INDEX

広報 日造協 2006年4月10日 第385号

1面

国土交通省平成18年度都市・地域整備局 関係予算配分配分総額2,271億円に
 防災・減災対策に重点配分
平成17年度第2回通常理事会開催
 日造協ビジョンなど中間報告
国土交通省 公園緑地課と意見交換会開く
 施策、入札方式など議題に
お知らせ
 平成18年度通常総会 東京・赤坂で6月22日

【樹林】
 樹木の形の意味  NPO法人樹木生態研究会代表理事  堀  大才

2面

平成18年度 都市・地域整備局  関係予算 配分概要

 

人事異動
 国土交通省関係
   (社)日本造園建設業協会

【緑滴】
【事務局の動き】  

3面

【技術レポート No.017】
公共工事の入札契約制度改革と造園工事
 (社)日本造園建設業協会 技術調査部長 野村 徹郎

【麹町箱】
 「景観園芸」という新しい学問分野にふれて  山梨県支部長・埴原 喜久男

4面

【総・支部だより】

 全国都市緑化フェア花・彩・祭2006開幕     近畿総支部

 校庭の芝生化を支援見学会・贈呈式開催    関東・甲信総支部  

 

1面

 

国土交通省平成18年度都市・地域整備局 
関係予算配分配分総額2,271億円に
防災・減災対策に重点配分

 

  国土交通省の平成18年度都市・地域整備局関係の予算配分方針がこのほど発表された。
 配分額は2271億円で、直轄(国営公園)に373億円、補助1898億円で、本省分865億円、一括分1406億となった。
 配分は、限られた予算で最大限の効果の発現を図る観点から防災・減災対策を柱とする「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」へ重点配分することとし、施策効果の高い事業に絞り込んだ集中的な実施を図る方針。
 特に、@国営東京臨海広域防災公園等の国営公園の着実な整備と適正な維持管理の推進 A避難地・防災拠点等となる都市公園等の整備の推進 B古都及び緑地保全事業による歴史的風土の保存、緑地の保全の推進 C緑地環境整備総合支援事業による水と緑のネットワーク形成に資する事業の推進――の重点事項を踏まえながら、地域経済の動向や財政状況等を考慮した各地方公共団体からの要望を勘案しつつ、所要額が配分された。 (関連記事2面)

平成17年度
第2回通常理事会開催
日造協ビジョンなど中間報告

理事会であいさつする小川陽一 国土交通省 公園緑地課長

 平成17年度の第2回通常理事会が、平成18年3月28日(火)弘済会館で行われた。
 冒頭、成家会長のあいさつ、次いで、小川陽一 国土交通省 都市・地域整備局公園緑地課長から来賓のごあいさつをいただいた。
 成家会長は、「本日は、議案の他、理事の皆様から多くの貴重なご意見を賜りました「日造協のビジョン」「財政・運営基本対策」の検討状況についてもご報告申し上げます」と日頃のご支援とご協力に対するお礼を含めてあいさつを述べた。
 議事では、平成17年度補正予算(案)について、平成18年度暫定予算(案)について、規定の制定について、会員の入退会についての4議案について審議、承認された。
 その後「日造協のビジョン」および「財政・運営基本対策」の中間報告を行った。                                                                         (本部・総務部)
                                 


国土交通省 公園緑地課と
意見交換会開く
施策、入札方式など議題に

  国土交通省 都市・地域整備局公園緑地課と当協会の意見交換会が、平成18年3月13日(月)ルポール麹町で行われた。
 初めに、成家会長があいさつ、次いで、高梨雅明 国土交通省 審議官からごあいさつをいただいた。 成家会長は、「長引く景気低迷のため、造園工事の完成高も年々減額してきており、当協会会員の退会等を含め会費収入が大幅な減になっている。このため現在、特別委員会を設け財政・運営など当協会の基本的な問題について検討中である。また、これと並行して21世紀の造園業をめざしたビジョンも策定中である」と日頃のご指導のお礼を含めてあいさつを述べた。
 議事では、(1) 造園建設業の現状等について (2) 6日本造園建設業協会の主な活動等について (3) 意見交換会 (4) その他について行われた。
 意見交換会では、▼景観緑三法による積極的な事業の推進▼造園の専門的資格の活用▼公園工事、造園工事の造園専門工事業者への発注▼不良不適格業者の排除▼一般競争入札、総合評価落札方式の運用等について行われた。                                  (本部・総務部)   

お知らせ
平成18年度通常総会
東京・赤坂で6月22日

 平成18年度 通常総会を6月22日(木)、東京都千代田区紀尾井町1−12 の赤坂プリンスホテル五色1階・新緑にて開催します。
 会員多数のご出席をお待ちしています。

【樹林】
樹木の形の意味
NPO法人樹木生態研究会

代表理事 堀  大才

 樹木の形は基本的には遺伝的に制御されており、樹種により固有の形を持っている。しかし樹形は生育する立地環境によって大きく異なり、病害虫や損傷の有無などによっても大きく異なっている。例えば谷間の樹木は、相対的に地上部が大きく根系は小さいが、尾根や海岸の風衝地の樹木は、地上部が小さく根系は大きく、バイオマス全量を比較すると両者の間に大きな差はない。また、林内木は下枝が欠けて樹冠の位置が高く枝張りも小さい。幹も根元近くと梢端近くの太さの差が小さく、いわゆる「完満」な形となっていて、根系は発達していない。それに対して原野の孤立木は、下枝が大きく発達して枝張りが大きく、全体に球形あるいは傘型の樹冠となり、幹形も根元近くが大きく張り出した、いわゆる「うらごけ」となっており、根系は広く深く発達する。このような形の差は、基本的には日照量や土壌の乾湿の差によるものであるが、同時に風荷重に対してよく適応した形ともなっている。特に孤立木の低く垂れ下がった下枝は強風時の根返り倒木や幹折れを効果的に防ぐ役割を果たしており、海岸や稜線のような風衝地に見られる風下側だけが残った片枝樹形は、常に一方向から吹く風の荷重に対しては最も安定した形となっている。
 樹冠先端の枝葉が刈り取られたり病害虫で衰退したりすると、多くの樹種では大枝や幹から胴吹き枝が発生する。この現象はオーキシンとサイトカイニンという2種類の植物ホルモンの作用で説明されているが、結局のところ樹木が新たに樹冠を形成し直して速やかな回復を図ろうとする現象である。その際、胴吹き枝は枝が欠けて不安定となった樹形を修正する方向に伸長する。 樹木の各年の肥大成長量はその年の光合成量を反映しているが、部分的な年輪の厚みの差は樹体に
かかる重力と風荷重によって生じる内部応力を反映しており、局部的に高い応力が生じているところは年輪成長が旺盛となる。つまり、樹木は樹体内応力を可能な限り均等に分布させて材が破壊されるのを防ぐように樹幹を成長させている。例えば、樹幹に材質腐朽が生じると、その周囲に残された健全材に、樹冠から幹に伝わり根にぬける力の流れが集中して高い応力が生じる。その結果、腐朽部分の周囲の形成層の細胞分裂が他の部分より旺盛になり、その部分の幹が紡錘形に肥大する。
 以上のように、樹形はその時々に与えられる力学的環境への適応の結果形成されるものであり、力学的に見て極めて合理的にできている。特に風荷重に対応して枝振りを変える適応は極めて美しい樹形を生み出している。樹形の意味を読み取る技術は樹木診断の際に必要不可欠となってきているが、樹木に対して剪定などの管理をする際にも、自然の樹形の意味をよく理解し、その形を大切にするような管理をしてもらいたいものである。それが樹木のもつ生態学的機能、生活環境保全機能、及び修景機能を最大限に発揮させることにつながるからである。

2面

平成18年度 都市・地域整備局 
関係予算 配分概要

  国土交通省の平成18年度都市・地域整備局関係の予算配分方針がこのほど発表された。                                                                        (記事1面) 
 このうち、都道府県別配分額は1897億円で、神奈川県237億円・35カ所、東京都152億円・43カ所、沖縄県127億円・34カ所、北海道123億円・42カ所など、6都道府県に百億円を超える配分を行った。
 具体的には、公平で安心な高齢化社会・少子化対策で、歩いていける身近な場所における都市公園の整備として、山口県下関市で市の中央部に位置する勝山地区公園について、高齢者をはじめとする地域住民のスポーツ及びレクリエーション、コミュニティ活動の場として、地区公園4・5haを整備するなど、防災対策を中心に整備を実施する。                       (本部総務部)

人事異動
 (国土交通省関係)

▼西川清((独)環境再生保全機構事業管理部審議役)=(財)公園緑地管理財団研究部長 
▼藤原宣夫(愛知県建設部公園監)=岐阜県立園芸アカデミー教授 
▼西川嘉輝(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室長)=愛知県建設部公園監 
▼角南勇二((財)都市緑化技術開発機構研究第一部長)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室長 
▼浦田啓充(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課公園・緑化事業調整官)=さいたま市技監兼都市局長 
▼町田誠((財)2005年日本国際博覧会協会施設・撤去管理室長)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課公園・緑化事業調整官 
▼松本勝正(近畿地方整備局国営明石海峡公園事務所長)=都市再生機構東日本支社東日本公園事務所副所長 
▼鈴木修二(福井県土木部都市計画課長)=近畿地方整備局国営明石海峡公園事務所長 
▼五十嵐康之(九州地方整備局国営海の中道海浜公園事務所長)=甲斐市助役
▼戸田克稔(内閣府国民生活局企画課(併)総務課長補佐)=九州地方整備局国営海の中道海浜公園事務所長 
▼竹田和真(関東地方整備局国営アルプスあづみの公園事務所調査設計課長)=内閣府国民生活局企画課(併)総務課長補佐 
▼柴田敏彦(神奈川県県土整備部参事)=(社)日本建設機械化協会施工技術総合研究所研究第4部主席研究員 
▼池貝浩(枚方市理事)=神奈川県県土整備部参事 
▼栗原正夫(関東地方整備局建政部公園調整官)=枚方市理事 
▼伊藤康行(近畿地方整備局建政部公園調整官)=関東地方整備局建政部公園調整官 
▼井村久行(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課長補佐)=近畿地方整備局建政部公園調整官 
▼望月一彦(関東地方整備局国営昭和記念公園事務所調査設計課長)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課長補佐 
▼太田広(九州地方整備局国営吉野ヶ里歴史公園事務所長)=北海道開発局札幌開発建設部国営滝野すずらん丘陵公園事務所長
▼高橋克茂(東北地方整備局建政部都市調整官)=九州地方整備局国営吉野ヶ里歴史公園事務所長 
▼高村幸夫(国土交通省国土計画局参事官付課長補佐)=東北地方整備局建政部都市調整官 
▼小島孝文(関東地方整備局国営昭和記念公園事務所副所長)=国土交通省国土計画局参事官付課長補佐 
▼辻本慎太郎(都市再生機構業務第一部土地有効利用推進室チーム兼業務第三部チーム)=関東地方整備局国営昭和記念公園事務所副所長 
▼蜻秋介(近畿地方整備局淀川河川事務所副所長)=都市再生機構業務第一部土地有効利用推進室チーム兼業務第三部チーム 
▼辻野恒一(中国地方整備局国営備北丘陵公園事務所調査設計課長)=近畿地方整備局淀川河川事務所副所長 
▼井上綾子(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室緑化推進係長)=中国地方整備局国営備北丘陵公園事務所調査設計課長 
▼木村郁実(国土交通省土地・水資源局土地政策課土地市場企画室市場調査係長)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室緑化推進係長 
▼澤田大介(九州地方整備局雲仙復興事務所砂防課)=国土交通省土地・水資源局土地政策課土地市場企画室市場調査係長 
▼松本浩(東北地方整備局国営みちのく杜の湖畔公園事務所調査設計課長)=小山市都市整備部長 
▼佐々木貴弘(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課公共施設係長)=東北地方整備局国営みちのく杜の湖畔公園事務所調査設計課長 
▼柳原李明(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課国営公園維持係長)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課公共施設係長 
▼三井雄一郎(関東地方整備局建政部都市整備課公園係長)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課国営公園維持係長 
▼秋山義典(関東地方整備局長野国道事務所工務課)=関東地方整備局建政部都市整備課公園係長 
▼山口亜希子(林野庁森林整備部研究・保全課環境保全専門官)=関東地方整備局霞ヶ浦導水工事事務所建設専門官(併)関東地方整備局企画部企画課 
▼小酒井淑乃(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課公共施設係長)=林野庁森林整備部研究・保全課環境保全専門官 
▼梶原輝昭(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課課長補佐)=静岡県都市住宅部都市整備統括監
▼大竹将也(国土交通省航空局監理部総務課専門官)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課課長補佐 
▼渡邉三男(関東地方整備局国営武蔵丘陵森林公園管理所長)=関東地方整備局企画部工事品質調整官
▼轟峯幸(関東地方整備局道路部道路計画第二課長)=関東地方整備局国営武蔵丘陵森林公園管理所長 
▼福嶋正彦(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室古都及び緑地保存係長)=内閣府大臣官房人事課係長(総務省行政評価局評価監視調査官) 
▼橋達也(内閣府内閣官房内閣総務官室)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室古都及び緑地保存係長 
▼加藤学(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課総務係長)=国土交通省土地・地域整備局都市計画課総務係長 
▼田邊晋(国土交通省都市・地域整備局街路課企画法制係長)=国土交通省都市・地域整備局公園緑地課総務係長

人事異動
(社)日本造園建設業協会
 

▼横川巖(常任参与)=退職 
▼櫻井廣明=総務部総務課長(新任)

【緑滴】

 私は造園という仕事が好きです。
 造園は人に夢を与えることができる仕事だからです。
 私はこの一年間、小学生に夢を与える仕事に携わり、楽しく一緒に学ぶ機会をもちました。
 その一端をここで紹介します。
 広島県内の庄原市の小さな小さな小学校で、全校生徒数が20名の高南小学校から依頼があり『夢配達人』になりました。
 『夢配達人』というのは、(社)青少年育成広島県民会議が募集した小学生の夢実現のお手伝いをする仕事です。
 高南小学校の夢は、「めざせ! ホタル 3000匹が再び飛び交う宮内川にしたい」というものでした。
 小学生と地域の人達と共に考え、行動した一年でした。
 地域の古老から「宮内川はね、昔はコンクリートの川でなく、ごく自然の川じゃったんよ」「ホタルがたくさんいて、明るくなるほどだったんよ」ということを聞きました。
 小学生達を中心に、どうすればホタルが昔のようにたくさん飛ぶようになるか考えました。
 家庭から出る生活排水や洗剤、農地から出る農薬等の問題、川に堆積した土砂の問題等、これらの問題をどうするか、具体的な対策を考えました。
 地域の人達にアピールするために、生活排水を使った植物生育実験や農薬は魚介類にどういう影響を与えるかの実験、土砂の堆積した川での生き物調査等をすることにより、そこからホタルが棲みよい環境について、具体的な行動を始めました。
 一方、4年前から取り組んできたホタルの飼育も、全員で取り組みました。また、地域の人々もこれに取り組み、今年は1000匹を超える幼虫飼育に成功し、感動しました。あと2年間で3000匹が飛び交う宮内川へ、夢の実現に向けて一歩一歩前進しています。
 これはたまたまホタルの里づくりですが、私共造園人は、いろいろな場面でこれと同様の夢配達と協働(コラボレーション)ができると思います。
 造園という仕事の良い所を見つめながら、若手造園人が夢を持ち、夢を配達していきたいものです。
 造園の良い所10ヶ条
 @造園は芸術である。
 A造園は景づくりである。
 B地球環境を守り良くする仕事である。
 C生き物との共生、バランスを大事にする仕事である。
 D植物とのふれあい、ホーティーセラピーの効果大である。
 E日本の文化を守る大事な仕事である。
 F四季の変化、動と静の変化などが楽しめる仕事である。
 G遊び心を大切にする仕事である。
 H完成時の喜びはもちろん、それから育てる喜びが始まる仕事である。
 Iみんなから喜ばれる仕事である。
                          梶岡 幹生((株)カジオカL・A)

事務局の動き

【3月】
1(水)〜2(木)・造園基幹技能者認定研修会(広島)
2(木)・ 第22回財政・運営検討特別委員会専門部会
    ・ 入札契約制度講習会(中国)
3(金)・生涯職業能力開発体系第5回作業部会(造園分野)
6(月)〜7(火)・造園工事基幹技能者認定研修会(札幌)
    ・ 「広報日造協」編集会議
    ・ 入札契約制度講習会(北陸)
7(火)・ 入札契約制度講習会(四国)
    ・ 造園CPD推進委員会
    ・ 入札契約制度講習会(関東・甲信)
9(木)〜10(金)・造園基幹技能者認定研修会(松江)
10(金)・ 建設業専門団体連合会担当者会議
13(月)・ 公園緑地課との意見交換会
14(火)・ 総務委員会財務部会
          ・ 国際花博協会評議員会
          ・ 造園CPD協議会
16(木)・ 総支部長・支部長合同会議
          ・ 入札契約制度講習会(中部)
17(金)・ 造園・環境緑化産業振興会担当者会議
           ・ 入札契約制度講習会(近畿)
20(月)・ 造園基幹技能者運営委員会
          ・ 公園緑地管理財団評議員会
23(木)・ 正副会長・常任委員長会議
          ・ 第23回財政・運営検討特別委員会専門部会
          ・ 総務委員会(全国)
24(金)・ 技術委員会(全国)
          ・ 戦略開発特別委員会
25(土)・ 第23回全国都市緑化おおさかフェア開会式
27(月)・ 民間都市開発機構理事会
28(水)・ 総支部長会議
          ・ 理事会
29(水)・ 都市緑化技術開発機構理事会
           ・ 第24回財政・運営検討特別委員会専門部会
30(木)・ 日本緑化センター理事会
31(金)・ 都市緑化基金理事会 
【4月】
6(木)・第11回財政・運営検討特別委員会作業部会
         ・ 「広報日造協」編集会議
7(金)・ 全国都市緑化祭
11(火)・ 佐藤国際交流賞部会
12(水)・ 建設物価懇談会
          ・ 正副会長・常任委員長会議
          ・ 第23回財政・運営検討特別委員会専門部会
17(月)・ 全国都市計画主管課長会議
18(火)・ 日本公園緑地協会国際委員会
           ・ 全国都市公園・緑化・緑地保全・屋外広告主管課長会議
20(木)〜21(金)・AIPHスプリングミーティング(ジェノバ)
22(土)・ 全国「みどりの愛護」のつどい

3面

 

技術レポート No.017
公共工事の入札契約
制度改革と造園工事

(社)日本造園建設業協会
技術調査部長 野村 徹郎

入札契約制度講習会のもよう

公共工事の入札制度改革と造園工事の講習会の開催結果

 入札契約制度改革の動き
 公共工事の入札契約制度の改革が各方面で進められている。
 企業のコンプライアンス(法令遵守、企業倫理)が強く求められている今、「社会秩序を乱す行動や社会から非難される行動をしないこと」で公正な企業活動をさらに推進することを前提として、独占禁止法の改正、公共工事の品質確保の促進に関する法律など、談合を排除して競争性を高め、行き過ぎた価格競争を抑えるための法案が相次いで制定されている。
 「意向確認型指名競争入札」「公募型指名競争入札」「VE方式」「設計・施工一括発注方式」「総合評価落札方式」「交渉方式」など、後を絶たない談合事件や、汚職、極端な低価格入札による公共工事の品質低下に対する懸念、無理なコストダウンによる企業の衰弱や下請け、労働者へのしわ寄せの不安などを背景として、公共工事では試行錯誤を繰り返しながら、「多様な入札契約方式」が生み出されてきた。 これらの取り組みは、従来行われてきた「指名競争入札」が姿を消し、価格だけの競争から技術力重視へと、入札をめぐる環境が確実に変わることを意味している。
 国土交通省では、平成17年4月の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の制定を受け「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」を発表し、全面的に一般競争入札へ移行する方針が定められた。これらの動きは、他の国の機関や地方自治体に波及していくことは必定である。
入札契約制度改革への理解を推進
 日造協では、入札契約制度も考慮にいれた公共造園工事でのものづくりのあり方について様々な調査、研究をおこなってきているが、最近の急速な制度改革の動きを背景として、総務、事業、技術の常任三委員会の合同による「入札契約制度対応検討分科会」を設置し、集中的な議論を行うこととなった。
 その結果、緊急に必要な対応として、これからの造園建設業界が造園領域を守り育てるためにも「新たな入札・契約制度」の正しい理解とともに「造園建設業としての対応の基本的考え方」について会員各位の理解を深めるため適切な情報発信が必要であるとの認識から日造協会員企業の現場管理責任者、営業責任者、経営者を対象として「公共工事の入札契約制度改革に伴う講習会」を開催することとした。
 講習会は、造園施工業界と造園企業が「新たな競争環境」をどのように捉え成長するか? を考えることを基本テーマとし、そのためには真に市民から信頼される造園業界の構築がぜひとも必要であり、各企業が造園のプロとしての技術をさらに高め発揮することが造園施工業界全体のグレードアップにつながることを共通認識として共有し、各企業ではコンプライアンスの強化により、社会秩序を乱す行動や社会から非難される行動をしないことを徹底する等を目的として、すでに講習会を開催した、北海道、沖縄、東北を除く日造協の各総支部を対象として九州、中国、北陸、四国、関東、中部、近畿の順に開催した。講習会の概要 講習会は二部構成で企画し、第一部では開催地域の地方整備局から講師をお招きして「最近の公共工事の入札契約制度と運用について」というテーマで公共工事の品質確保法や国の入札契約制度改革の動きについて地域の事例等も交えながらお話していただき、基本的な事項に関する理解をしていただくことを主な目標とした。
 第二部では、日造協本部から立山技術副委員長、野村技術調査部長により「入札契約制度の改革と造園工事」というテーマで造園建設業界の対応についてより具体的な話題に踏み込んだ内容とし、
 1. 入札制度改革の動きと新たな入札契約制度のしくみの再確認
 2. 新たな入札制度の導入で何が起きているのか
 3. 公共造園調達はどうなるのか?
 4. 入札制度改革のメリットは ?
 5. 各企業の取り組みはどうすべきか?
 6. 日造協の取り組みについての紹介

という構成で最後に質疑応答を行い、日常業務に役立てることを目標とした。
 まずは、従来行われてきた指名競争入札がなくなり、原則として一般競争入札に移行することで、経営者、営業責任者、技術者それぞれの役割の変化とその対応への頭の切り替えが必要であることを再認識していただくために、入札契約制度改革の流れと仕組みを復習した。
 後を絶たぬ談合やダンピングを背景として公共工事の品質確保法が制定され、一般競争入札の拡大や総合評価方式の導入が推進されていること、違反者に対するペナルティの強化や入札ボンド制度の導入など今後行われるであろうこと等を、時系列に従い具体例と関連付けて解説した。
 競争に参加できる企業の選択と競争に参加した後の落札者の決定に、総合的な評価システムが取り入れられることで、技術力に優れた施工能力のある企業が選ばれる仕組みを理解するために、総合評価制度で用いられる加算点が入札価格にどのように影響するかを、直轄工事で取り入れられている除算方式と、地方公共団体で多く取り入れられている加算方式での簡単なシミュレーションを行い具体的なイメージをつかんでいただいた。
 また、一般競争の拡大は従来のように指名を待つのではなく、参加資格があれば誰でも競争に参加することができ、受注機会の可能性拡大があるというメリットを受けるためには、技術提案型の企業への変換が求められること。
 今後の公共調達に対応するためには、配置予定の技術者が最前線にたち、施工計画書や発注者からのヒアリングへの対応が求められること。営業担当者も、従来の営業スタイルから、技術提案型、現場密着型の営業スタイルへの変換が求められること。経営者は、企業コンプライアンスのさらなる強化と、社員に対する教育の機会を与えることが求められることを強調する内容とした。
 日造協では、新たな競争環境へ対応するために様々な取り組みを行っているが、その一環として、街路樹剪定士、植栽基盤診断士、造園基幹技能者の認定制度を造園の特徴ある技術として、さらなる普及と活用を推進していることなどの紹介を行った。
 入札契約制度は、今後実際の運用が進むに従いさらに変化、進化していくことは間違いない。日造協では常に新しい情報を捉え、新しい制度への対応をすることはもちろんのこと、一歩先を行く造園のものづくりのあり方を今後も発信し続けてゆく所存である。

【麹町箱】
「景観園芸」という
新しい学問分野にふれて

 山梨県支部では、平成17年11月28日に景観園芸講演会を開催しました。今回は、兵庫県淡路島で「景観園芸」を実践されている、兵庫県立淡路景観園芸学校の石原憲一郎氏(淡路景観園芸学校校長)による「造園業界の課題と今後の方向」、上原巌氏(淡路景観園芸学校景観園芸専門員)による「園芸療法とは何でしょう」の2テーマでの開催となりました。当日は、県内の行政機関・学校関係者をはじめ支部会員等約100人が参加し、「景観園芸」への理解を深めました。
 石原氏は講演の中で、「時代の潮流として成熟社会の到来を迎えた。造園に携わる人たちが何をすべきか、様々な視点から造園業界を取り巻く環境を分析し、企業像を明確にしていくことが重要である」とアドバイスをいただきました。そして、「景観園芸は、まちづくりを経済性優先でなく自然と風土を見つめ直し、新しい社会における人々の暮らしのあり方を創造する文化的行為として位置づける新しい学際的分野である」と提唱されました。
 つづいて上原氏は、専門である園芸療法について、園芸療法課程の演習・実習風景、園芸療法の進め方や効果など、熱心に講演していただきました。さらに、「園芸療法の特徴は、植物=いのちを扱うことです。植物の時間に身をゆだね、植物とともに生活をする。急ぎ過ぎることも、遅過ぎることも、ありません。植物の生育リズムに合わせることから、園芸療法が始まります」と語り、多くの参加者が、身近な植物の“癒し”を再確認しました。
 20世紀の急速な発展と共に失ったもの“心の豊かさ、みどり豊かな自然”を取り戻そうとする取り組みが、様々な分野で展開されています。私たちも負けてはいられないとの思いを新たにする一日でありました。

 (山梨県支部長・埴原 喜久男)

4面

【総支部だより】

全国都市緑化フェア

花・彩・祭2006開幕

近畿総支部  

庭園出展コンテスト デザイン部門金賞を受賞した5団体合同フォーラムの出展庭園

総合部門銀賞を受賞した日造協大阪府支部出展庭園

 

  第1回の全国都市緑化フェアは、大阪府豊中市にある服部緑地公園で開催されました。ですから、今回は23年振りに大阪での開催となるわけです。今回のフェアの開催テーマは、「人が動く、まちがかわる」「花と緑の晴れ舞台、大阪城を起点として」主会場は皆様もご存じの大阪城公園(歴史公園)市民の皆様が公園や街路、公共施設や民有地など、それぞれの場所、さまざまなかたちで花と緑のボランティア活動に取り組んでおられる、日頃の活動を「まちなか会場」として約300カ所で共同開催されています。
 主会場の大阪城公園は、昭和6年11月6日歴史公園として106・7haで発足しました。本丸の天守閣は、昭和6年に多くの市民の力で再建、桃山建築の様式を取り入れ秀吉時代の面影をしのばせています。大阪城は15年という、莫大な期間と財貨で当時では難攻不落の巨城に仕上げられました。
 大天守は、外観5層で鯱瓦や飾り瓦、軒丸瓦、軒平瓦などに黄金をふんだんに用い各階に納めた財宝の山など、空前の富の集積を誇示して来訪者を驚嘆させたといわれています。その後、秀吉の死後2年頃に関ヶ原の合戦で、豊臣側は敗北、そして豊臣家も滅亡するにいたりました。築城後、17年で大阪冬の陣(1614年)大阪夏の陣(1615年)で大阪城は焼失してしまったのです。
 さて、今回のフェアには当大阪府支部がテーマ「木漏れ陽 野草ファンタジー」(50u)、更に、みどりの5団体合同フォーラム実行委員会(6ランドスケープコンサルタンツ協会、6日本造園建設業協会、6日本公園施設業協会、6日本植木協会、日本水景協会)がテーマ「森の中の和らぎのにわ」(100u)を出展しています。作庭に一番苦労したのは、大阪城が歴史公園のため、いろいろな規制が数多くあり、その規制に気を配りながら作品を提案することでした。また、その他の見所として大阪城梅林があります。内堀の東側、約1・7haの広さに1200本の梅が植えられています。早春には見事な花を楽しむことができます。当梅林は大阪府立北野高校の卒業生が開校100周年事業として昭和49年に22品種880本を大阪市に寄付したことから今では大阪の名所ともなっております。
 最後に今回のフェア開催日は桜の開花に合わせたことをお伝えしておきます。西の丸庭園には気象庁の桜の開花を告げる標準木があることを申し述べ、各支部皆様のご来場をお待ち申し上げます。(5月28日まで開催)
                       (近畿総支部 事務局長・野呂 友昭)

校庭の芝生化を支援
見学会・贈呈式開催
         関東・甲信総支部

記念品贈呈式のもよう

見学会のもよう

  関東甲信総支部と東京都支部は3月26日、東京・世田谷区の区立烏山北小学校で同校庭芝生化に伴う見学会と贈呈式を開催した。
 烏山北小学校の校庭芝生化は、日造協の平成17年度関東甲信総支部モデル事業として、総支部が4百万円を寄附し、総事業費4254万円を投じ、世田谷区が実施し、渇ェ野造園の施工で、面積2699u。見学会では、協会員ら約40人が参加し、芝生化の設計を行った吉岡俊哉氏(蒲ホの風景計画)の説明で校庭や各施設などを視察した。
 午後2時からは記念品贈呈式を体育館で開催。同区施設課長の霜村氏の進行で、冒頭、熊本哲之世田谷区長が「日造協の協力で、世田谷区初の芝生の校庭が誕生した。校庭の芝生化は、子どもの教育環境の向上はもとより、地域の緑化、ヒートアイランド対策など、いろいろな効果が期待される」と述べ、菅沼つとむ区議会議長は「将来を担う子どもたちが、豊かな環境で健やかに育つことは何にも代え難い」と語った。
 その後、成家会長から記念品の目録を熊本区長に贈呈、区長から成家会長に感謝状が贈られた。
 成家会長は、「皆さんに喜んでもらえ、大変嬉しく思う。日造協では日本庭園をはじめ、造園伝統技術の継承と併せ、校庭の芝生化をはじめ、屋上・壁面の緑化など、新しい技術を用いて、社会のニーズに応えていきたい」と語った。
 最後に、同校の櫻井和子学校長は「校庭の芝生化で改めて、子どもたちにとって環境というものがどれだけ大切かを気付かされた。これまでなかなか外に出なかった子どもたちも、外で遊ぶようになった。誕生してまだ7カ月でわからないことだらけだが、子どもたちの体、心の健康につなげ、子どもたちが自慢できる校庭、学校として、このおおきなプレゼントを引き継いでいきたい」と謝辞を述べた。                      (関東・甲信総支部 事務局)