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全国事務局長会議兼
雇用管理責任者会議開く
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あいさつする佐藤会長 |
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平成18年度全国事務局長会議兼雇用管理責任者会議が7月20日、東京・千代田区の弘済会館で開催され、日造協総支部、支部の事務局長ら約60名が集まり、平成18年度事業計画、財政・運営基本対策、日造協のビジョン21等について審議したほか、富士教育訓練センターが実施している訓練内容の説明や、「経営を破壊する労働災害」と題して講演も行われた。
冒頭、佐藤会長は、造園建設業界を巡る環境は厳しいものがあるが、21世紀は「環境の世紀」「みどりの世紀」と言われるように、景観緑三法をはじめとし「みどりとうるおいのある街づくり」を進める政策が実現するなど造園界にフォローの風も吹いている。こうした状況を踏まえ、日造協の行動指針となる「ビジョン21」を策定し、新しい時代に求められる「緑の景観・環境」を作る創造事業集団として発展を目指すこととした、日造協は日本を代表する造園団体であり、会員は一体となって新たな課題を先取りし、業界の活力拡大に取り組んでいただきたい、今後も協会活動への尽力をお願いしたいとあいさつ。
9議案を審議
会議では、@ 平成18年度事業計画及び予算、A 日造協のビジョン21、B財政・運営基本対策、C 会費徴収規定の一部改正、D特別委員会の設置、E 創注提案2ヵ年報告書、F 今年度の資格試験、G 広報日造協及び会員実態調査、H「本部からのお知らせ」についてのアンケート調査結果、以上9議題について本部より説明が行われた。
このうち、ビジョン21については、造園建設業界および個々の会員企業の行動指針となること、また、経営体質の強化、技術の向上と人材育成、造園建設業界の新しいイメージづくりなどを目標に「5つの目標、7つの重要課題」(詳しくは本誌3面参照)について説明し、「人と自然が共生する安心・安全な国土と都市づくり、健康で豊かな心を育む、緑の景観・環境を実現」するため、発注機関はもとより学校、市民等にも幅広くPRしていく。
財政・運営基本対策については、会員からの要望等を踏まえ、これからの日造協の基本的活動方針を示すとともに、造園緑化団体、地方造園建設業協会との連携強化が必要なこと、協会運営経費の見直し、会費改正等について説明、認定資格に関しては、街路樹剪定士、植栽基盤診断士、造園基幹技能者の認定試験についての今年度のスケジュール及び制度の変更点について説明が行われた。(資格に関する詳細はホームページ(https://www.jalc.or.jp)で案内している。)
また、日造協からの情報提供については、現在、日造協本部 → 総支部 → 支部→ 会員企業へとメールによる情報提供を行っているが、先のアンケート調査の結果、日造協本部 → 会員企業へと直接情報提供することが望ましいとの回答が多いことを受け、検討していること等の説明が行われた。
職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会、富士教育訓練センター校長、菅井文明氏を講師に招いて、現場で仕事ができる技術者・技能者を養成している同センターの訓練内容、訓練助成金等について説明がなされた。
労災テーマに講演
続いて講演は、建設経営コンサルタント、天本 武(経営学博士)氏による「経営を破壊する労働災害」と題して、労働災害が発生したら、被労働者の肉体的・精神的打撃だけでなく、会社にとっても賠償責任や工事の遅れによる莫大な損失が発生する、また、労働災害を繰り返す企業では、労働者の労働意欲を低下させ企業業績等経営の根幹を脅かされることとなる、このためには安全管理はどうすべきかについて講演された。
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建設事業関係
国土交通大臣表彰
当協会5氏に栄誉
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国土交通省は、06年度の建設事業関係功労者の国土交通大臣表彰を7月10日、同省大会議室で行った。今回の表彰は個人239名、団体5団体。当協会会員からは、都市計画事業関係として、5氏が表彰された。
▼藤巻司郎(62)藤造園建設 代表取締役社長、日本造園建設業協会副会長、神奈川県▼岸省三(58)滑ングリーンサービス代表取締役、元 日本造園建設業協会理事、石川県▼小栗弘(71)元 滑阜造園取締役会長、岐阜県▼水野貞明(58)叶野文化園 代表取締役、福岡県▼野村和夫(64)潟Jネマツ緑化土木 代表取締役社長、長崎県
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人事異動
国土交通省関係
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7月1日付
▼大臣官房付・休職((財)都市緑化技術開発機構研究第一部長)=井口義也(岡山市助役)
▼関東地方整備局建政部都市調整官=浦野義晴(都市・地域整備局公園緑地課長補佐)
▼都市・地域整備局公園緑地課長補佐=清水和男(都市・地域整備局都市計画課景観室課長補佐)
7月11日付
▼退職=高梨雅明(大臣官房審議官(都市生活環境))
▼大臣官房審議官(都市生活環境)=小山亮一((独)勤労者退職金共済機構建設業退職金共済事業本部建設業事業部長)
▼大臣官房付・休職(公園管理運営研究所首席研究員=末永錬司((独)都市再生機構業務第3部担当部長)
▼大臣官房付・即日辞職(7月10日付)((独)都市再生機構業務第3部担当部長)=上島晃嗣(内閣府沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所所長)
▼大臣官房付・出向(内閣府沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所所長)=後藤和夫(浜松市技術統括監)
8月1日付
▼大臣官房付・休職(7都市緑化技術開発機構参事)=外崎公知((独)都市再生機構東京都心支社都市再生企画部担当部長)
(独)都市再生機構関係
▼(独)都市再生機構理事=高梨雅明
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【樹林】
『環境学習とジャングルスクール』
兵庫県立大学 教授
兵庫県立人と自然の博物館
副館長 中瀬 勲
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7月25日の6時から、ヒル除けソックス、蚊取り線香、長袖シャツ、帽子、軍手、登山靴などの完全装備のもとで、ダナンバレーのフタバガキ科植物の板根や絞め殺し植物などが生育している熱帯雨林の中や河川沿いを散策する早朝ウオッチングで、子ども達とともに、野生のオランウータン、テナガザル、クリイロ・リーフモンキーなどの動物や、様々な珍しい蝶や蛾などを観察することができた。
これは、筆者が所属している「兵庫県立人と自然の博物館」の「ボルネオジャングル体験スクール」の一風景である。このスクールは河合雅雄名誉館が提案され、マレーシア大学サバ校マリアッティ博士らの全面的支援のもと、今年で8回目を迎える博物館が主催する夏休みの恒例行事となっている。県下に在住する小学校6年から高校2年までの子ども達18人とマレーシアのラハ・ダツー・サイエンススクールの子ども達4人の計22人の参加者であった。加えて、日本からの同行専門家、看護師、添乗員が各一名、博物館職員5人、さらに現地ガイド3人、サバ大学研究者2人、サイエンススクール職員1名、計14人がスタッフとしてスクールを運営した。
熱帯雨林に入る前に、ボルネオ島東部のラハ・ダツー市にある前述のサイエンススクールで子ども達が相互に自国の文化を交換する交流会を英語、日本、マレーシア語を交えて催し、その後、悪路を車で2時間余り走った所にあるダナンバレー自然保護区へと移動した。ここでは原生の熱帯雨林が残され、真に生物多様性を学ぶ宝庫である。ここで、前半は研究者専用ロッジに2泊、後半はレインフォレスト・ロッジに2泊して、5日間にわたって、子ども達の環境学習を展開したのである。
早朝6時から夜は9時頃にかけて、早朝ウォッチング、自然観察トレッキング、ナイトウォーク、キャノピーウォーク、体験発表会、そして専門家の講話などを織り交ぜた「マレーシアのお友だちとともにジャングルへ」「初めてのジャングルとの出会い」「ジャングルの不思議発見」「どきどきわくわくキャノピーウォーク」「ジャングルのまとめ」などのプログラムが進んでいった。早朝には霧がたなびく本物の熱帯雨林に包まれて、テナガザル、サイチョウ、カエル…、様々な生きもののけたたましい鳴き声や音に囲まれて、ときには凄まじいスコールを体験しながら、昆虫、動物、植物、環境などと、子ども達の興味の的は様々であったが、子ども達のまなざしや姿勢が日々に変化、進化している様子が伺えた。同時に、日本とマレーシアの子ども達との交流も日々に増していった。過去、このスクールを体験した子ども達の中には、この恵まれたチャンスを契機として動物、植物、環境を志して大学へと進学したジャングルスクールの修了生も多いようである。
自然や環境を学ぶためには、「本物」「現場」「(物や記憶の)お持ち帰り」の3点セットが重要であると常々博物館のセミナーを通じて感じているのであるが、このジャングルスクールでは、本物の熱帯雨林の中で、本物の動物、植物に加えて、動物の鳴き声や音、漆黒の闇、凄まじいスコール、汗が滴る高温高湿度の環境を体験することが出来て、上記のことを地でいっていると思っている。子ども達にとっては貴重な体験・経験になることを期待したいものである。このことは、内容には相違はあるが、わが国の各地のフィールドで実現できることであり、多くが実践されていることは言うまでもない。
昨今、造園分野において、生物多様性の確保、外来種問題、生きものネットワークなどの諸課題が現実のものとなってきている。これらに対応するには、再度、わが国の造園の原点である日本庭園や日本固有の自然に目を向ける必要があると実感している。さらに、新たな仕組みや内容の造園や環境の教育が必要であると考える。少子・高齢社会の今、近未来の造園界を支え、発展・継承してくれる、あるいは支援してくれる次世代の若者達をより多く育むことは重要であるとジャングルスクールを通じて再確認した次第である。
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4面
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【総・支部だより】
校庭芝生化めざし
シンポジウム開催
群馬県支部
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群馬県立 藤岡北高等学校で行われた校庭芝生化現地見学会のもよう |
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群馬県支部では平成18年7月22日(土)、群馬県立藤岡北高等学校で校庭芝生化現地見学会、みかぼみらい館に会場を移して「校庭芝生化シンポジウム」を開催した。
シンポジウムでは、施工事例の報告及び近藤三雄東京農業大学教授から「芝生グランドについて」の基調講演をいただいた。シンポジウムは6群馬県造園建設業協会・群馬県造園建設業協同組合との共催による開催で、本部・関東甲信総支部管内の各都県支部、さらに群馬県県土整備局、教育委員会、高校、小学校PTA等、施工事例地の藤岡北高校から校長先生、緑地土木科担当の先生・生徒の参加を加え200名を超える大勢の参加を得ることができ、今回開催報告ができることに心から感謝している。
さて、近藤先生の講演の中で、校庭の芝生化については熱環境の改善、防塵、衝撃の緩和や傷害の防止等また精神衛生上からも効果があるといわれているが、芝生化を阻む要因に「金がない」、「管理が出来ない」、「禿げてしまう」がある、この克服が課題と指摘した。
次いで、次代を担う子供たちを健全に育成するためには、芝生地のグレードにより差はあるものの所要の経費は必要である。
「管理が出来ない」については、父母や児童・生徒の手を借りる等のワークシェアすれば可能になる。「禿げてしまう」は少子高齢化の社会現象もあり、過踏圧による芝生の損傷は低くなるなどの解決策を提示。最後に国策として、21世紀の子供たちの元気の素になる全国の校庭の芝生化事業を強力に推進されることを懇願したい、と結ばれた。
事例報告では藤岡北高校が、学校関係者の熱意と県教育委員会の支援はもとより、特記すべきは緑地土木科を有する学校であったことから、施工計画から管理に至るまで協働施工ができたこと、その後の管理についても実習を通して灌水、施肥等の維持管理の継続、さらに校内で芝生地、裸地等に分けて温度、湿度他の観測を続けており、芝生の効果を数値的に表すことのできるデータの収集を検討しているとした。
今回報告できた藤岡北校の事例・技術的データが活用され、近藤先生の講演にあった校庭の芝生化が公園の芝生化の序章になれればと願い努力していきたいと思っている。 (事務局長・細野
茂夫)
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造園のプロ集団好評
指定管理者を受託
岩手県支部
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花と緑化まつりには2日間で1400人が来場し大成功に |
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岩手県支部の会員で組織しました「特定非営利活動法人 緑の相談室」は、本年4月から、「内丸緑地」と「岩手県緑化センター」の2カ所を指定管理者として管理運営しております。
「特定非営利活動法人 緑の相談室」は、設立してまだ1年そこそこでしたが、申請しました2カ所の指定管理者に選定されました。後で審査結果を拝見すると、緑の相談室は「造園」のプロ集団の集まりとして評価されたのが大きな要因でした。
ここ3ヶ月間、管理運営してきましたが、初期の計画どおり運営できたのは、会員皆様方の絶大なるご協力を得られたのが何よりと考えております。
また、岩手県立緑化センターでは、5月の13日(土)と14日(日)に毎年恒例の「春の緑化まつり」を主催しましたところ、2日間で約1400人の入場者がありまして大成功でした。今後は、この緑化センターを地域の皆様方の憩いの場として活用していただくため、ワークショップを開催しまして地域の皆様方のご意向をお伺いし、管理運営に反映することとしております。
最後になりましたが、指定管理者制度は厳しい予算の範囲で経営されることから、一致団結した協力体制の確立が大事と考えております。いずれにしましても、県民の皆様方を始めとして、他の団体の方々も我々の活動に注目していることから、この3年間、「緑の相談室」はさすがプロの集団といわれるように一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします。
(事務局長・武藤 嘉治)
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事務局の動き
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【7月】
4(火)・関東地方整備局個別ヒアリング
5(水)・「広報日造協」編集会議
7(金)・造園基幹技能者運営委員会
10(月)・国土交通省大臣表彰
18(火)・正副会長・3常設委員長合同会議
20(木)・事務局長会議
25(火)・建設産業人材確保育成全国大会
26(水)・造園基幹技能者制度推進協議会発足会議
・建設系CPD協議会システム部会
・中央労働災害防止協会と安全対策打合せ
28(金)・池袋労働基準局と安全対策打合せ
31(月)・業界新聞3社インタビュー
【8月】
1(火)・危険性有害性マニュアル作成検討委員会
2(水)・正副会長・正副常設3委員長合同会議
・基幹技能者試験委員会
・国土交通省と建設産業専門団体連合会意見交換会
4(金)・(財)海洋博覧会記念公園管理財団30周年式典
7(月)・「広報日造協」編集会議
24(木)・公園施設業協会委員会
28(月)・(仮称)樹形再生手引編集委員会
31(木)・アクションプログラム委員会
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【緑滴】
竃リ公園 代表取締役
角田 孝純
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ハッとさせられた!
何てことは無い「挨拶のこと」なんです。
車を走らせ函館へ向かっていました(札幌から5〜6時間程度)。休憩を取ろうと思い、森町(イカ飯で有名なまち)の「道の駅」に立ち寄りました。
この『道の駅』には隣接して公園が設けられ、春にはサクラが咲き海の見える公園として知られている所です。どんな公園なのか見て見たく休憩がてら散策しようと公園の方へ歩いて行くと、先生に引率された数名の中学生の一団が、園路の坂を上って来るのが分かりました。その生徒さんたちと私の距離が2〜3メートル位のところで、一人の生徒さんが元気な声で「こんにちわ」と挨拶をしてくれました。他の生徒さんたちも挨拶をしてくれました。
私はうれしく、生徒たちと同じように声を出して『挨拶』をしようとしたのですが、声を出して『挨拶』をする事ができませんでした。ただただ、軽く頭を下げただけでした。
私に挨拶をしてくれたあの生徒たちは、私の挨拶をどう感じとったのだろうか。思わず振り返り生徒たちを見ると、何事も無かったかのように、先生と共に公園内を歩き去っていきました。
あの生徒たちは、私のことなど何も考えず、思いもせず、普段どおり挨拶をしただけだったのかもしれません。
あの子たちが、私に何を感じたかなどと思い迷っている私の方がどうかしているではないか。たまたま声を失う事だってあるだろう…。
挨拶を交わし、声を掛け合うこと、あまりにも普通であたりまえのことが出来なくなっていることに反省させられました。
私たちが、携わっている「造園という仕事の特質は何ですか」とよく質問されることがあります。これに対し、「植物(生き物)を扱っていることです」と答えているのですが、確かに間違った答えではありません。私は、なんでもない普通のことが、普通に、そして自然に出来る、まさに挨拶が出来る『人の心』を私たちの領域である「みどり」を通して育むことが本当の奥にある仕事と考えています。
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