INDEX

広報 日造協 2006年2月10日 第383号

1面

平成18年度 都市公園・緑地保全等事業
  事業費2417億円、国費1219億円に

 

新年造園人の集い
  業界の発展を祈念

 

資格普及へ
  資格制度普及分科会を開催


入札契約制度 対応分科会を開催


【樹林】
 世界自然遺産登録をまちづくりに
               北海道斜里町長  午来 昌

2面

【技術レポート No.016】
 速報 北島編

 エラズリー・フラワーショーとニュージーランドのガーデニングビジネス調査  

             (社)日本造園建設業協会 技術調査部長  野村 徹郎    

3面

街路樹剪定士指導員認定試験実施
  指導員の重要性を再確認

 

第3回植栽基盤診断士認定試験合格者を発表
  111名が難関を突破

 

【麹町箱】

  悔いなく強く、淡々とこの世を生きるために 葉隠れ(鍋島論語)によせて     佐賀県支部

4面

【総・支部だより】
 
 県のみどりを創り、育てる講演会開催                         神奈川県支部
  芝生の上で楽しいキャッチボール教室                         九州総支部
  関東・甲信総支部管内で会計事務担当者会議を開催                本部

 

事務局の動き

 

1面

 

平成18年度 都市公園・緑地保全等事業
事業費2417億円、国費1219億円に
即急な防災対策の推進へ

  国土交通省の平成18年度都市公園事業予算は、事業費ベースで前年度比0・94倍の2417億円、国費ベースで前年度比0・95倍の1219億円となり、新規事項は5事項が認められた。
 国費の内訳は、都市公園が1165億8700万円(前年度比0・94倍)、緑地環境整備総合支援事業費補助が53億7000万円(1・03倍)で、新規事項は、@地域防災拠点となる防災公園の創設 A広域避難地・避難路となる防災公園の対象要件の拡充 B津波対策となる防災公園の拡充 C防災公園街区整備事業の対象地域の追加 D防災公園等機能強化推進事業の創設――の防災関係5項目すべてが認められた。
 また、新年度予算は地域防災拠点の概念や防災公園の対象要件の緩和を盛込むなど、実態に即した即急な防災対策が可能になった。
 特に、地域防災拠―の創設は、これまで市街地内に設置されていた防災公園について、市街地に近接した場所での整備を可能としたもの。これにより、用地の取得などもしやすくなり、整備が難しかった都市での防災公園の設置が期待される。さらに防災公園の対象要件も面積の下限を4ha以上に緩和。面積は多少小さくとも防災効果を発揮することから、周辺の空地や不燃化の状況を勘案、10ha以上の都市公園と同等の有効避難面積が確保される公園に拡充するなど、地震対策が緊急課題となっている現在、より対応のしやすい内容となった。

新年造園人の集い
業界の発展を祈念
 

乾杯のあいさつを行う成家会長


 造園界の懇情と発展を期して、2006年新年造園人の集いが1月5日、東京・港区の赤坂プリンスホテル・クリスタルパレスで開かれ、会場には学界、官界、業界から6百余人が参加した。
 冒頭、田邊昇學(社)日本公園緑地協会会長が「今年は、都市公園法制定から50年、さまざまな節目を迎える。いづれも業界発展の起爆剤となった制度であり、造園人の皆さんと何かを企画していきたい」とあいさつ。
 次いで、国土交通省から、高梨雅明大臣官房審議官が「昨年は防災公園整備の体系化を推進し、基盤を強化した。今年は節目の年。公園緑地の社会的意義を対外的にアピールし、今後の公園緑地のビジョンをつくる年としたい」などと語った。
 環境省からは黒田大三郎大臣官房審議官が「人口の減少が報じられたが、人と自然がどう折り合いを付けていくかを考える転機。施策を進める際に、造園のお知恵をお借りしたい」と語った。
 また、学界からは涌井史郎
(社)日本造園学会副会長が「国民が渇望している″みどり″について、造園界はきちんと何かを示していかなければならない」と述べた。
 業界代表では、成家次男
(社)日本造園建設業協会会長が「住宅の構造設計問題では、価格競争の行き着くところをみたような気がしている。起こるべくして起こったともいえよう。未だ価格偏重の価値判断が多く見受けられるが、こうしたことはいつまでも続かない。生き物を主として取り扱う唯一の建設業種である造園では、資材をぞんざいに扱うことは考えられない。公共事業でも品質確保が改めて求められるようになり、価格偏重改善はこれからといえる。ご参集の方々とともに、今後とも確かな環境づくりに取り組んでいきたい」とあいさつ、乾杯を発声、祝宴となった。

資格普及へ
資格制度普及
分科会を開催

 

 街路樹剪定士(登録商標4897872号)や植栽基盤診断士(登録商標4897873号)、造園基幹技能者など、当協会の認定資格をはじめとする造園関連資格の活用と普及について、これまで以上に積極的な対応を図るべく1月30日、資格制度普及分科会(仮称)を本部会議室で開催。今後、資格のあり方と今後の方針について取りまとめていく。

入札契約制度
対応分科会を開催

 後を絶たない談合事件を背景に国土交通省が数年のうちに全面的に一般競争入札への移行を図ることとする一方、、品確法や総合評価方式の導入も進められている。
 こうした中、当協会では一般競争入札・総合評価方式についての問題点や課題を整理し、造園工事にふさわしい入札・契約制度を調査研究し、発信していく必要があることから標記分科会を行い、調査検討を進めていくこととした。

【樹林】
世界自然遺産登録をまちづくりに
    北海道斜里町長  午来 昌

 平成17年7月17日、世界遺産リストに登録された。
 世界の宝として仲間入りをした「知床」、多くの人々の知恵と汗の積み重ねが、日本を動かし、そして、世界を動かし、日本最後の秘境として世界自然遺産に登録された。
 しかし、それは一つの通過点に過ぎない。この貴重な自然を守ながら、知床の素晴しさを 人々に伝えていく、大きな使命のスタートを切ったのである。
 さて、国内外でも、環境整備・景観整備が推進され、美しさの創造が市民の中に広がりを見せており、このことは大変素晴しいことと思う。例えば、「花を生かした街づくり」「各家庭を中心としたガーデニング」の広がり、足元からの景観造りで美しい地域が増えてきている。
 日本も捨てたものではない! 
 日本人が、毎年、1千7百万人の人が海外旅行に行く、私もその一人としてドイツ・スイス・フランス等を訪ねた。市民一人ひとりが伝統の街並を自ら楽しんで継承している姿、また、訪ねた私たちに惜しみなく見せてくれる伝統の街並、何世紀も移り変わる時代をその立場立場で伝え、守る気持ちに触れたとき、我が故郷も、こうありたいと意を強くした。
 また、花のあるまちづくりに、斜里町は早くから取り組んできた。1972年に斜里青年会議所が中心となって運動を展開し、今は、地域住民のコミュニティ活動の一環として地域自治会が「花いっぱい運動」として行っている。
 知床の遺産登録の背景には、花を愛する心を持つ町民と夢を追い続け一途に努力した人達がいたから実現した。知床の街斜里町を日本一の故郷にするためには、世界遺産登録は必要不可欠であり、その思いは、失せることはなかった。
 世界自然遺産登録を次の世代に引き継ぐためには、自分の庭を美しくするだけではなく、美しき心を文化として、その「魂」を伝承して行かなければならないと思う。
 金で自然は買えない。もっと大切なものは、自然が人を育て、生かさせてくれていることである。そのことに早く気づくことを地球市民の一人として願う昨今である。

2面

【技術レポート No.016】
 速報 北島編
エラズリー・フラワーショーと
ニュージーランドの
ガーデニングビジネス調査
 (社)日本造園建設業協会
技術調査部長 
           野村 徹郎

写真1 緑の割合が非常に高いオークランドの市街地

写真2 芝生管理作業中の牛たち

写真3 東京まで8847km

写真4 イーデン・ガーデン

写真5 石積み作業中のボランティア職人さん

写真6 ハーバーブリッジ

写真7 中央分離帯移動専用機械

写真8 ローズガーデン前のホテル

写真9 Ayrliesの前庭でMacConnellさんを囲んで記念撮影

写真10 Ayrliesガーデンのパンフレット

写真11 Ayrliesガーデンの散策マップ

写真12 エラズリー・フラワーショー会場図

写真13 金賞のエキジビションガーデン

写真14 日本車を使ったフラワーディスプレイ

写真15 ゆったりとした住環境

写真16 300m2のリビングに5ベッドルームの豪邸の売り広告

北島:オークランド
(11月15日〜18日)
【15日】

 南島のクライストチャーチからおよそ1時間、ニュージーランド最大の都市であり北島の玄関口でもあるオークランド国際空港へ到着。
 上空から見下ろすオークランドはさすがに大都市である。
 まず、噴火口跡を公園にしたマウント・イーデンへと向かう。頂上の展望台からはオークランド市街とその先に太平洋が広がる。ここから東京までは8847q遠い!
 見下ろす住宅街はクライストチャーチに比べて密集しているものの、500uくらいはありそうで、何よりも緑の比率が高いことがうらやましい。
緑の割合が非常に高い
オークランドの市街地

 展望台周辺の芝地では、放牧された牛がのんびりと、しかし熱心に草刈りと施肥の管理作業を行っている。踏みつけると厄介な落し物の問題はあるものの、風景と一体となった管理手法は地形的な条件が整えば取り入れることもできそうである。
 公園の出入り口には、幅2mほどの溝に人や車の通行には支障がない程度に隙間の大きなグレーチングが設置されているが、これは、ひづめが落ちそうで不安になり渡ることができない牛の習性を利用したバリアとなっている。
                                (写真1、写真2、写真3)
 次に訪れたイーデン・ガーデン(Eden Garden)は、採石場の跡地を利用した高低差の大きな植物庭園であり、千種以上の植物がエリアのテーマごとに植栽されている。
 園路や植栽エリアには提供者のネームがつけられ、メンバーシップと寄付やボランティアで支えられている庭園で、NZ$30でメンバーになると入場料や情報提供が無料になる。
 ちょうど石積みの改修をしていた人は、すべて手作業で一つ一つの石を吟味しながらゆったりとしたペースで作業をしていた。(写真4、写真5)
 オークランド市内とノースオークランドを結ぶ全長1020mのハーバーブリッジは、最初建設された往復2車線の橋の両側に、石川島播磨工業の施工で2車線ずつの橋を追加し、合計8車線となっている。
 この道路は時間帯で通行レーンが変化するが、中央分離帯のコンクリートブロックを専用の機械が走行しながら前で飲み込み、後ろから出てくるときには一車線分だけずれて移動設置させるというもので、朝夕のラッシュにあわせて毎日行うという考え方には恐れ入った。(写真6、写真7)
 宿泊先のホテルは、オークランド中心部から少し離れた陸の上にある。
 目の前はパーネル・ローズ・ガーデンという数千種ものバラが植栽された公園で、日の長い季節のため遅くまで多くの人が訪れている。(写真8)

【16日】
 今回の調査旅行のメインでもある、Ayrlies Garden(アイリーズの庭)と Ellerslie Flower Show(エラズリー・フラワー・ショー)の視察である。ガイドはエラズリー・ショーの審査員でもあり、06年のチェルシーフラワーショーでは日本人初のゴールドメダルを含む三冠王となった二宮孝治さんにお願いしている。
 Ayrlies Garden(アイリーズの庭)は、二宮さんがニュージーランドでもおそらく一番美しい個人の庭と推薦してくれた、オークランド郊外にある個人の庭園で12エーカー(4・5ha)という広大な敷地を持つ。
 この庭園の持ち主は Ms. Beverley McConnell(マコーネルおばさん)で、一家で60年代にスコットランドからニュージーランドに移住し、当時の荒地を現在の美しい庭園に作り続けてきたそうである。庭園の名前もスコットランドにある一族の農場から取ったそうで、未亡人となった現在は、数人のガーデナーと共に楽しみながら水と緑にあふれた美しい庭園作りを続けている。ご本人もわからないほどたくさんの植物が植えられた起伏のある庭園を散策すると、次々に絵になる景色が展開される。近景と遠景を見事に取り込みシークエンスを意識した庭造りは、日本庭園にも通じるデザインコンセプトであると感じた。
 この庭にかける情熱と費用は相当なもので、年間の管理費はおよそ3千万円というから、個人レベルでは大変な金額だが、4・5haの庭園をこれほどのレベルで維持していることを考えると、非常に効率がよいとも考えられる。
                               (写真9、写真10、写真11)
南半球で最大級の
フラワーショーを訪ねる

 Ellerslie Flower Show(エラズリー・フラワーショー)は、1994年にイギリスのチェルシー・フラワーショーをお手本に始められたもので、今では国内外から7万人以上の人々が訪れる南半球で最大級のフラワーショーとなっている。
 審査直後の最高の状態で見学できるように開催初日にスケジュールを調整したが、到着すると場内はすでに人であふれていた。
 オークランド植物園を利用して開催される会場はおよそ5haの面積を持ち、エキジビションガーデン、ガーデンアート、デザインパビリオンなど展示カテゴリーごとにエリア分けされ、何百種類ものユニークな植物の展示物や、斬新なデザインのモデルガーデンが見られる。そのほか、植物の種子や苗、ガーデングッズ、書籍などを販売するコーナーやライブバンドや大道芸人が様々なパーフォーマンスでショーを盛り上げ楽しませてくれる。
 入場ゲートや待ち行列の長い展示の入り口では、小さなバンドによる生演奏が行われ、並んでいる人を楽しませる工夫がされている。
 毎年行われるフラワーショーのための電気や水道などのインフラが公園施設として整備され、出展者は接続をするだけでよいために無駄な仮設を省くことができる。また、展示のエリアやスペースもほぼ決まっているため、場所にあわせたディスプレイが求められる。
 従来は、イングリッシュガーデン的デザインが多かったそうだが、最近はニュージーランド独自のガーデンデザインが増えて、ショーの独自性も高まりつつあるそうだ。
 ショーの審査は、それぞれのカテゴリーごとに審査員団の合議によって行われ、金、銀、銅賞のほか、審査員賞や最優秀賞が与えられるとのことだが、これが金賞? と思えるものもあった。
 イベント会社によって、運営されているショーは、日本ではあまり見られないサービスがある。たとえば、ショーのスポンサーの招待客のための特別レストラン(今回のランチはここで食べることができた)や、来場者が物販ブースで購入したものを一時預かり所に預け、帰りにボランティアが車まで運ぶのを手伝ってくれるなど、園芸グッズやファッション、ペット用品など何か面白いものがありそうだという期待とともにやって来る来場者に、イベントを楽しんでもらうためのソフト面で参考になることも多い。(写真12、写真13、写真14)

【17日】
 最終日は、温泉リゾートのロトルアといろいろなテーマガーデンで構成されたハミルトン・ガーデンへと向うオプションツアー組とオークランド探検組に分かれた。
 私は二宮氏とオークランド市内の住宅地へ視察に向かったが、眺望の良い丘陵地に造成された住宅地は、特別高級というわけでもないが、平均的な面積が8百uほどで、人口密度が低いとはいえやはりゆったりとしたうらやましい住環境ではある。(写真15、写真16)
 オークランド市内に戻り、City of sails といわれるほどヨットの多いオークランドハーバー沿いの街をうろついた後、みなさんと合流しニュージーランド最後の夕食を楽しみ、翌18日は成田へ向かってのフライトとなった。











3面

 

街路樹剪定士指導員認定試験実施
指導員の重要性を再確認

認定試験のもよう

 街路樹剪定士指導員は、市民に愛される美しい街路樹を育成・管理するために設けた「街路樹剪定士」の指導・認定、地域活動の推進等の役割を担うもので、街路樹剪定士認定制度の要となるものである。
 今回の街路樹剪定士指導員認定試験は、平成18年1月17日より19日までの3日間にわたり、千葉県君津市で実施され、全国の日造協支部及び支部長推薦による26名が、試験に臨んだ。
 1日目午前中に、君津グリーンセンターで、指導員の役割と能力、美しい街路樹を育てるための、理論、技術および街路樹剪定作業の安全について講義を行い、午後からは、講師によるイチョウの見本剪定を含む講習のあと、エンジュの剪定実習を行った。
 2日目は、君津市及び君津造園建設業協同組合のご協力のもと、市の街路樹を使用して、受験者一人につき、エンジュ、イチョウ各1本による、剪定の実技試験が行われ、主に安全面、作業中の剪定技術、及び剪定後の出来栄え等による判定がされた。
 3日目は、病虫害に関する講義のあと、街路樹剪定士指導員としての知識を確認する学科試験を行った。
 市民及び発注者の街路樹剪定士認定制度に対する期待を裏切ることのないよう、今年も厳しく行われた認定試験は、寒いながらも、雨に降られることなく無事終了した。
 今回の試験実施にあたっては、当協会の趣旨にご賛同頂き、ご協力を頂きました君津市及び内山グリーン梶A君津造園建設業協同組合の皆様、講師・試験員の皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。

講師・試験員(敬称略)
指導員の役割と能力 立山富士彦 内山緑地建設
街路樹剪定の理論・技術 山本 紀久 活、植物設計事務所
街路樹剪定作業の安全について 大畠 雅弘 兜x士植木
病虫害 小池 英憲 内山グリーン
剪定実技 吉村 金男 葛g村造園
  〃 赤松  基 兜x士植木
  〃 鈴木 好次 兜\養樹園
  〃 吉村 知泰 葛g村造園
  〃 大場 二郎 椛蜿齣「園
第3回植栽基盤診断士認定試験
合格者を発表
111名が難関を突破

実技試験のもよう

試験結果について
植物の正常な生育に適した植栽基盤の確保をめざし、当協会が植栽地の土壌の調査・診断・改善処方を専門とする「植栽基盤診断士」制度を創設して3年目になる。
 今年度は10月16日に総支部10会場で「植栽基盤診断士認定試験 学科試験」を、12月5日〜6日と7日〜8日の2回に分け実技・面接の「実技試験」を東京で開催した。
 試験の結果については、近藤三雄東京農業大学教授を委員長とする「認定審査委員会」により厳正に審査した結果、今回の合格者は表の通りとなり、3年間の認定者累計は427名となった。
 植栽工事での植栽樹木の枯損や生育不良の原因の中で最も多いと推測されているものが植栽地の地盤不良である。植栽予定地の現況調査と診断に基づき、明確にデータを示しながら良好な植栽基盤とするために必要な改良の計画立案と具体的な処方を、発注者等へ施工性、経済性を考慮して技術提案することが植栽基盤診断士の重要な役割であり、今後ますますの活躍が期待される。
 来年度試験について
 これまでは日造協会員企業に所属する技術者のみを対象としていたが、平成18年度からは所定の受験資格要件を満たす方は受験可能となる。

学科試験

実 技 試 験
10月16日 12月5日〜6日、7日〜8日
受 験 者 人 数
学科試験:275名 実技試験:123名※
合 格 者 人 数
学科試験:113名 実技試験:111名

※は前年度までの実技不合格者を含む










【麹町箱】

悔いなく強く、淡々とこの世を生きるために
隠れ(鍋島論語)によせて

佐賀県支部  

 「武士道といふは死ぬ事と見付けたり」。「葉隠(はがくれ)」を知らなくても、この言葉は聞いたことがあるという人は少なくないだろう。
 この言葉に象徴される武の精神が、徳川百年が過ぎた江戸中期の平和な時代には危険思想だとみなされ、禁書扱いにされ、お膝元の佐賀藩では閲覧が禁じられていた。しかし、武士に向けた日常の心得集(教養書)であるこの書は、一部では「鍋島論語」と呼ばれ、有志の間でひそかに筆写、回覧されていた。
 明治に入ると、これまでとは逆の観点から脚光を浴び、君主のために死を恐れず戦場におもむく武の精神にスポットが当たり、昭和にかけての戦争の時代までは出兵する若者のいわば聖典としての役割を担った。
 私は、15年ほど前から先人の遺産であるこの「葉隠」を語り継ぎ、その真髄を学ぶ「葉隠研究会」に入り、折に触れて勉強をさせてもらっている一人ですが、昨今の我われ造園業界を巡る受注環境の激変に対して、企業・団体として、どう対処するかを考えるとき、今から3百年以上も前に口述されたこの本が、武士道にとどまらず、人生の様々な局面で道標(みちしるべ)となって自己啓発や人材開発面で、また、組織人やリーダーにとって、多くの示唆を与えてくれる。
 この「葉隠聞書(ききがき)」は全11巻(1358項目)から成っているが、その中で、@腹を据えて現実と向かい合う覚悟 ▽明日は死ぬ身と思って「今の今」を生きる ▽日常レベルの意思決定は七呼吸の間に行う A逆境は心身を強くする好機 ▽人生は七転び八起き、起き上がり小法師(こぼし)の精神で ▽15年先を思って生きれば必ず運が巡ってくる――などが、述べられている。
 ところで、我われ業界の当面する課題を幾つか絞って考えると、@会社経営の将来への透明度は″みどり″の環境産業としての期待はあるものの、これからの経営展望が困難と感じている経営者が多い(グリーンビジネス等)A総合的な技術、感性が必要であることの周知、啓蒙と対応できる能力開発、技能の向上が急務(環境工学、生態緑化等)B若年層(後継者)に造園に対する夢と自己啓発の意欲は芽生えているが、その能力を十分に活用できていない(仕組みづくり)―― などが挙げられるが、会員一同が危機意識をもって知恵を出し合い、これからの業界の再編、改革に向かって、腹を据えて果敢な取り組みを行い、「陽はまた昇る」造園業界を目指して、厳しい競争に耐え抜きたいものである。
                                                           (佐賀県支部事務局長・松本 光男)

4面

【総支部だより】

県のみどりを創り、
育てる講演会開催
          神奈川県支部

講演会のもよう

エムシャ 
大規模公園緑地と開発拠点

 

 神奈川県の後援を得て、10月14日(金)神奈川中小企業センターにおいて「かながわのみどりを創り、育てる講演会」を開催したところ、行政側から神奈川県をはじめ、横浜市、川崎市両政令指定都市等10市の公園・緑化事業担当者310名、支部会員56名の参加を得て盛会裡に開催され、大変有意義な講演でした。
 講演会は3部構成となっており、第1部では日本大学生物資源科学部教授勝野武彦氏を講師に迎えて 「景観に配慮したドイツの街づくりについて」と題して講演されました。
 講演では、1980年代から行われている緑や景観に配慮した都市再生についてドイツのルール地域、ライン川に接したデュッセルドルフ、ネッカ都市河川流域のシュトゥットガルト、人口40〜50万のカールスルーエの4つの地域の事例について、緑に配慮した都市再生の視点として、5つの側面からお話されました。
 @都市における生態保全あるいはエコロジカルネットワーク、つまり緑をどのような位置づけで増やしていくのか、その手段として骨格形成と空間が重要である。
 A自然的資源の中身の問題であり、我々の生活をしている丘陵、河川、水田等自然的資源も立地はそれぞれ異なるが、まずこれをきちんと確保し、ない場合には@と組み合わせて作り出していく。
 B1973年〜74年頃第1次石油ショックが起こり、これを契機に積極的に緑を保全する動きが生じた。つまりエネルギーを出来るだけ使わない、あるいは石油エネルギー、化石エネルギーを自然のエネルギーに置き換えていこうとする考え方でその根底には緑あるいは緑の空間があるとの考えである。
 C都市景観、農村景観、あるいは人間が作り出した文化的景観(景観文化財)、自然が作り出している自然景観そういうものを色々と入れて生活の中に景観対応をしていこうとの考えである。
 D前述の@からCを支える人間の側としては、スローライフとか少し我慢をしながら生活をしようとする時間的余裕を持ったライフスタイル、緑をより積極的にクローズアップさせ環境を良くしていこうとする非常に大きな考え方がキーワードである。
 また最後に、都市再生が景観に配慮した緑というのは、どんな形にしろ緑の整備には比率は別にしてオープンスペースを確保していくことが重要であり、それに連動して省エネから景観までを考えた緑の対応があり、現在あるものとこれから作り出すものをうまく組み合わせ緑の連続性として都市の中に位置付けていくことが必要である。
 都市の中の全体あるいは地域、自治体レベル、あるいは個々人の住宅の緑も含めて連携を図りながら整備していくことが重要な課題であると大変示唆に富んだ話で結ばれました。
 第2部では、「景観法施行後における神奈川県の取り組みについて」神奈川県県土整備部都市整備公園課技幹庄司博之講師から、景観緑三法の制定の背景となった。@「美しい国づくり政策大綱」A「観光立国行動計画」B「都市再生ビジョン」と景観法の概要・意義特徴について説明があり、事例を交えながら景観法施行後の県の3つの役割について話をされました。
 @景観行政団体への指導・助言と全ての市町村が景観に取り組めるよう誘導する。
 A公共施設の管理者の役割として県の保有する道路、河川、海岸等施設を市町村の景観計画と調整しながら自ら整備する。
 B広域自治体としての役割で、景観にどのように取り組み、どのようなものが大事なのか基本理念を提示すると同時に市町村に対する支援、統一のとれた個性的な景観形成、住民合意の形成や県として景観行政に対する関わり方のスタンスを明確にする。
 このための具体的な県の取り組みとして、@「美しい県土作り基本方針」の作成 A「公域景観づくり指針」の作成 B「公共施設景観ガイドライン」の作成 C「かながわ景観会議(電子会議室)」の設置・運営 D「市町村景観計画策定支援(専門家派遣事業)」等の実施――が考えられており、これを担保するため、また、県も自らを規制するため、神奈川県景観条例を平成18年度中に施行する計画を述べられました。
 第3部では、「川崎市における街並み景観街路樹の取り組みについて」をテーマとして川崎市環境局緑政部長海野芳彦講師から、@景観について A川崎市の公共事業の今後の動向とあり方について B緑にかかる川崎市の今後5年、10年の動向について C公共事業としての街路樹のあり方について、川崎府中線(市役所前モール)等三路線の事例を示しながら街路樹の役割や景観に与える影響等について説明され、参加者は大変示唆に富んだ講演に熱心に耳を傾け、今後の事業遂行の参考となる有意義な講演でありました。    (神奈川県支部・事務局)

芝生の上で楽しい
キャッチボール教室
            九州総支部

ホークス往年のスター5名のOB選手が参加した

緑のフィールド一杯に駆け回りボールを追う子どもたち

 空き地や原っぱを駆け回る子どもたちの声が聞かれなくなってから久しい。
 缶けり、チャンバラ、鬼ごっこ、三角ベースの草野球…、子どもたちは男女の区別なく遊びに熱中し、子どもたちだけのルールの中でたくましくなっていった。塾通いやテレビゲームなどなかった頃の話である。最近ではそのような風景に出合うことはほとんどなくなった。もっとも、子どもたちからそのような遊び場を奪った大人たちにも原因があるのだが…。
 キャッチボールのできる公園づくり推進会と福岡ソフトバンクホークス、福岡市が主催する「ホークスOB指導によるキャッチボール教室」が、10月8日(土)緑化フェア会場内の芝生広場で開催され、県内各地の少年野球チームとその父兄ら150名が参加した。
 ホークスの往年のスター藤本、岸川ら5名のOB選手から、キャッチボールの基本となるボールの握り方、投球フォームなどの指導を受け、子どもたちは緑のフィールド一杯に駆け回りボールを追っていた。飛び入りの大人たちも久しぶりのボールの感触を楽しむ姿も見られた。
 芝生は、よちよち歩きの幼児から大人まで、足の裏に伝わる柔らかい感触が心地よい気分にさせてくれる。小さな公園から保育園や幼稚園、そして学校の校庭へと芝生化の風を広げたいものである。           (九州総支部・事務局)

関東・甲信総支部管内で
会計事務担当者会議を開催
                本部

  公益法人会計基準の改正、公益法人制度改革法案が発表されたのを受け、昨年12月22日(木)に初めて総支部単位での会計事務担当者会議を開催した。
 会議は、公益法人の設立許可及び指導監督基準における留意点の説明、日常の会計処理の問題点や内部取引に係る総支部管内での確認事項など、本部、総支部、支部それぞれの立場から意見交換を行った。今後、他の総支部についても開催する予定である。                          (本部・総務部)

事務局の動き

【1月】
6(金)・ 戦略開発特別委員会
11(水)〜12(木)・造園工事基幹技能者認定研修会(東京)
11(水)・ 造園CPD企画会議
13(金)・入札契約制度対応分科会
17(火)〜19(木)・街路樹剪定士指導員認定試験
18(水)〜19(木)・造園工事基幹技能者認定研修会(福岡)
19(木)・ 第19回財政・運営検討特別委員会専門部会
24(火)〜25(水)・造園工事基幹技能者認定研修会(仙台)
25(水)・ 日本植木協会総会
27(金)・ 海外日本庭園委員会
27(金)・ ジャパンイフラ総会
28(土)・ 第32回全国造園デザインコンクール審査会
30(月)・ 資格制度普及分科会(仮称)
31(火)・生涯職業能力開発体系第3回作業部会(造園分野)
【2月】
1(水)・入札契約制度対応分科会
1(水)〜2(木)・造園工事基幹技能者認定研修会(富山)
3(金)・ 「広報日造協」編集会議
3(金)・沖縄国際洋蘭博覧会審査会
4(土)・ 沖縄国際洋蘭博覧会表彰式
6(月)・ 第32回全国造園デザインコンクール表彰式
7(火)〜8(水)・造園工事基幹技能者認定研修会(浜松)
10(金)〜11(土)・造園工事基幹技能者認定研修会(高松)
14(火)・ 第2回造園施工管理技術検定委員会
16(木)〜17(金)・造園工事基幹技能者認定研修会(大阪