広報 日造協 2003年5月10日 第352号

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第5回理事会開く 平成15年度事業計画などを承認
第14回全国「みどりの愛護」のつどい
国営明石海峡公園で開催
2003年春の褒章 杭本克彦氏が受章
【樹林】時代の半歩先を見る 
コミュニティアーキテクト 越川秀治
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  第5回理事会開く 平成15年度事業計画などを承認

 

理事会のもよう

平成14年度第5回理事会は3月27日、東京・千代田区麹町の弘済会館で開かれ、平成15年度事業計画(案)などを審議・承認した。
 理事会は冒頭、成家会長が「建設業界は民間の受注減少や公共事業の縮減等一段と厳しい状況にあり、建設業界も大変厳しい経営環境を強いられており、会員の減少傾向も見られる。平成15年度は、財政上の制約もあるが、より公益性の高い協会活動を目指すとともに、国土交通省での電子入札制度が本格的に実施されることなどを踏まえ、これらへの対応を含めた技術・技能向上のための研修等の充実を図るとともに新分野への業務開拓等に努めたい」など、あいさつ。
 次いで、来賓から国土交通省都市・地域整備局の末永緑地環境推進室長が、「地球温暖化、ヒートアイランド対策などをはじめ、環境問題への意識の高まりから、みどりが重要視される時代となった。ガーデニングをはじめ、モノの豊かさから心の豊かさを求めるようになり、みどりの重要性がさらに高まっている。国土交通省では従来の公共事業の5カ年計画は財政的根拠を持った計画とせず、建設、運輸も一本化して、今後は都市公園だけでなく、都市内の緑が重要視されることから、緑地保全を含めた社会資本整備計画を進めようとしている。都市公園等整備事業の平成15年度予算は国費で1434億円で、対前年度比96・4%。このうち、国営公園は101%と少し増加。国営公園が一箇所増え、東京都の有明の丘の防災基地としての整備が始まった」など、公園緑地を取り巻く状況などについて述べた。
 議事は、
 (1)会員の入退会について
 (2)平成14年度予算の補正について
 (3)平成15年度事業計画(案)について
 (4)平成15年度予算(案)について
 (5)植栽基盤診断士制度の創設について
 (6)給与規程の一部改正について
 (7)会費徴収規程の一部改正について
 (8)造園建設業の適正な事業活動について
 (9)その他――を審議。原案通り承認した。
 また、審議終了後の意見交換では、近藤公夫・奈良女子大学名誉教授、平田匡宏・7札幌市公園緑化協会顧問、五十嵐誠・都市緑化技術開発機構専務理事――の3理事から、貴重なご意見をいただいた。

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第14回全国「みどりの愛護」のつどい 国営明石海峡公園で開催

第14回全国「みどりの愛護」のつどいが4月26日、兵庫県津名郡淡路町、国営明石海峡公園で皇太子殿下と同妃殿下のご臨席のもとに盛大に開催された。
 つどいは「みどりの日」の趣旨をふまえて広く緑化意識の高揚を図り、緑豊かな潤いのある住みよい環境づくりを推進するため開催され、式典では約1300人の参加を得、扇千景国土交通大臣等の挨拶のあと、「みどりの愛護」の功労者表彰が行われ、皇太子殿下よりお言葉があった。式典終了後、記念植樹が行われた。

会場では皇太子ご夫妻による記念植樹なども行われた

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2003年春の褒章 杭本克彦氏が受章

 2003年春の褒章で当協会副会長・杭本克彦(62)氏が黄綬褒章を受章した。杭本氏は関西造園土木代表取締役、道路緑化保全協会理事。 (兵庫県)

杭本克彦氏

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【樹林】時代の半歩先を見る コミュニティアーキテクト 越川秀治

●豊かさを模索した時代

 かつて、男の趣味の小庭づくりに「盆栽」が一斉を風靡した。少し前にはあの空前の「ガーデニングブーム」が女性の心を魅了した。現在はといえば、第3の市民の庭づくり「コミュニティガーデン」が注目されている。その背景にあるものは何か。

 今から二十数年前になるだろうか。“豊かさ”というものを手探りに模索していた時代に、ある先端を走る生活情報産業系企業が『モノからコトへの発想』という概念を打ち出した。少し早すぎた帰来はあるが、当時から既に女性の時代、文化の時代、地方の時代、生活者の時代が来ると叫んでいた。あの頃からすれば、今、まさにそれが現実のものとなっているようである。

●成熟し始めた市民社会の台頭

 そのような時代が訪れた大きな要因の一つに、あの驚異のバブル経済の崩壊がある。それは我々の豊かさに対する指標を大きく変えた出来事であるともいえる。永年政治も経済もぬるま湯状態に浸り、異常な景気におどけきっていたほとんど全ての日本国民が、ハッと目をさまし、現実と向き合って生きることに気づかされた瞬間でもある。

 この二十数年間で市民も行政も企業も豊かさに対する価値観を大きく変えてきた。つまり物の豊かさから心の豊かさへ、そして消費する文化から生産する文化へと移行しつつある現代社会において、本当の豊かさとは何かを改めて問いただされる時代になってきたのではないだろうか。言い換えると、それは我が国における「成熟し始めてきた市民社会の台頭」を意味するものである。

●不況を楽しむ逆転発想

 その点から見るとコミュニティガーデンは、取り分け市民が主体になれ、今の時代にあった豊かさを生み出せる、唯一都市の中の緑の共用空間であると言える。そこには様々なポテンシャルが潜在し、多様なコミュニケーションを生み出す機会をもつ。

 こう言うと語弊があるが、この際不況を楽しんでみよう。発想を逆転することで、思いも浮かばなかったことが見えてくる。もちろんそこには市民の視点、生活者の声を忘れてはならない。なにも背伸びをすることはなく、息んで先端を走る必要もない。誰もが暮らしの中で、当たり前につくれそうな豊かさが見える、そんな「時代の半歩先」を行くことで十分である。

 人々は皆いつでも緑を求めている。我々、緑の仕事に携わる人間の出番は益々多くなるはずだ。今後も、『打って出る造園界』、そして『元気な造園人』に期待したい。

 

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