今はどうでしょう。大人にとっても同様の変化が見られます。
 競争社会の激化、IT社会の到来、生活行動の多様化などなど公園利用を取り巻く社会的状況は厳しさを増していることは事実でしょう。いまさら日常生活での公園緑地の利用促進など夢のまた夢と考えるむきがあるのも当然です。
 しかも子供たちはインターネット、携帯電話などが次々に出てディスプレイなしには生きられないと言い出すところまできていると言われています。その中で、百ます計算の実践で知られる広島の小学校校長・蔭山英男氏は、時間や空間や遊びなど社会環境を子供の健全な成長を促すものとして整備することを提言しています。すなわち子供にとって競争よりも遊びや生活空間や時間管理を含めた日常生活を改善することが、心身の成長と学力の発達に良い影響を及ぼすと述べています。大人にとっても同様に言えることではないでしょうか。そして全国に約9万ヶ所・10万ha余を有する公園緑地が、往時の「原っぱ」の機能を担うよう期待されていることは事実でしょう。
 今こそ、ハード・ソフトにわたって魅力ある公園整備・管理運営を戦略的能動的に進め、公園利用を促進し日常生活の野外遊びやレクリェーション行動時間を適正に確保することが公器として公園緑地に与えられた使命です。
 具体的方法のひとつとして公園潜在資源の発見・活用が大切です。たとえば貴重・美しいなどの動植物資源、古墳・建物・庭園・天然記念物などの文化的資源、池沼・丘陵・湧水などの自然的資源などを利用者の視点にたって魅力あるものに発掘・企画し提供することです。もうひとつは市民参加やボランティアなどのカテゴリーやいかに参加者を増やすかなど、システムの工夫が必要です。彼らはそれぞれの活動の中で新しい魅力やコミュニティーを創出し、定性的にも定量的にも公園魅力拡充と利用促進に活力を与えてくれます。
 さらに最も重要なのは安心・安全な公園の実現です。利用促進のベースにはこの信頼関係が不可欠です。あの公園で子供を遊ばせても大丈夫とか、女性ひとりで出かけても安心して散策できるなどイメージの構築が必要でしょう。たとえば事故対応・アフターケアも含めた遊具の安全体制の確立。我国ではあたりまえかもしれませんが、公園24時間開放(放任?)の見直しなど根本からの改革が必要なのかもしれません。

人事異動

都市・地域整備局関係
1月1日付
 ▼辞職=小前 繁(大臣官房技術審議官(併)都市
・地域整備局)
 ▼大臣官房技術審議官(併)都市・地域整備局(併)街路課長 = 斉藤 親(街路課長)

2面

植栽基盤診断士認定試験
合格者 133名に

 地域のオピニオンリーダーとして
 今後の更なる活躍に期待

実技試験の様子(化学性)

実技試験の様子(透水性)

実技試験の様子(土壌硬度)

実技試験の様子(土壌断面)

実技試験の様子(土性・土色判定)

今年度の開催は次の通り。

植栽基盤診断士補
 植栽基盤診断士補研修会は、植栽基盤診断士補に求められる、植栽基盤、土壌、植物、植栽に関する知識と経験及び処方能力、植栽基盤整備に係る技術力を習得することを目的に、3日間にわたり、研修と修了試験(学科)を各総支部単位で7月から8月にかけ実施した。
 日頃から植栽基盤について問題意識を持ち、かつ実際に植栽基盤整備についての経験が無いと、合格するのは難しい試験となっている。

植栽基盤診断士認定試験
 植栽基盤診断士補修了試験合格者を対象に実施。
 植栽基盤診断士補に求められる能力をさらに総合的に兼ね備え、かつ卓越した技術力が求められる。1次試験(学科)と2次試験(1次試験合格者に対し実技と面接)による、難易度の高い試験を実施。
 (植栽基盤診断士認定試験の受験資格は、植栽基盤診断士補修了試験合格後、2年以上の植栽工事実務経験を必要としているが、平成15年度、16年度は特例措置により免除)
 ■1次試験(学科)
 各総支部単位で一斉実施。(H16・10・17)
 植栽基盤診断士には、知識だけでなく、処方提案を行うための文書作成・提案能力も重視される。1次試験では、その点も考慮した試験内容としている。
 また、2次試験受験の必須要件として、実務経験に関するレポート提出がある。
 ■2次試験(実技・面接)
 2班に分け、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで実施。(H16・12・1〜3、12・6〜8)
 植栽基盤診断士として欠かすことの出来ない、植栽地盤の現場調査、診断のために必要な土壌断面、透水性、土壌硬度、土壌の化学性の確認、土性の判定が実際にできるかどうかを @使用機器の知識 A機器の使用方法・B使用上の注意――等について、実技、口頭試問により審査した。面接試験は、受験者一人に面接官二名が植栽基盤診断士としての適性について様々な角度から面接・審査した。
 試験の合否については、近藤三雄東京農業大学教授を委員長とする「認定審査委員会」により、厳正に審査・判定を行い、今後さらに社会に認知・信頼される資格となるようとのコメントがあった。
 この難関な資格に挑戦し、見事合格した方は左記の通り。
 合格した方は更に植栽基盤診断士としての能力を高めるために、率先して技術や知識の習得に努めていただき、また地域での植栽基盤のオピニオンリーダーとしての役割も十分に発揮して頂くことを期待する。


植栽基盤診断士
合格者一覧

 

 

 

【北海道】熊谷雅人・雪印種苗梶^小山聡・竃k海道造園コンサルタント/吉田英司・潟シダ造園緑化/田子谷文幸・葛j梗造園/大森匠・渇。山造園【青森県】橋本修・轄′脂/長尾靜治・拒蜑、農園【宮城県】高橋周一・むつみ造園土木叶蜻芍c業所/佐藤功・アサヒグリーン工業【秋田県】玉尾重秋・(有)玉尾造園土木/佐藤榮・手形造園土木梶^小松一・手形造園土木梶^西川紀暁・むつみ造園土木梶^根本仁志・秋田植林土木梶^加賀谷正春・給ハ尾造園土木/佐々木創太・むつみ造園土木梶^三浦周・竃リ村造園【福島県】大平雅浩・鰹蝿范ホ樹園/野尻晃・竃尻緑産【茨城県】磯内正明・鹿島花壇土木梶^川上一夫・叶上農場【栃木県】鈴木里司・叶エ水造園/増田博一・椛搏c造園【群馬県】清水均・鰍オみづ農園/茂木一彦・拒o葉造園/大沢将士・山梅造園土木梶^三田芳夫・山梅造園土木【埼玉県】赤土正浩・西武造園鞄兼本支店/宮坂篤・鞄燗c緑化興業【千葉県】古川孝志・藤木園緑化土木梶^荒木睦・内山緑地建設叶逞t支店【東京都】木村守孝・鞄比谷アメニス/山口純・鞄比谷アメニス/後藤直樹・兜x士グリーンテック
/菅野光弘・加勢造園梶^田嶌直・兜x士植木/斎藤和子・兜x士植木/高田浩明・鞄比谷アメニス/高橋和敬・鞄比谷アメニス/大久保学・鞄比谷アメニス/坂巻俊一・東洋グリーン産業梶^出島森央・アゴラ造園梶^小林哲也・アゴラ造園梶^平田伸一・西武造園梶^押田英之・岩田造園土木梶^山本修・兜髄野種苗園【神奈川県】関隆夫・鰹テ南グリーンサービス/蜂谷道和・難波造園梶^植草唯一・藤造園建設【新潟県】長島賢・樺キ生園/遠藤広一・褐i/水野一夫・鞄建緑地/小林武徳・鰹ャ林造園/五味沢健一・石川緑樹梶^大橋忠弘・らう造景【富山県】栗山博・葛v郷一樹園/久々視・葛v郷一樹園/伊井直樹・立山造園土木梶^千葉勝秋・樺曽根造園/堀浩一・砺波造園土木【石川県】奥宏誠・級恷園/辻田裕・渇汾グリーンセンター/松田茂樹・渇汾グリーンセンター/福島重明・潟宴塔hスケープ開発【福井県】中村潤一・鰍オばなか【長野県】小西勲・樺キ遊園【岐阜県】大野秀貴・慨ANKOH TC/吉村清隆・吉村造園土木梶^水崎貴久彦・イビデングリーンテック【静岡県】石川正之・鞄穴Cフォレスト/片倉清司・蒲搆、グリーン/塩h敏裕・天龍造園建設【愛知県】都築政紀・竃L田緑化苑/鈴木宏明・株~松園/川島大次・岩間造園梶^増田晃一・内山緑地建設樺部支店/後藤正春・大島造園土木梶^櫻井寿昭・大島造園土木【三重県】福永宗継・泣Aイビー造園/川嵜健児・巨崎造園【滋賀県】平塚英史・兜山園【京都府】水田俊宏・叶田造園緑地/米田孝子・米田造園土木梶^桑原光弘・石豊造園土木梶^茨木正・活木春草園/小島俊男・鰹ャ島庭園工務所/小林英紀・鰹ャ林造園/神藤和憲・轄pホ造園土木【大阪府】大谷義彦・京阪園芸梶^藤原直孝・葛檮辮_グリーン/吉岡威・内山緑地建設滑ヨ西支店/中村秀夫・大阪造園土木梶^桑田宣之・潟Nリエイティブ阪急/新原猛・蒲搆、グリーン【兵庫県】高橋正敏・関西造園土木梶^濱和伸・関西造園土木梶^野条誠・樺西総合ガーデン/田邉晋治・阪神園芸梶^出田正志・滑ロ山造園/柏木浩志・向内造園梶^武田竜一・山手造園土木【和歌山県】井内優・活苴煢ョ種苗園【鳥取県】山口忠春・拠C巳園【島根県】槇野浩二朗・出雲土建梶^竹下靖夫・鞄c部/目次博明・樺の川島【広島県】青蜴瘤・興国園芸梶^小田芳生・みずえ緑地梶^海老原英彰・轄L田造園【山口県】寺迫秀文・潟Jンサイ/小村仁志・渇コ関植木【徳島県】豊崎芳史・鰹シ本観翠園【香川県】岡一洋・叶X造園/古家敏弘・且R地宝松園/角田哲也・鞄。田萬翠園【愛媛県】渡部一幸・瀬戸内緑地【福岡県】三苫高義・潟Xピナ/戸田敏弘・内山緑地建設梶^岩田政広・内山緑地建設梶^稲吉康浩・西鉄グリーン梶^國基博・九州林産梶^桂教男・葛繽B緑化建設【佐賀県】西島治・兜S花園/市丸博康・兜S花園【長崎県】松田学・鰹シ田久花園/山本一太・且R本造園土木/久部芳人・樺建【熊本県】松本雄介・鰹シ亀園/渡邉学・叶迴謇【大分県】福田博英・内山緑地建設【鹿児島県】船橋修一・滑ロ山緑地建設【沖縄県】遠藤義夫・おもと造園/白鳥智彦・巨シ原農園

【麹町箱】
隅(すみ)におけない
炭(すみ)の話
 三重県支部 技術委員・伊藤 一

 毎日の仕事から出る剪定枝をチップにして処理をしていましたが、もっとソフトに地球にやさしく還元することはできないかと考えた末、シャープ電機の工場進出で活気のある亀山市の山中に炭焼窯を設置しました。
 焼き上がった炭は太さは揃ってないものの、中には黒光りのするものもあり、思った以上に良いものができました。これを『土壌改良剤』『床下調湿炭』などに使ってみようと改めて炭の勉強を始めました。
 驚いたことに炭は1グラム(小指の先位)でテニスコート1面ほどの孔があります。
 この多孔質のため湿気とか臭気を吸収し、土壌改良剤として土の中では善玉微生物に住み家を提供するそうです。
 戦前では燃料の大半がこの炭であり薪でありました。山から炭焼きの煙が消えて花粉症が増えた等という話を聞くと現在の我々はエアコンによる快適さとか、その他の便利さと引き換えに地球のご機嫌を損ねているのではないかという感慨におそわれました。
 炭はそれだけでなく魚とか肉を焼く時に、近赤外線が出て表面を焦がさずにパリッと焼け、しかも中身のうまさを閉じ込めるそうです。
 三重県は魚も肉も美味しく、特に松坂牛肉が有名です。松坂駅裏にズラリ並んだ焼肉屋さんがコンロで炭火を運んでくる意味が良く判りました。

3面

 

造園・環境緑化産業振興会
 景観づくりとわれわれの役割
 をテーマにシンポジウム開催
      事業間連携への対応や
      育成の重要性など議論

 

 

 

 

 

 

 当協会ら造園関連5団体で構成する造園・環境緑化産業振興会と 6日本造園学会は、国土交通省の後援と関係団体の協賛を得て、シンポジウム「景観づくりとわれわれの役割」を1月27日、東京・千代田区紀尾井町の千代田放送会館で開催した。
 シンポジウムは、景観緑三法施行に伴った地域の特性を生かした景観づくりへに役立てるもの。 
 当日は3部構成で、第1部は「都市緑地法の徹底レビュー」をテーマに西川嘉輝・国土交通省都市・地域整備局緑地環境推進室長が、景観緑三法や平成17年度の事業、予算概要を紹介。第2部は、、「なんばパークスガーデン」林広一氏、「田上百年の森 いにしえの緑をわれわれの手で」田中康氏と、04年CLA賞最優秀賞受賞者である両氏がそれぞれ、都市、農村における景観保全・形成の事例を紹介した。
 第3部は、蓑茂寿太郎・東京農業大学教授が、「景観緑三法とこれからの造園界」と題して基調講演。その後、島田正文・日本大学教授のコーディネートで、日本造園建設業協会から佐野藤右衛門氏、日本造園組合連合会から白井昇氏、ランドスケープコンサルタンツ協会から田中康氏が参加。西川室長と蓑茂教授の5氏をパネリストにディスカッションを行った。
 蓑茂教授は、これからは砂防と公園を合わせた庭園砂防や道路と公園を合わせた緑陰道路など、事業間連携の時代―などと述べ、パネル討論では、佐野藤右衛門氏が、基本、「もとから考える」ものづくりを提案したほか、基調講演を踏まえた総論として、景観づくりにマニュアルはなく、造園の基本と同様、気候、風土地域性を生かすとともに、完成のない緑の空間は、育成が重要で、広く社会に理解してもらう必要があるなどとした。

街路樹剪定士指導員
認定研修会開催

 

指導員認定研修会での実地研修

 街路樹剪定士指導員認定研修会は、平成17年1月18日より20日までの3日間にわたり、千葉県君津市で開催した。
 街路樹剪定士指導員は、市民に愛される美しい街路樹を育成するために設けた「街路樹剪定士」の指導・認定、地域活動の推進等の役割を担うもので、支部及び支部長推薦による32名が全国より集まり、実技・座学試験に望んだ。
 初日の午前中は、君津グリーンセンターにて、指導員の果たすべき役割、美しい街路樹を育てるための知識や対策立案等の講義や受験者と講師による意見交換会も講義の一環として行われ、街路樹を巡る様々な状況・問題点等について、活発な意見交換が行われた。
 午後から講師によるイチョウの見本剪定と解説、受験者によるエンジュの剪定実習を行った。
 2日目は、君津市及び君津造園建設業協同組合のご協力のもと、エンジュとイチョウをそれぞれ各1本づつ剪定し、安全、鋏の使い方、出来ばえ等の評定を行った。
 3日目は、街路樹診断業務の実際についての講義の後、対策立案能力に関する認定試験を行い全日程を終了した。
 今回の認定試験では、昨今の街路景観に対する市民の関心の深さに鑑み、より一層、厳しく採点が行われた。
                                      (本部事務局)

【緑滴】

比較力より企画力

(株)日比谷アメニス  鈴木 誠司

 

 昨年の2004年を振り返ると、世界的な災害が目を引きました。
 モンゴルの大雪から始まり、夏には米国やカリブ海を襲った大型ハリケーン、中国の洪水・台湾の干ばつ、年末には現在も被害の続いているスマトラ沖地震による大型津波など異常気象が相次ぎ、日本のみならず英国やドイツでも観測史上最高気温となりました。
 日本国内においても、台風災害から新潟中越地震まで数々の災害に見舞われた年であり、本年をあらわす漢字も“災”の字が採用されたことは周知のことと思います。
 このような地球規模での異常気象に応対してゆく為、世界レベルで環境問題がクローズアップされており、昨年のノーベル平和賞には“生活環境を守ることが平和につながる”として、創設以来始めて環境関連での受賞がありました。
 受賞者はケニアのワンガリ・マータイさんで、樹木を植樹し続けたことが表彰対象となったことはご存知のことと思います。
 このような環境に対するニーズは日本国内でも同様であり、指定管理者制度や、景観緑三法などと共に、われわれ産業界には順風が吹いて来ているのだと考えております。
 さて、それではこの順風に乗ってゆくにはどうすればよいのでしょう?
 私の個人的な意見としては、以下の2点の認識が必要なのではないかと考えます。
 まずは、ユーザーニーズを的確に捉え、使用者ベネフィットを考慮した、ユーザーを取り込んだ施策。
 噛み砕けば、我々の事業を分かりやすい言葉と行動で、広く一般住民とコミュニケーションを取ってゆく事が第1点。
 第2点目としては、出来上がった事業(仕事)を奪い合うことから、企画提案によって事業(仕事)を創造することへの転換だと思います。
 我々は情報化が進んだ分、どちらかを選択してゆくという“比較力”は格段に進歩を遂げたと思います。
 ただしその反面、自分の意思で企画を立案するという“企画力”が退化してきているのでは…と感じ得ます。
“比較力より企画力”をキーセンテンスにし、酉年(とり)である本年は、色々な問題を取り払い(とり はらい)、大きな取引き(とり ひき)を取り込み(とり こみ)ましょう。

事務局の動き 【1月】
4(火)・ 御用始め
5(水)・ 都市計画協会新年の集い
6(木)・ 新年造園人の集い
7(金)・ 道路緑化保全協会名刺交換会
11(火)・北海道造園緑化関係団体合同新年交礼会
11(火)・神奈川造園人賀詞交歓会
12(水)・近畿総支部新春造園界の集い
13(木)・ 造園・環境緑化産業振興会シンポジウム打合せ
13(木)・ 造園施工技術者試験委員会
17(月) 〜19(水)・造園工事基幹技能者認定研修会(福岡)
18(火)・ 自由民主党大会感謝状贈呈
18(火) 〜20(木)・街路樹剪定士指導員認定研修会
18(火) 〜19(水)・21(金)・街路樹剪定士認定研修会(千葉)
22(土)・ 第31回全国造園デザインコンクール審査会
25(火)・ 植木協会創立35周年記念式典
25(火) 〜27(木)・造園工事基幹技能者認定研修会(仙台)
26(水)・ 建設業振興基金会議
26(水) 〜28(金)・造園工事基幹技能者認定研修会(東京)
27(木)・ 造園・環境緑化産業振興会シンポジウム
28(金)・ ジャパンイフラ総会
31(月)・ 彩の国みどり合同賀詞交歓会
31(月) 〜2/2(水)・造園工事基幹技能者認定研修会(大阪)
【2月】
1(火) 〜3(木)・造園工事基幹技能者認定研修会(石川)
3(木)・ 財政・運営検討特別委員会作業部会
4(金)・ 沖縄国際洋蘭博覧会審査会
4(金)・ 「広報日造協」編集会議
4(金)・ 第31回全国造園デザインコンクール表彰式
5(土)・ 沖縄国際洋蘭博覧会表彰式
7(月)・ 造園施工管理技術検定委員会
14(月)・ 財政・運営検討特別委員会作業部会
16(水)・ 愛・地球博財務委員会
23(水) 〜25(金)・造園工事基幹技能者認定研修会(広島)

【総・支部だより】
女性の視点から造園を考える
女性フォーラム開く

            福岡県支部

パネリストは全員女性。
参加者は200名を超した

 

「緑豊かな美しい景観づくりをめざす」女性フォーラムが、1月18日(火)福岡県造園業協会、福岡市造園建設業協会との共催により福岡市で開催された。
 稗田慶子福岡県副知事の「女と男が共に働く男女共同参画社会へ」と題する基調講演に続いて開かれたフォーラムでは、学会、行政、業界から環境や造園に関わる女性5名がパネリストとして登場、堤八重子氏(全国女性造園技術者の会四国
・九州ブロック幹事)をコーディネーターに「男女の発想や行動の違い、共同参画への道筋について」、「女性のセンスを生かした景観づくりのあり方」、「造園業で女性が活躍するための方策について」の3つのテーマについて、意見交換した。
 いま、NHK朝の連続テレビドラマでは、父と約束した“緑に囲まれた家づくり”の夢を果たすため、ひたむきに造園家への道を進む女性を描いた「わかば」が放映されており、まさにタイムリーなテーマとなった。
 パネリストからは「以前は女性だからという面で見られていたが、現在は職場の環境も変わってきた、自分達が努力していくことが必要」、「男女の壁を乗り越えていったら認めてもらえるようになった」と自信にあふれた言葉も聞かれ、「体力的に厳しい部分もあるが、女性も環境に甘えず、しっかりと根を下ろして頑張っていってほしい」とエールも送られた。
 また、「女性の細やかなセンスやアイデアを景観づくりに生かして、プロの技を磨いてほしい」との注文や、「女性のニーズをつかんだ庭づくりのプランニングが必要では…」と分析するパネリストの発言に、大いに議論が盛り上がり、参加者も熱心にメモを取っていた。
 今回は、パネリストが全員女性という初めてのフォーラムではあったが、参加者が200名を越えた会場は、これまでとは違った熱気に包まれていた。
(九州総支部 事務局)

4面

【総・支部だより】
総街路樹剪定士認定研修会
県・市町村職員も参加

             千葉県支部

研修会は君津市内で行われた

 千葉県支部と(社)千葉県造園緑化工事業協会との共催による平成16年度街路樹剪定士認定研修会が1月18日・19日及び21日の3日間にわたり開催されました。
 開講にあたり望月千葉県支部長から挨拶があり、座学では、剪定・安全衛生管理・病害虫・植栽基盤整備のケーススタディー等の講義及び筆記試験が行われました。特にケーススタディーでは、現場における問題点など活発な質疑応答がなされました。
 実技では、君津市内のイチョウとナンキンハゼの街路樹を、指導員の指導を受けながら各受講者が1人1本を担当して剪定作業を行い実技試験に挑戦しました。
 今年度の研修会には、千葉県支部及び県造協の会員等49名に加えて、県及び市町村関係職員17名の参加を得て66名が受講しました。特に、発注者である県及び市町村の関係職員には当研修への参加を通じて、街路樹の植栽や管理面における共通認識が醸成され、街路樹の管理運営等が一層円滑に行われることが期待されます。
 なお、平成11年度に街路樹剪定士認定制度が発足以降、平成15年度までに本県においては、239名が街路樹剪定士の資格を取得しています。今後これらの街路樹剪定士が発注者等関係機関から一層の信頼を得て街路樹剪定のスペシャリストとして広く県内各地における活躍が期待されます。
 街路樹剪定士の重要性が増す中で当支部としても、今後ともこの研修会を充実、継続するとともに街路樹剪定士について一層のPRが必要と考えています。
                                  (千葉県支部事務局)

関東地方整備局と
意見交換会を開催

         関東・甲信総支部

意見交換会の模様

 関東・甲信総支部では、平成16年12月20日に国土交通省関東地方整備局との意見交換会を開催した。関東地方整備局からは竹村副局長、真鍋総務部長、木村企画部長、松本河川部長、本東建政部長、大槻地方事業評価管理官、篠崎契約管理官、白井技術調整管理官、木村道路情報管理官、磯部営繕調査官、浅香建設産業調整官、栗原公園調整官、羽鳥技術管理課長、松本建設産業課長、東都市整備課長の15名の出席をいただき、協会本部からは、成家会長ら7名、総支部からは、和田総支部長ら10名が出席した。会は栗原公園調整官を進行役として進められた。
 はじめに、竹村副局長から、国としては、景観緑三法の施行等で、ますます造園工事業の社会的役割が多くなっている。緑化技術の研鑽、開発に努めて、緑豊かな国づくりに大いに貢献していただきたい。とのご挨拶を頂いた。
 つぎに成家会長が挨拶。昭和46年に公益法人として発足以来、唯一の全国団体として造園業界の改革と発展の為に努めてきたが、近年他の建設業同様大変厳しい経営環境にある。その様な中で、技術と経営に優れた企業集団を目指して事業活動を進めている。今後も技術・技能の研鑽と向上及び有能な人材の育成に努め、ご要望に応えたい。緑豊かな、良好な環境の保全創出は、我が業界の社会的使命と思っている。と答えた。
 会議は、最初に山田副会長から、造園業界の現状と主な活動について説明をした。特に、基幹技能者、街路樹剪定士、植栽基盤診断士制度の主旨と目的について詳しく説明し、当協会の活動状況を充分にアピールした。
 次に和田関東・甲信総支部長から、整備局への要望事項の読み上げとその趣旨説明を行った。要望事項は(1)景観緑三法による積極的な事業の推進について。(2)造園の専門的資格(造園工事基幹技能者、街路樹剪定士、植栽基盤診断士)の活用について。(3)公園工事、造園工事の造園専門工事業者への発注について。(4)不良不適格業者の排除について。の4点で、整備局側と其々の項目について熱心な意見交換を行った。全体として和やかな雰囲気の中で進められ、協会側の主張を充分に理解していただいた。
                     (関東・甲信総支部 事務局長・竹島 正實)

都市緑化研修会を
緑化14機関で開催

             高知県支部

研修会の模様


 

 高知県都市緑化推進連絡会は昨年11月19日、第19回高知県都市緑化研修会を高知市の高知グリーン会館で開催され、約百名が参加した。
 同連絡会は、平成15年に発足。都市緑化のための関係機関の相互連絡、調整を図ることを目的に、中央行政の県内各機関、県の関係部署、日造協高知県支部など14機関で構成されたもの。
 研修会は冒頭、佐藤寿良
・高知県土木部都市整備課長があいさつ。
 次いで、「公園緑地行政の最近の展望」をテーマに、船久保敏・国土交通省四国地方整備局建政部都市・住宅整備課長が、公園緑地を取り巻く状況から、今後の公園緑地行政の展開の方向性などを示し、都市緑地保全法等の一部を改正する法律など、景観緑三法に関連した今後の展望や平成17年度公園・緑地保全事業予算の概要を解説。景観緑三法をはじめ、平成17年度の緑地環境整備総合支援事業の拡充などによって、緑化関連事業の対象はより広がりをみせることから、一層の積極的な取り組みによる安全で美しい地域づくりの推進を求めた。
 また、「美しい街づくり〜地域遺伝子を継承する造園技術によって」をテーマに、涌井史郎・桐蔭横浜大学教授、生命環境工学研究機構長が、自然の恵みを生かし、また自然の脅威から暮らしを守る海辺、山里など自然と共生したさまざまな暮らしの美しさ、豊かさを紹介。さらに江戸の街から高度成長を経た現在の都市を対比。21世紀の幸福は自己実現と時間充足であり、景観をはじめとする周囲の環境や自らの健康などが重要。園芸療法をはじめ、緑と人々の健康は深く関係していることなどを語った。
 研修会参加者は、行政、民間ともほぼ半々で、熱心に聴講。閉会のあいさつは、鬼頭慎一・当協会高知県支部長が行い、盛会に終了した。
                                 (高知県支部 事務局)

市民参画型公園めざし
交流・アピールを推進

兵庫県支部

多数の参加を得て
新しい植栽手法の
検討なども行っている

 国営明石海峡公園は瀬戸内海を挟み淡路地区と神戸地区の2つの地区に分れています。
 神戸地区では市街地に隣接した里山環境を再生し、人と自然の共生をテーマに、レクリエーションとの調和がとれた市民参加の未来型公園を目指し、国営明石海峡公園事務所が現在整備に着手しています。
 同公園神戸地区は六甲山系の西端に位置し、広さ約234ha、雑木林の丘陵地帯で棚田や、ため池が広がる、かっての日本の懐かしい「農」のある原風景が見られるところでありました。
 しかし、耕作が途絶えて久しく里山ならではの自然は荒廃しつつあるところです。
 我々会員は国営明石海峡公園事務所による、人と自然が共存できる公園のあり方や、整備についてご指導をいただきながら、棚田を中心に雑木林やため池の再生、耕作、環境保全活動、自然観察会、各種イベント等を通じて、市民や地元住民・NPO法人等と共にお互いに勉強しながら交流を深めております。
 また、現在、支部会員会社が整備中であります、棚田復元への新しい植栽手法を参加者と共に実施したり、工事現場における入場教育や安全管理の取り組みについても広く市民にアピールしております。
 このように、これからの市民参画型公園創りに行政や市民、業界が手を取り合って、人と自然の共存できる公園創りに参画しております。
                                  (兵庫県支部 事務局)