INDEX

広報 日造協 2005年12月10日 第381号

1面

公園緑地事業の予算確保に最大の努力を

 全国都市公園整備促進大会開催

 

平成17年度総部長・支部長合同会議

  第2回理事会を合わせて開催

 

花と緑のつどい 福岡で開催


2006−新年- 造園人の集い


【樹林】
 花のカントリーホームを考える
               恵庭市長 中島 興世

2面

技術レポート No.015】
 速報 南島編

 エラズリー・フラワーショーとニュージーランドのガーデニングビジネス調査  

             (社)日本造園建設業協会 技術調査部長  野村 徹郎    

3面

等協会ら「造園・環境緑化産業振興会」がシンポ

   災害に強い街づくりへ

   新潟県中越地震の被災地 長岡で開催

 

【麹町箱】

  街路樹剪定士研修会・認定試験にあたって           宮崎県支部

4面

【総・支部だより】
 
 いのちを守り育む緑 自然防災シンポを開催     東北総支部

  「緑の応援団」創出へ 「みどりの集い」を開催     山口県支部

  「アイランド花どんたく」114万人を集め閉幕       九州総支部

 

事務局の動き

 

1面

 

公園緑化事業の予算確保に
最大限の努力を
全国都市公園整備促進大会開催

全国都市公園整備促進大会のもよう

 「全国都市公園整備促進大会」は11月16日、国土交通省、全国の都市公園行政関係者、国会議員多数が参加し、東京・千代田区の砂防会館で開催した。
 冒頭、主催者を代表して、全国都市公園整備促進協議会会長代行の藤代孝七船橋市長が「安全・安心確保のため、防災の拠点となる防災公園の整備が緊急の課題であり、財政面等で、その整備に支障をきたしている現状も聞かれるおり、都市公園事業予算の確保を関係各位に強くお願いしたい」とあいさつした。
 来賓からは、後藤茂之国土交通大臣政務官が「防災をはじめ、多様な面から緑が求められている。来年は都市公園法施行から50年、国営公園に関しても30年の節目の年であり、国土交通省としても最大限の努力を図っていきたい」と祝辞を述べた。
 その後、藤代氏を議長に山梨県の藤巻義麿甲斐市長、大阪市の中司宏枚方市長が意見発表を行い、公園緑地に関する業務の一元管理を行う緑化推進課の創設など、ガーデンシティを目指す甲斐市と、環境保全都市をめざす枚方市がこれまでの取り組みと今後の展望を踏まえて、関係者への意見を発表。予算確保を求める大会決議を福岡県の井上澄和春日市長が決議案を読み上げ、会場総意で採択した。
 なお、閉会後は全国各都道府県の公園緑地関係者は、各方面への要望活動を行い、都市公園の整備促進を訴えた。

平成17年度
総支部長・支部長合同会議
第2回理事会を合わせて開催
 

理事会であいさつする小川国土交通省公園緑地課長


 平成17年度総支部長・支部長合同会議は、11月10日(木)福岡市のソラリア西鉄ホテル間で開催した。冒頭に成家次男会長があいさつ。その後、日造協のビジョン(案)や財政・運営基本対策(案)の経過報告、タイ王国国際園芸博覧会への日本政府出展ならびに日造協の資格制度の普及方法についての4議案を審議した。
 また、平成17年度第2回理事会は、総支部長・支部長合同会議に引き続き開催。理事会は成家次男会長のあいさつの後、来賓から国土交通省の小川陽一都市・地域整備局公園緑地課長が祝辞を述べた。
 あいさつで成家会長は、「当協会は昨年3月に暫定的な対応策として「日造協事業活動強化緊急対策」を決定、その後協会活動の基本的な方向の検討、協会組織のあり方の検討、会費を含む財政基盤の検討を行うため、「財政・運営検討特別委員会」を設置、さらにこの特別委員会には円滑な検討を図るため専門部会及び作業部会を設け、現在までに委員会を2回、専門部会を10回開催し、鋭意、検討を行ってきた。本日は、「日造協のビジョンの見直し」及び「今後の財政・運営に係る基本方針」の検討状況を皆様にご報告申し上げ、忌憚のないご意見をいただきたい」と述べ、日頃の感謝と今後の協会活動を語った。
 議事では、日造協のビジョン(案)や財政・運営基本対策(案)の経過報告、ならびにタイ王国国際園芸博覧会への日本政府出展についての3議案を審議した。
 なお、翌11日は、9月9日から11月20日まで開催されていた第22回全国都市緑化ふくおかフェア「アイランド花どんたく」を視察、フェア実行委員会事務局より今回のふくおかフェアの実施計画、施工ならびに維持管理について説明を受け、癒しの森など1000種150万本の花と緑を熱心に視察した。

花と緑のつどい福岡で開催

 

 日造協は、花と緑のつどいを11月10日(木)「アイランド花どんたく」の開催地、福岡市のソラリア西鉄ホテルで開催した。 
 花と緑のつどいは、木下文二日造協福岡県支部長の開会に次いで、成家次男会長があいさつした。
 会場には、ご来賓の方々も多数参加し、山崎拓衆議院議員、小川陽一国土交通省都市・地域整備局公園緑地課長、荒井俊行国土交通省九州地方整備局副局長、武居丈二福岡県副知事、山野宏福岡市副市長、藤田陽三福岡県議会議長、妹尾俊見福岡市議会議長があいさつ、並びにご来賓のご紹介を行った。
 つどいはその後、田中久也福岡県議会議員が乾杯を発声、懇談の場となり、盛況の中、樋口敬記日造協九州総支部長の閉会のあいさつで午後7時半に散会した。樹林花のカントリーホームを考える恵庭市長 中島 興世 ガーデニングに関心を持つ人を対象にして、緑豊かな農村に広い敷地の住宅地をつくりたい

2006 -新年-
造園人の集い

平成18年 1月 5日(木)18:00 より
東京・赤坂プリンスホテル新館 2F クリスタルパレス
☎03-3234- 1111
皆様お誘い合わせのうえ、ぜひご参加ください。

【樹林】
花のカントリーホーム
を考える
         恵庭市長   中島 興世

 花のまちづくりへの共感の広がりとともに恵庭でガーデニングをしたいと夢を抱いて転居してくる人が増えてきた。花の街・恵庭に心を動かし、転居を決意させるまでになってきた。うれしいことだ。転居のときにガーデニングのために「500u以上の宅地が欲しい」と探す。しかし、そんな広い住宅地はない。市街化区域の宅地は250uといったところだ。ここに問題とチャンスがある。
 世界各地のガーデニングを視察して、また恵庭での花のまちづくり運動から、北海道はガーデンアイランドとして世界一になる可能性を持っていることを知った。大自然を背景にした植生の豊かさ、生け花の伝統に培われた日本女性の豊かな感性は世界に冠たるものだ。
 しかし現状ではイギリスやニュージーランドのクライストチャーチに追いつくことは至難だ。それは庭の面積が狭すぎるから。素晴らしい素養を持つ日本女性にイギリスにも負けないガーデニングを展開できる住宅地を提供したい。恵庭の農村に小規模だが珠玉のようなガーデニングをテーマにした美しい住宅地を作りたい。イギリスとは条件が違うとはいえ、広い北海道なら1000uの宅地も夢ではない。
 平成10年に優良田園住宅促進法が制定されている。この法律を使えば1000uの宅地を作ることも可能だ。農地を利用するので価格もかなり安くできる。あまり大規模な開発はできない制度だがそれで良い。最初は4〜5haもあれば充分だ。おそらく高い競争率になるだろうから、選考の結果、本当にガーデニングに情熱を持った人だけが集まる美しい地域が出現するはずだ。
 我が国では農村での住宅建設に厳しい規制がある。規制があるからガーデニングに関心を持っている人に集まってもらうことができる。世界でガーデニングに関心を持つ人だけが集まる住宅地はないだろう。だから世界で例を見ない美しいガーデンがあふれるまちが出現する可能性がある。
 恵庭市役所には年間10社程度の旅行会社からガーデン・ツアーを組みたいといった申し入れがある。住宅地に観光客を積極的に入れることはできないから、断っている。恵庭の花のまちづくりは、自分たちの住んでいる生活の場をきれいにしていくことが目標になっている。この「日常生活の場が美しい」ということの与える感動はとても大きい。観光という点でも大きな可能性を持っている。だから観光客を入れることができないのはとても残念なことだ。
 新たに作るガーデニングの住宅地では最初から多くの人が見に来ることを想定しておくことも可能だ。「多くの人が見に来るようになりますよ」ということで募集すればよい。ここではガーデニングに関心を持つ人だけが暮らすのだから、見てもらうことを励みにできる。
 優良田園住宅促進法を活用して花の住宅地を作ろうという考えは「花のカントリーホーム構想」とでもいえるだろうか。このような可能性のある地域は多いはずだ。各地で実現していくことによって世界一のガーデンアイランド・北海道への道が開かれると思う。

2面

【技術レポート No.015】
 速報 南島編
エラズリー・フラワーショーと
ニュージーランドの
ガーデニングビジネス調査
 (社)日本造園建設業協会
技術調査部長 
           野村 徹郎


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真1 アートセンターの周囲で週末に開かれる蚤の市

写真2 カンタベリー博物館

写真3 巨大な市内の街路樹

写真4 公園内の巨大なユーカリ

写真5 電気バス

写真6 ビクトリア様式の邸宅と庭園「モナ・ベイル」

写真7 ガーデンセンター
写真8 ハルスウェル姉妹都市公園

写真9 きれいに管理されたBRILEEN FLORA GARDEN

写真10 コリーンとブライアン・ブリッグス(Colleen & Brian Briggs)夫妻

写真11 どこにでも見られる街並み

 

調査の概要
  日本におけるガーデニングは、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」(花の万博)を契機に急速に進み、現在ではすでにブームの時期を過ぎ日常生活に定着するとともに大きなマーケットを形成している。われわれ造園施工業界は、みどり文化を担う産業として幅広い知識と技術が求められており、従来の木本植物を中心とした植栽から園芸植物、園芸技術へも目を向けるとともに、ガーデンデザインの進化に対応することも必要となっている。
 今回の調査は、ガーデニングを国の文化としガーデンアイランドとも言われる最新のニュージーランドのガーデン文化に触れ、日本でも各地で拡がりを見せつつあるオープンガーデン、ガーデンショーやグリーンビジネスに関する状況を視察することで、現在の造園に関する知識や技術をさらに進化させることを目的として企画し、市川総務委員長を団長として11月12日から11月18日にかけて総勢15名の参加者により実施した。
 調査の時期は、ガーデンショーをビジネスとして成功させている南半球最大級のエラズリー・フラワーショーの開催に合わせて設定するとともに、特別ガイドとして、05年の英国のチェルシーフラワーショーで日本人初の金賞、ベストガーデン賞、人気投票部門の三冠王となり、エラズリー・フラワーショーでも審査員などとして何年にもわたり関わってきた二宮孝嗣氏にお願いすることで、一般の見学だけでは得られない情報を入手することも特徴となっている。

ニュージーランド 

 成田からの直行便で赤道を越え11時間ほどのフライトで到着するニュージーランドは、豊かな自然環境にあふれた美しい景観の国であるとともに、オールブラックスに代表されるラグビー強国、アメリカズカップを保有していたヨットレース、マリンスポーツの国、としても知られる。
 日本の70%ほどの面積を持つ国土に人口はわずか400万人程度であり、世界で最も人口密度の低い国の一つである。ニュージーランド最大の都市オークランドに百万人強、クライストチャーチと首都のウェリントンに30万人程度の人口が集中している。国土の3分の1以上は国立公園やリザーブと呼ばれる自然保護区とされているため、都市部から離れたところはほとんどの自然が開発から守られている。
 およそ8千万年前にゴンドワナ大陸から分離し、地殻変動の力によって北島と南島に別れ、孤立した島となったため動植物は独自の進化を遂げている。 千年以上前にポリネシアからの移民によって発達したマオリ文化は、太平洋諸国に見られる地名や建築様式、工芸品と非常に密接な関係がある。
 17世紀から18世紀にオランダ、イギリスなどの探検家によって発見?された後パケハ(ヨーロッパ人)が入植し、相互の伝統や文化が融合しながら19世紀には英国領となり、その後自治領となるが現在も英国女王が元首となっている。
 インド・オーストラリアプレートの端に位置しているため、常に活動するプレートによって変化に富んだ地形が作り出され、火山が多く97年にも噴火活動があった。
 海洋性の気候は温暖で北島の北部が亜熱帯性である以外は山間部をのぞき温帯性気候であり、降水量は640o〜1500o程度と程よく多く日照時間も長いことが特徴となっているため多様性に富む植物相が形成されており、樹木やシダ類、花など生息する植物の80%はニュージーランド原生のものであるという。
 人類が定住してから原生林が焼き払われ、世界最大級の樹木であるカウリの巨木は、用材として伐採されたため、一部にしか生き残っていない。
 台風やハリケーンがないために強い風が吹くことも少なく、植物はゆっくりと、しかし驚くほど大きく成長している。温帯性の気候でありながらアローカリアやブーゲンヴィレアなど亜熱帯性の植物と紫ブナやシラカバなどが一緒に生育しているのを見るのは不思議な感じがする。 虫が少ないニュージーランドの植物は、風媒や鳥によって繁殖したことも独自の進化に影響しているそうである。

南島:クライストチャーチ(11/13〜14)

 ガーデンシティとしても有名なクライストチャーチは、庭園の美しい都市に贈られる国際ガーデンシティ賞を受賞している。ここでは、クライストチャーチ市内の様子、広大なハグレー公園、郊外のホウズルウェル公園、カンタベリー園芸センター、ガーデンコンテスト受賞のオープンガーデンの視察を行った。
【13日】
 直行便で到着した国際空港はのどかな雰囲気であるが、南極に近いため各国南極基地への物資輸送拠点となっている。
 空港から市内へ移動する車窓からの眺めは緑がとても多く感じる。公園は大小あわせて800箇所あり、道路の面積よりも広いというから納得である。
 標準的な住宅は150坪ほどの敷地を持ち、緑に囲まれてゆったりとした造りで、2階建てはほとんど見ることがない。
 1867年に完成したカンタベリー博物館でニュージーランドの文化、歴史を学び基本知識を仕入れた後、付近をぶらつくとカンタベリー大学として建てられ、現在ではアートセンターとなっている建物の周りではちょうど日曜日であったため大道芸や蚤の市が開かれていた。(写真1、2、3)
 30haにおよぶ広大なクライストチャーチ植物園は、1850年にイギリスから最初の入植者が祖国からの園芸の伝統を持ち込み、わずか13年後に植物園の設置計画が行われたという。
 1946年まではクライストチャーチ・ドメイン委員会が管理していたが、財政上の理由からクライストチャーチ市に移管し、現在は市の公園部植物サービス課が管理を行っている。(図1)
 市内を流れるエイボン川に囲まれ、ニュージーランド産の植物と海外の植物が集められニュージーランド国内で最も優れたコレクションとなっている。
 園内の樹木は樹齢が100年を超えるものが多くどれも巨大である。(写真4)
 ローズガーデンはおよそ250種類のバラが咲き誇る絶好のシーズンで楽しむことができた。
 案内所は自然保全や教育に重点を置いた内容となっており、植物学や園芸学に関する多くのパンフレットが無料で提供されている。
 大聖堂広場から25分ほどで周回するトラムウェイに乗って、市内の中心部を廻ったが、車窓から見る街並みはゴシック様式、スペイン様式、そして近代的なガラス建築のアートギャラリーなど変化にとんでいる。ガラス張りのアトリウムの中にカフェやレストランがあるトラムステーションの建物の中を走ったのは新鮮だった。
 このトラムは観光客や市民の足として活躍しているが、市民は年間12ドルで乗り放題、市内循環の電気シャトルバスは無料である。 公共交通インフラの整備は、観光立国を目指す日本でもぜひ必要なことだろう。(写真5)
【14日】
 市内を流れるエイボン川に沿って高級住宅が立ち並ぶ部一角にMona Vale(モナ・ベイル)という19世紀に建てられたビクトリア様式の邸宅と庭園を市が買い上げ無料で一般公開されている。5・5haほどの庭園は2人の庭師によって管理されているという。(写真6)
 対岸はクライストチャーチ市でも最高級の高級住宅が並び、モナ・ベイルを散策しながら美しい邸宅と見事に手入れされた庭園を見ることができる。
 隣接する南北ハグレー公園は総面積が182haもあり、ラグビー、クリケットのグラウンドやゴルフ場、テニスコートなどの施設と広大な公園を散策する市民の憩いの場所となっている。
 公園の樹木はやはり巨大なものが多く、蝶や蛾はほとんどいないため、食害されている葉はあまり見られない。
 郊外の住宅街にあるカンタベリーガーデンセンターは、商品も値段も日本のホームセンターとあまり変わらないが、消費税が12・5%であることを考えると本体価格は若干安いのかもしれない。
 自宅の庭に埋葬するのかペットの墓標が売られていたのは珍しいものだった。(写真7)

ハルスウェル姉妹都市公園

 オープンガーデンに向かう途中で立ち寄った、採石場後を利用したハルスウェル姉妹都市公園(写真8)には、日本の倉敷市のコーナーがあったが、特に和風という様子はなく倉敷市のプレートがあるコーナーだった。
 プリンセスダイアナの死を悼んで地元のライオンズクラブが寄贈したと思われる、カエデがぽつんと植えられていた。
 南島の最後の目的地は、今回の主要な視察先である個人のオープンガーデンである、コリーンとブライアン・ブリッグス(Colleen & Brian Briggs)氏のBRILEEN FLORA GARDEN を見せていただいた。(写真9)
 650uの敷地内には、100株以上のバラ、200株のフクシア、400株のベゴニア、3000株以上の草花と樹木、灌木、つる植物が見事なアレンジと管理で植えられている。
 元自動車エンジニアと美容師の夫妻は、それぞれがクライストチャーチの美化協会会長の経験があり、今までに87以上の賞を獲得、中には美化協会百年記念特別最優秀賞、2000年記念特別賞という最高位の賞も含まれている。
 アプローチの舗装やパーゴラなど庭園の施設はほとんどがブライアンの手作りで、ハンギングやポットなどとともに、自由な発想で置かれたいろいろなガーデンアクセサリーが目を楽しませてくれる。
 コリーン手作りのクッキーやケーキでアフタヌーンティーを頂きながら、ガーデニングのコツを伺った。
 庭のデザインは奥さんが主導権を握っているらしく、「男の人は色使いが単調だから私の言うことを聞いてもらうの」「よく働く庭師がいると助かるわ」など仲のよいご夫妻だ。(写真10)
 年間のガーデニングには30万円から40万円をかけているそうだが、使用する植物材料は、ナーセリーから直接仕入れることも多く、大量一括購入でコストを抑えているという。
 ガーデニングで最も大切なことは、土壌であり改良にはコンポスト、牛糞、豚糞、鶏糞、羊糞などを交互に使用している。
 芝生の管理は週に2回の芝刈りと、手抜き除草、どうしても必要な場合以外は除草剤や殺虫剤は使用せず、使用する場合にも刷毛でスポット処理をしているそうである。
 猫の落し物による被害はやはり課題らしく、電気フェンスやスカンクジャックという強烈な臭いの塗り薬を使っているようだ。 池の水がきれいな緑色なので、どうしているのかとたずねたところ、「秘密の薬を使っているんだ。何だと思う?トイレフレッシュさ」と言っていた。
 クライストチャーチはどこも花と緑にあふれた街で、街路も例外ではない。歩道の芝生は市の所有だが、芝刈りなどの管理はそこに面した家の役割になっているという。
 庭をきれいにしている家は前面の芝生もきれいにしているが、最近はアジア系の住民が多い地域では庭や共有部分の美化に関心がなく、荒れているところも多いと聞いた。
 また、従来は外に向けた庭造りが盛んで道行く人が楽しめるように高い塀で囲うことも少なかったが、最近は高い塀を立てる人が多くなったとか、セキュリティの問題や若い世代は庭に関心がなくなったということも原因であるようだ。
 美しい街並みは、そこに住む人々が共通して持つ美しい街づくりへの意欲と、日々のメインテナンスによって支えられているのである。(写真11)
◇ ◆ ◇
 次回は北島のレポートです。

3面

 

当協会ら 「造園・環境緑化産業振興会」がシンポ

災害に強い街づくりへ

新潟県中越地震の被災地

長岡で開催

 

あいさつする成家次男当協会会長

シンポジウムは大塚守康(社)ランドスケープコンサルタンツ協会会長をコーディネーターに行われた

先のワークショップでの被災状況視察

 造園・環境緑化産業振興会は10月20日、新潟県長岡市の長岡商工会議所大ホールで、シンポジウム「災害につよい街づくり〜みどりの仲間は行動する」を開催した。シンポジウムは、当協会をはじめ、(社)日本植木協会、(社)日本造園組合連合会、(社)ランドスケープコンサルタンツ協会、(社)日本公園施設業協会の造園関連5団体で構成する同振興会が主催。全国都市公園整備促進協議会の共催、国土交通省北陸地方整備局、新潟県、長岡市の後援、関係機構・団体の協賛で実施された。当日は、中瀬勲兵庫県立人と自然の博物館館長、(社)日本造園学会会長が主題講演。その後、報告やパネルディスカッションが行われた。

 中瀬氏は、10年前の阪神・淡路大震災をはじめ、新潟県中越地震、台風23号による風水害などの多様で、都市から多自然居住地域にまで分布する自然災害について、緑の専門家の見地から、特に阪神・淡路大震災の教訓として、火災の延焼防止や家屋等の倒壊による被害軽減など、緑の効果について調査結果を提示。加えて、「緑で復旧・復興に貢献できるか」について、花や緑は被災地に潤いをもたらし、被災者を元気付け、復興の精神的な支えになったとした。さらに注目すべき点は、緑は復旧・復興に際して重要な手段・ツールであり、目標・ターゲットにもなった。阪神グリーンネット「ランドスケープ復興支援会議」を振り返り、人々や組織を結び、それを継続させた緑の存在の大きさに触れ、花や緑を媒介にした市民、行政、企業などの「参画と協働」を通じたまちづくり、地域づくりの重要性を示唆。防災学習や環境学習、さらに生涯学習などの場の提供が緊急の課題であり、こうした機会を通じた地域やまちが成長するスパイラルアップの構造が、多様な災害に耐えるまちづくりにつながる ―― との旨を語った。

 次いで、平井邦彦長岡造形大学教授、中越震災みどり復興アクションプログラム委員会顧問が「中越地震の経過と復旧への課題」について報告。

 地震発生直後は県や長岡市をはじめとする被災市町村は被災者対応や応急復旧に追われ、長期の余震や雪の季節までのライフラインを復旧することが急がれたが、昨年12月末には「中越大震災復興ビジョン策定懇話会」を開催し、今年3月に公表。これを受けて、被災自治体が復興計画の作成に着手し、7月に骨格が固まり、9月いっぱいでほぼ作成を終えたとした。

 また、阪神・淡路大震災の臨海部大都市と、中越の中山間地地方小都市との相違点を指摘。中越では、大地が裂け、崩れる、崩壊ともいうべき事態で、棚田などの風景に代表される市場経済とは別の理屈で支えられていた大地の再生が課題。災害は時代の流れを加速させ、衰退が一挙に進むこともある。被災者の生活の再建が基本だが、美しい景観が人々をひきつけずにはおかなくなっていることを考えると、生活再建を図りつつ、新観光産業への転換には大きな可能性があり、これまで経済的に成り立たないとされてきた大地の維持管理を踏まえ、環境保護や定年帰農、総合学習など、社会全体が中山間地にかかわりあう仕組みを生み出す必要があり、中越地方だけでなく、全国の地方小都市が注目している課題でもある ―― などと述べた。

 パネルディスカッションは、大塚守康6ランドスケープコンサルタンツ協会会長をコーディネーターに、中瀬、平井両氏をはじめ、山村尚志7公園緑地管理財団越後公園管理センター長、鈴木重壱6長岡市公園緑地協会理事長、中越震災みどり復興アクションプログラム委員会委員長、樋口栄治長岡商工会議所専務理事、秋山寛中越震災みどり復興ワークキャンプ実行委員会代表をパネリストに開催。

 災害に強い街づくりに対し、「根本は、施設的な対応より空間的な安全安心の確保。これまでの施設などによる局部的な対応ではなく、現状強化とともに将来構想にも積極的な努力を重ねるべき」「越後丘陵公園は自衛隊の活動拠点として利用されたのをはじめ、様々な支援の場として活用され、大規模公園の災害時における機能が確認された。時間の経過とともに、ソフト面での活動に重点が移ってきており、相当な長期間にわたると見込まれるため、様々な分野の人たちとじっくり取り組んでいく必要があり、観光対策の面でもPRや大型イベントの誘致などに取り組んでいきたい」「地域コミュニティの崩壊阻止と、自然環境との折り合い等、すべきことは多く、復興プランは、地域の発展プランともなる。復興は地域の意思が第一であり、世界的な自然災害多発傾向の中で人類の英知を結集した防災システムの構築が急がれる」「土色の崩壊現場は市民にとっての心の傷でもある。市街地や住宅の復旧が実現しても地域の山々の緑がこれまで安らぎと安心を与えてくれており、自然イコール緑という感性の中で育ってきたことを踏まえ、″花があるからやさしくなれる、緑があるから元気になれる″ランドスケープを理解し、自然の力を学ぶことが大切」などの意見が述べられた。

 今後、中越震災みどり復興アクションプログラム委員会(6長岡市公園緑地協会、6新潟県公園緑地建設業協会)では、@棚田、法面、河川、里山、砂防、貯水池、公園、空き地等の整備等、造園的視点から見た景観復元 A地域民との協働プログラム B自然生態系の保存に関する技術 ―― の具体的提案などの活動を継続し、中越震災みどり復興ワークキャンプ実行委員会や(社)ランドスケープコンサルタンツ協会などが協力を行っていく。

 ワークキャンプ実行委員会の秋山代表は、「悲惨な災害の中で、優太君救出という人間の勇気と情熱に多くの人が感動した「妙見崩れ」をメモリアルに位置づけ、中越大震災に立ち向かった中越の人々、これを支えた人々の暖かい心、自然と共存していくモニュメント「みどりの妙見」として、県道復旧の際に具体化されることを要望している」と、現地で8月に行ったワークキャンプ等を踏まえた提案はじめ、「道路など、被害のほとんどは新道に多い盛土法面で、旧道の被害は少ない。自然の地形に見合った工法も含めた構造的な安全と景観的修景を重視し、持続するメモリアルとして、生長するみどりを生かした取り組みを地域の手で、地域を越えた人々の協力によって進められるプログラムにしたい」と、今後も積極的に働きかけを続けていく。

  また、長岡市のランドスケープアーキテクトで同実行委員会代表幹事の鈴木重壱氏は、「雪国で作業ができるのは1年のうち半分。4月の年度始めでスタートして、現場で作業が始められるようになるのは6月頃。実質4カ月程度しかなく、雪に備えて工事を進めなければならないことは他の地域の人たちにはあまり理解されていない」と雪国の現状を語る。

 中越震災復旧・復興支援特設テントが配置された日比谷公園ガーデニングショーに、長岡市を代表して参加した佐藤行雄長岡市都市整備部公園緑地課長補佐は、「被災地の現状を知ってもらうことはとても大事なこと。復旧・復興は長期間に及ぶ。より多くの方々の支援が欠かせない」と語る。

【麹町箱】

街路樹剪定士

研修会・認定試験にあたって

鳥取県支部

 平成17年11月14日(月)〜16日(水)までの3日間、鳥取県支部では第5回街路樹剪定士研修会・認定試験が行われました。

 会場は例年どおり鳥取県倉吉市の鳥取県建設技術センターとその周辺でした。14日9時15分より大田支部長の開会挨拶の後、2日間の座学が始まりました。鳥取県支部では、すでに120名の街路樹剪定士が認定されており、今回は20名が受験しました。

 座学の講師は、県内の委嘱を受けた5名があたり、実技試験の判定員には島根県支部・岡山県支部よりお願いし、当支部の指導員あわせて3名で判定していただきました。

 実技試験の最終日は、あいにく終日雨の中での試験となりましたが、悪条件にも拘らず真剣に取り組んでいました。受験者、判定員の方は大変だったと思います。

 また、行政側より鳥取県県土整備部管理課長はじめ5名、鳥取市から4名の方が視察に来ていただき、街路樹の剪定等造園の技術・技能に関して認識を新たに持っていただけたものと感じております。

 午後4時半からの閉講式は、支部役員全員が出席し県造協の井上会長の挨拶の後、判定員から「技術的には多少レベルの差もあったが、全員事故もなく雨の中一生懸命頑張った」との好評があり、5時に閉会となりました。

 今後行政機関におかれても、街路樹の管理にあたっては街路樹剪定士を活用していただくよう切に望みたいものです。       (鳥取県支部副支部長・瀧井 英二)

4面

【総支部だより】

いのちを守り育む
緑自然防災シンポを開催
                  東北総支部

シンポジウムのもよう

 

 近年、地震や台風等の大規模な自然災害の発生が地球的規模で伝えられています。
 私たちを取りまく生活環境は、社会資本の充実とは反比例的に自然災害に対し脆さを呈している現状があります。
 安全・安心な暮らしを得るために私たちはどう対処すべきなのか。私たちが日頃から接している公園、緑地や樹木が災害の拡大防止に大きな役目を果たしているといわれています。 
 神戸淡路大震災や新潟中越地震、そして宮城県沖地震に遭われ、その復旧に携わってこられた皆さんとともに、自然災害に対する安全・安心の暮らしとは何か、何ができるのかを探ってみようと東北総支部では、11月16日仙台市内・仙台市シルバーセンターにおいて自然防災シンポジウムを開催しました。
 シンポジウムは、全国都市公園整備促進協議会の協賛をいただき、東北地方整備局、宮城県、仙台市、日本造園学会東北支部、東北建設協会、宮城県造園建設業協会の後援を得て開催しました。
 パネラーに、神戸市から兵庫県造園建設業協会前会長・坂口正浩氏、長岡市から長岡市公園緑地協会理事長・鈴木重壱氏、仙台市から仙台市百年の杜推進部部長・大ア啓一氏と、オープンガーデンみやぎ理事・小林明美さんの4名の方を迎え、コーディネーターに涌井史郎・桐蔭横浜大学教授にお願いし、各被災地の状況とその復旧状況、復旧計画等を紹介しながら、防災機能を備えた避難地となる公園の整備等について、熱のこもった論議が交わされました。
 また、前半、涌井史郎・桐蔭横浜大学教授から、「災害は緑をさけてやってくる」― 柔らかで安全・安心な緑のひろば ― と題し、公共緑地が災害時に果たす役割、屋敷林など日本の伝統的なものを取り入れた都市緑化など緑の大切さについて、基調講演をいただきました。
 市民が考えるシンポジウムということで、会員のみならず広く一般市民、都市公園事業を司る行政機関等に案内し、関係者も含め310名と会場いっぱいの参加があり盛会裏に終了しました。                             (東北総支部・事務局)

「緑の応援団」創出へ
「みどりの集い」を開催
          山口県支部

「みどりの集い」は約230名が参加して行われた

 都市緑化月間が始まった10月3日に中国総支部の主催で山口県下関市において「緑の集い」が開催されました。この事業は造園関係者だけでなく、行政や市民を巻き込んで、緑の大切さや、緑が果たしている役割等を広く認識して、緑に対する応援団を作っていこうとする試みです。
 内容は第1部として国土交通省公園緑地課の加藤順子氏に「地球温暖化防止と都市緑化の推進」と題して地球温暖化防止に果たす緑の効用や、それを踏まえての今後の国土交通省が進めて行こうとしている都市緑化の推進方策を講演していただきました。具体的で非常に分かり易く、私たちは今後緑化を進めて行く上での強力なツールを得た思いでした。
 第2部は横浜桐蔭大学教授の涌井史郎先生をコーディネーターに迎えて「みどりの街の景観を考える」と題してパネルディスカッションを行いました。パネラーとして、1つの市で2つの景観条例を持つ下関市長の江島潔氏、市民活動を通じ山口県景観アドバイザーをしておられる中山淑子氏、森芳楽園の森和義氏、第1部講演者の加藤順子氏を迎え、活発な意見交換が行われました。江島氏は自治体の首長として、2つの景観条例を持った経緯や、それを生かした今後の政策展開を話していただきました。中山氏は市民活動の経験から地域住民の組織方法や活動実績、また住民を巻き込んだ街づくり運動が如何に大切であるかを話されました。森氏は仕事を通じて景観の中に占める緑の役割が如何に大きくて大事かとの観点から話を進められました。加藤氏はそれぞれの思いや方策を進める上で国としてのバックアップ体制についてお話いただきました。
 涌井先生からは緑の持つ文化的価値や歴史的側面などの観点からのお話をいただきました。また緑は「利用の効用」「存在の効用」の2つの効用がある。私たちは専門家として緑を利用して美しい街づくりや潤いのある景観を大いに作っていきましょう。しかしそこにあるだけで大きな存在感を持つ緑もあるので、これらの緑は大切に守っていきましょう。との結論を導いていただきました。
 今回が中国地方で3回目の開催でした。国土交通省や自治体の後援をいただき、他の緑化団体と共催の形を取り、行政関係者約50名、造園関係者120名、一般市民60名の参加でより広くみどりに対する認識を深めることができました。
                                        (山口県支部長・藤本 宣也)

「アイランド花どんたく」 
114万人を集め閉幕
             九州総支部

多くの入場者で賑わう会場

福岡のグリッピーと大阪の城(ジョウ)つぼみちゃんもご挨拶

 去る9月9日(金)に開幕した第22回全国都市緑化ふくおかフェア「アイランド花どんたく」は、11月20日(日)73日間の幕を閉じた。
 博多湾に新しく生まれた人工島(アイランドシティ)の一角に、世界初の″青いバラ″や幻の″ハカタユリ″をはじめ1千種類、150万本の花と緑のオアシスが誕生、さわやかな秋の好天にも恵まれ会期中の入場者は目標を上回る114万6千人余、韓国や中国・台湾を始めアジア諸国からも多くの人が訪れ、フェアの基本テーマである「始まる、花と緑の幸せ物語〜風・博多からアジアへ〜」にふさわしい交流の場となった。
 主催者である福岡市の山崎広太郎市長は、閉幕あいさつの中で、「目標の100万人を上回る来場者があり、アイランドシティの街開きにふさわしい内容となった。このフェアの準備・運営を支えた総ての関係者へ感謝するとともに、花と緑に接する感動や喜びを21世紀のまちづくりに生かしていきたい」とフェア成功への感謝と、今後のまちづくりへの強い決意を語った。式には次回の開催地である大阪市のゆとりとみどり振興局長中村真氏も出席、都市緑化フェア旗が引き継がれた。                                                                   (九州総支部・事務局)

事務局の動き

【11月】
 1(火)・ 技術委員会街路樹テキスト部会
 1(火)・ 技術委員会樹形再生部会
 2(水)・ 建設雇用改善推進の集い
 7(月)・ 「広報 日造協」編集会議
 7(月)・ 基幹技能者評価委員会
 7(月)・ 造園CPD企画会議
 8(火)・ 「世界都市計画の日」日本集会
 8(火)・ 第1回生涯職業能力開発体系作業部会
10(木)・ 総支部長・支部長合同会議
10(木)・ 第2回臨時理事会
16(水)・ 全国都市公園整備促進大会
20(日)・ 第22回全国都市緑化ふくおかフェア「アイランド花どんたく」閉会式
21(月)・ 第15回財政・運営検討特別委員会専門部会
25(金)・ 景観園芸国際オープンフォーラムin東京
27(日)・ 国営昭和記念公園「みどりの文化ゾーン」開館式典
29(火)・ 技術検定試験説明会
30(水)・ 基幹技能者評価委員会
30(水)・ 建設系CPDシステム委員会
【12月】
 1(木)・ 常任正副委員長合同会議
 5(月)・ 「広報 日造協」新春特別号意見交換会
 8(木)・ 第16回財政・運営検討特別委員会専門部会
 9(金)・ 「広報 日造協」編集会議
13(火)・ 第17回財政・運営検討特別委員会専門部会
16(金)・ 国土交通省と建設産業専門団体連合会との意見交換会
19(月)・ 第18回財政・運営検討特別委員会専門部会

訂正

 前号1面掲載の都市緑化及び都市公園保全美化功労者で山本一成・北越緑化は誤りで、正しくは山本一成・特定非営利活動法人緑化推進研究会理事長でした。関係者にお詫びし、訂正します。